【獣医師監修】犬の涙やけ。症状や原因、治療法、予防法について

目の周りが黒や赤茶色になっている犬を見かけたことはありませんか? これは涙が原因で起こる「涙やけ」といわれる状態です。

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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

犬の涙やけが起こる原因

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「涙やけ」とは涙で毛が濡れている状態が長く続き、変色してしまうもので、毛が白い犬などではとくに目立ちます。犬にとって、とくに害はないことが多いのですが、毛が濡れたままでは皮膚炎を起こすこともありますし、飼い主にとっては、キレイな顔を見たいという気持ちもあるかと思います。

あまりに涙やけがひどいときは、目からあふれる涙の量が多くなっている可能性があります。

目からあふれる涙の量が増える原因は、大きく分けて2つあります。

涙の増加によるもの

涙の産生量が勝手に増えてしまうことは、通常ありません。基本的に涙が増えるのは、目に何らかの刺激がある時です。目に刺激を与える原因になるものには、外部からの刺激(異物、睫毛、アレルゲンなど)、目の疾患(角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎、緑内障など)、目の近くの疾患(口腔内疾患、鼻腔疾患など)などが考えられます。

涙の排泄障害によるもの

涙の量は多くなくても、うまく排泄されないために目からあふれてしまうことがあります。通常、涙は目と鼻をつなぐ鼻涙管を通って鼻に流れる仕組みになっていますが、ここに異常があると涙がうまく流れず、目からあふれます。先天的に排泄経路が未熟であるケース、後天的に流れが悪くなってしまうケースなどがあります。

犬の涙やけの治療方法

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外部からの刺激によるもの

異物が入っていないか、睫毛が当たっていないかなどを確認し、取り除きます。睫毛はまた生えてくるため、定期的に抜きに行きましょう。アレルゲンの関与が疑われる場合は、定期的な点眼などが必要となることもあります。

目の疾患、目の近くの疾患によるもの

目にどのような疾患があるのかを確定してから、それに合った治療を行います。抗生剤、人工涙液、消炎剤、保護剤などの点眼薬が、用途によって使用されることが多いでしょう。また、目の付近の疾患に関しても同様に、原因に見合った治療が必要です。
排泄経路が後天的な問題で詰まっているようなケースでは、細い管で洗浄することもあります。

犬の涙やけを予防する方法

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一番の方法は、定期的に涙を拭き取ることです。毛が長時間涙で濡れていることで、毛の変色は起こります。それを予防するためには、コットンやガーゼなどで涙を拭き取ってあげることです。

顔周りを触られるのを嫌がる犬には、ご褒美などを与えながら行うことで慣れさせましょう。また、普段は嫌がらない犬が嫌がる時は、目に痛みがある、涙やけの部分の皮膚に炎症を起こしている、などが疑われますので、無理に拭かず病院に行きましょう。

定期的に涙を拭き取るだけでは追いつかないほど涙が出ている時は、涙があふれる原因を改善する必要があります。目が刺激を受けていないか、涙の排泄経路に異常はないかなど、獣医師に診療してもらいましょう。

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