【獣医師監修】猫にブロッコリーを与えても大丈夫? ブロッコリーのメリットや注意点

猫は人間の食べ物に興味津々。もの欲しそうな目で見つめられると、ついついおすそ分けしてあげたくなってしまうものです。しかし、人間の食べ物の中には、猫にとって危険なものもたくさんあります。今回は、栄養豊富な緑黄色野菜「ブロッコリー」と猫の関係について解説します。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫にブロッコリーを与えても大丈夫!

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結論からいうと、猫にブロッコリーを与えても問題はありません。ブロッコリーには、猫に対して毒性のある成分や物質は含まれておらず、ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)が掲載している「猫に毒性のある植物リスト」にも挙がっていません。

ブロッコリーの効能

ブロッコリーを摂取すると、次のような効能が得られます。

●便通がよくなる
●免疫力の向上
●老化防止
●貧血予防
●抗酸化作用
●抗ガン作用

ブロッコリーは、ビタミンとミネラルのバランスが非常によく、また、食物繊維を豊富に含んでいるという特徴があります。適切な量を摂取することで便通をよくしたり、抗ガン作用や抗酸化作用による老化防止・免疫力向上などの効果が期待できます。さらに、鉄分が多く含まれているため、貧血予防にも有用です。

猫にブロッコリーを与える際の注意点

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このように、ブロッコリーは栄養豊富な食材ですが、猫に与える際には注意が必要です。

上述の通り、ブロッコリーは食物繊維を豊富に含みます。猫は完全肉食動物なので、動物性タンパク質を消化・吸収することは得意ですが、逆に野菜などの植物を消化するのは苦手です。そのため、ブロッコリーのように食物繊維が豊富な野菜をたくさん食べてしまうと、消化不良を起こしてしまうおそれがあります。

また、ブロッコリーには、「ゴイトロゲン」という成分が含まれています。これは、甲状腺ホルモンの合成を阻害し、甲状腺の機能を低下させる物質の総称です。

ちなみに、ブロッコリーと同じくゴイトロゲンを含む野菜にキャベツがありますが、キャベツの場合も、食べる量によっては甲状腺機能を低下させるおそれがあるといわれています。

キャベツには、ゴイトロゲン作用を持つ物質の一つであるゴイトリンが含まれており、一日に摂取してもよい最大量は0.4㎎/kg、50㎏の成人ならば20gといわれています。これは、キャベツに換算すると、およそ200個にあたります(※キャベツ1個1kgとして計算した場合)。

ブロッコリーの大量摂取によって、猫の甲状腺機能が低下したという報告は今のところなく、ブロッコリーは上述のキャベツを比べてゴイトロゲンの含有量が少ないといわれていることから、ブロッコリーの摂取量について過剰に気を遣う必要はないでしょう。しかし、甲状腺機能が低下した高齢の猫や、甲状腺疾患を持つ猫は、機能低下に拍車をかけるおそれがありますので、ブロッコリーを与えない方が無難です。

猫にブロッコリーを与える際の適切な量について

猫にブロッコリーを与える際は、「茹でて刻んだものを小さじ1杯程度」が適量といわれています。生の状態のブロッコリーは非常に固く、人間でも食べるのが大変です。繊維も固く、窒息してしまう可能性もあるので、必ず茹でたものを細かく刻んであげてください。

毎日与える必要はなく、与える量もキャットフードのトッピング程度で充分です。また、ブロッコリーに含まれるイソチオシアネートという成分は猫の胃を刺激し、炎症を引き起こす可能性があるので、大量にかつ継続的に与えることは避けてください。

イソチオシアネートによる胃の炎症は嘔吐などの症状を引き起こし、重症化すると脱水症状に陥る可能性もあります。

ちなみに、最近ではブロッコリースプラウトと呼ばれる、ブロッコリーの新芽が注目されています。カラダの抗酸化や解毒といった防御機能を高める「スルフォラファン」という成分が、成熟したブロッコリーの20倍以上含まれています。

このスルフォラファンは、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、 食物繊維に続く「第7の栄養素」として注目されている成分ですが、じつは先述したイソチオシアネートの一種です。つまり、猫にとってブロッコリースプラウトはより刺激の強い食べ物なので、与えるのは避けましょう。

このように、適量であれば、猫にブロッコリーを与えても問題ないといわれていますが、万が一下痢や嘔吐などの症状がみられた時は、アレルギーを起こしている可能性があります。すぐに与えるのを中止して、かかりつけの獣医師に相談してください。

ブロッコリーに限らず、どんな食べ物にもいえることですが、猫にこれまで与えたことがない食べ物を与える時は、ごく少量からスタートし、その猫の体質に合っているのかどうか、しっかり確認した上で継続するかどうかを決めましょう。

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