【獣医師監修】猫の鳴き声に込められたサインとは? 鳴き声から猫の気持ちを読み取る
日本語が「ニャー」なら英語は「mew(ミュー)」。かわいい鳴き声もあれば、変な鳴き声も。猫の鳴き声にはどんな意味があるのでしょうか?
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
猫は状況に応じて鳴き分ける!?
日本では、猫は「ニャーニャ―」と鳴くのが当たり前。ところが、言葉が違えば聞こえ方も違うようで、英語では「mew(ミュー)」や「meow(ミャオウ)」と表現します。他の国でも、たとえばフランスなら「miaou(ミャウ)」、ドイツなら「miau(ミアォ)」となり、似ているようで微妙に異なるようです。
確かに猫は様々な鳴き方をします。研究者によると16種類もの鳴き声を使い分けているそうで、猫同士はもちろん、人間に対しても、甘えたい時やエサが欲しい時など、シチュエーションによって鳴き方を変えてきます。昔から人間とともに暮らしてきた猫は、何ともかわいらしい「猫撫で声」で私たちを虜にしてきました。一方、知らない猫や犬に出くわした時は、表情も声色も一変。そのギャップに驚かされた飼い主も多いはず。そんな猫の鳴き声を聞き分けることができれば、気まぐれな猫の気持ちも少しは理解できるかもしれません。
鳴き声の種類と感情
言葉をしゃべれない猫は、表情やしぐさ、ボディランゲージなど、あらゆる手段を使って人間とコミュニケーションを取ろうとしてきます。だから、鳴き声のパターンもいろいろ。すべてを理解するのは無理としても、いくつか代表的な鳴き方を覚えて、猫の気持ちに応えてあげましょう。
「ニャッ」と短く鳴く
相手への呼びかけ。つまり、軽い挨拶の表現です。ただし、短くでも強い口調の時は、不満を表している時。「やめてくれ!」と言っているのかもしれません。
「ニャオ」「ニャーン」など、訴えるような鳴き声
猫らしい鳴き方ですが、エサが欲しい時、飼い主にかまってほしい時、何かをしたいのにできない時など、不満を表しています。
「ニャーン」と長く鳴く
かわいらしい声で、「ニャーン」と語尾を引っぱるように鳴くのは、甘えている時。頭をすり寄せてきたらやさしく撫でてあげましょう。
口を閉じて「ンー」と鳴く
互いに知った猫同士では、「ニャー」ではなく、「ンー」という鳴き声で返事をします。相手が人間であれば、警戒心を解いている状態です。遊び足りない時、かまってほしい時など、何かをしてもらいたい時の「おねだり」の鳴き声でもあります。
「シャー」「フー」と強く鳴く
威嚇や怒りを表しています。このような鳴き方をする時は、表情もけわしく、カラダの毛が逆立っていることもあります。
「ケケケッ」「カカカッ」「クククッ」と鳴く
クラッキングと呼ばれる鳴き方で、窓の外に鳥などの獲物がいた時に、その姿を見て短い音を繰り返すように喉を鳴らします。
口を開けているが、声を出さない
サイレントミャオと呼ばれ、期待と不安の両方を感じているため、何を言っていいかわからない時に見られる現象です。眠い時、鳴くのが面倒な時の場合もあります。
変な鳴き方をする
かすれる、ダミ声など、いつもと鳴き声が違う時は、ひょっとして病気かもしれません。それに鼻水やくしゃみが加われば、「猫伝染性鼻気管炎」「猫カリシウイルス感染症」などの猫風邪を疑いましょう。それ以外にも、「ギャッ」「ギャーオ」など悲痛な叫び声をあげた時は、尿路結石症、あるいはカラダのどこかに痛みを感じている可能性も考えられます。
「アオーン」「ニャオーン」など、いつもの鳴き声より大きく、激しく鳴く時は、発情期です。異性に自分の存在を知らせ、誘い出す時の鳴き方です。
しつけで鳴き癖を予防する
日中、寝てばかりいる猫は夜中に鳴いたり、騒いだりしがち。昼間は仕事があって無理という人も、帰宅後にカラダを動かす遊びをたっぷりとさせて、体力を消耗させましょう。寂しさからのストレスや不安が原因で鳴く場合もあるので、充分にかわいがって、安心させることも必要です。なお、去勢・避妊手術は、鳴かせないための絶対条件。初めての発情期を迎える前、およそ生後6ヶ月から9ヶ月頃を目安に済ませておきましょう。
一方、過保護気味に育てると、鳴いて要求を通そうとする甘えん坊な猫になりやすいそうです。何事も最初が肝心。生後2~3ヶ月くらいにしつけるのが効果的です。しつけで大切なのは、どんなに鳴いても絶対に要求をきかないこと。鳴くとついついかまってしまいがちですが、鳴けば何でも思い通りになると学習させることになってしまいます。鳴いても無視して相手にしないようにしましょう。そのうち鳴いてもムダだとわかれば、やがて鳴かなくなります。
愛らしい表情にしぐさ。ただ、マイペースでつかみどころがないのも猫の特性です。たとえ鳴き声でも、何を伝えようとしているかわかれば猫とのコミュニケーションは成立。望んでいること、やめてほしいこと、機嫌の良し悪しなど、その時々の猫の気持ちを知って、猫との暮らしをもっと楽しいものにしてみませんか?
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