【獣医師監修】猫が猫草を食べる理由とは? 与え方の注意点

猫は草むらで遊ぶのも好きですが、好んで食べる草もあります。猫が草を食べる理由と猫にとって危険な草を紹介します。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

「猫草」を食べる理由

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「猫草」とは、特定の植物を指しているわけではなく、猫が好んで食べる草のことを総称してそう呼んでいます。代表的なのは、オートミールやビール、ウイスキーなどの原料に使われる「燕麦(エンバク)」と、先端がブラシのような形状で猫じゃらしの異名を持つ「エノコログサ」です。どちらもイネ科の植物で、猫が食べても害はありません。

猫は肉食動物ですから、植物を食べても消化しないまま排出されます。それなのに猫はなぜ草を食べるのでしょうか。よく言われるのは、「草で胃を刺激し、毛づくろいでたまった胃の中の毛玉を吐き出すため」という説です。実際、猫を飼っていれば、毛玉とともに草を吐き出す姿はそうめずらしいものではありません。

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それ以外には、「草には食物繊維が多く、便秘に効果があるため」「葉酸に含まれたビタミンを摂取するため」、さらには「嗜好品として食感を楽しむため」などの説があります。いずれも人間が立てた仮説なので本当の理由はわかりませんが、当たらずとも遠からずといったところではないでしょうか。

猫が食べると危険な植物

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私たち人間の世界では、野菜はヘルシーな食べ物で、毎日摂取した方が健康にもいいとされていますが、反対に猫にとっては有毒・有害なものも多く、その種類は700種類以上にのぼるとも言われています。人間が好んで食べている植物も猫にとっては害になる場合があるので、間違って与えることのないよう、身近な危険植物を押さえておきましょう。

身近な野菜

ネギ科/ネギ、アサツキ、タマネギ、ニンニク、ニラ、ワケギなど
血液中の赤血球が壊れ、溶血性貧血を起こし、重症化すれば死に至ることもあります。尿の色が非常に濃くなり、チョコレート色のようになることもあります。また、ふらつき、嘔吐、下痢、黄疸、口内粘膜蒼白などの症状が見られます。加熱しても毒性は衰えません。

ナス科/ナス、トマト、ジャガイモなど
触れると皮膚のかぶれや結膜炎を引き起こし、口に入れば嘔吐、下痢、腹痛、気管収縮、呼吸困難などの症状が現れます。放っておくと、痙攣、麻痺へと進行し、死亡することもあります。

身近な果物

バラ科/アンズ、スモモ、モモ、サクランボなど
体内で加水分解されると青酸が発生し、呼吸困難、虚脱、チック症状、痙攣などの症状が現れ、最悪の場合は死亡することもあります。

身近な草・花・木

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ユリ科/ユリ、チューリップ、スズラン、ヒアシンスなど
猫にとってユリ科は最も危険な植物の一つで、目に入ると失明の恐れがあるものもあります。口に入れると、嘔吐、下痢、血便、呼吸困難、全身麻痺など重篤な症状に陥り、ほとんどの場合死に至ります。回復しても慢性腎臓病や膵炎を発症することがあります。

ツツジ科/ツツジ、サツキ、アザレア、カルミア、シャクナゲなど
これらの植物も危険度が高く、嘔吐、下痢、視力障害、筋力低下、徐脈、痙攣、昏睡などの症状が現れ、摂取量が多いと数日で死に至ります。

その他

アボカド、ウメ、アーモンド、ワラビ、アサガオ、シクラメン、パンジーなどのほか、アイビー、ポトス、ドラセナ(幸福の木)といった人気の観葉植物も猫にとっては有害な植物です。

食べすぎには注意

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先に紹介したように、猫は植物を消化することができません。草を食べすぎたせいで腸に詰まってしまうこともあります。ほとんどの場合は大事に至らずに排出されますが、まれに開腹手術で取り除かなければならないこともあります。

また、草を食べることで喉の粘膜や胃、食道が傷ついてしまう恐れがあるほか、胃腸の弱い子猫や老猫の場合、吐きすぎて体調を悪化させてしまうこともあります。何でもよく食べる猫には、一日に食べさせる量を決め、エサと一緒に与えるなど、摂取量のコントロールが必要です。

「猫草」を与えると、たいていの猫は好んで食べますが、たまにまったく興味を示さない猫もいます。栄養素を取るための草ではないので、無理に与える必要はありません。毛玉の吐き出しが気になるのであれば、毛玉対策サプリメントなども市販されているので利用してみるのもいいでしょう。

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