【獣医師監修】黄疸や下痢など猫の急性肝炎の病状と治療法
猫の急性肝炎(きゅうせいかんえん)は、ウイルスや細菌、寄生虫などの感染や中毒などにより、肝臓内の細胞に炎症が起こってしまう病気です。明らかな症状が表れずに改善する場合もあれば、重篤な状態に陥ってしまう場合もあるので、正しい知識を身につけて早期発見に努めましょう。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
急性肝炎の病態と病状
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急性肝炎とは、肝臓に急な炎症が起こった状態のことをいいます。肝臓は、栄養の合成や貯蔵、有害物質の解毒や分解、消化酵素の生成など、非常に重要な役割を担う臓器です。そのため、肝臓に炎症が起こることでその機能が低下すると、猫のカラダに様々な異変が現れます。
●食欲不振
●元気消失
●嘔吐
●黄疸
●下痢
●震えなどの神経症状
急性肝炎は、初期の段階ではほとんど無症状であることが多く、そのまま重篤な急性肝不全(きゅうせいかんふぜん)を起こすこともあります。
急性肝不全は、肝臓の7割以上がダメージを受けることで発現します。急性肝不全を発症すると、肝臓の代謝異常により、黄疸(おうだん)、高アンモニア血症、低血糖、神経症状などが起こり、ショックを起こして死亡することもあります。
また、急性肝炎が急性期を乗り越え、慢性肝炎に移行することもあります。
急性肝炎の原因
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猫が急性肝炎を発症する原因としては、様々なものが考えられます。
感染
ウイルス性疾患、細菌性疾患、原虫性疾患などにより、急性肝炎を起こすことがあります。
中毒
化学薬品、自然毒、医薬品などの物質により肝臓の細胞が傷つくことで、急性肝炎を発症する場合があります。
外的要因
交通事故などにより強い衝撃を受けたことで肝臓が傷つき、急性肝炎を発症するケースがあります。
急性肝炎の治療法と予防方法
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猫が急性肝炎にかかった場合、原因の除去と、症状の軽減を目的とした対症療法を行います。具体的には、輸液、抗生物質・肝庇護剤・ビタミン剤の投与栄養補給、安静、食事療法(病態によっては絶食)などが挙げられます。
猫の急性肝炎の予防法としては、定期的な健康診断による健康状態の確認、猫が中毒を起こす危険性のある毒物や薬物の管理を徹底することが大切です。日頃から愛猫の健康チェックを習慣化し、小さな異変にもすぐ気づけるようにしましょう。