【獣医師監修】スコティッシュフォールドは骨瘤に要注意! 骨瘤ができる原因とは
猫の手首、足首の関節に骨のコブができていませんか? もし、コブがある場合は「骨瘤(こつりゅう)」の可能性が疑われます。この病気の原因、治療法についてみていくことにしましょう。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
骨瘤とは
「骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう)」という疾患があります。これはスコティッシュフォールドに特有の病気で、骨が成長する際、軟骨に形成異常を起こす遺伝性疾患です。軟骨の形成異常により、このコブのような「骨瘤」ができてしまいます。
スコティッシュフォールドの特徴である可愛らしい折れ耳。じつはこれも、耳軟骨の形成異常であり、奇形です。スコティッシュフォールドは、突然変異で骨に形質異常を持って生まれた猫を、人間が品種として確立させたものです。通常、スコティッシュフォールドは、骨や軟骨に形質異常を起こす「F遺伝子」を持った猫と、アメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘアを掛け合わせることで生まれます。
骨軟骨異形成症の症状
この病気の症状としては、次のようなものが挙げられます。
●四肢やしっぽが変形している
●歩行異常がある
●痛みを訴える
●しっぽが硬直する
●骨瘤が神経を圧迫し痛みを感じるため、足を引きずって歩くなどカラダの動きが不自然になる
また、スコティッシュフォールドの特徴のひとつとして挙げられる「スコ座り」。人間のように後ろ足を投げ出して座るその姿は、ほかの猫種ではあまりみられないものですが、これも変形してしまった関節の痛みをやわらげるため、足首などに負担のかからない「スコ座り」の姿勢をとるのではないかといわれています。
猫の骨軟骨異形成症の原因
骨軟骨異形成症のおもな原因は「遺伝」によるものです。折れ耳という「特徴」を持つ猫、つまり骨軟骨異形成症の猫を優先的に交配し、その猫が持つ「特徴」を固定したことで、遺伝的に骨軟骨異形成のリスクを持つスコティッシュフォールドという猫種が誕生しました。現代社会において、猫には愛玩動物としての役割があり、見た目の愛らしさが重視されます。それを追い求めた負の遺産が、骨軟骨異形成症であるともいえます。
骨軟骨異形成症は遺伝性の高い病気なので、交配させないことが唯一の予防法となります。そのため、近年ではスコティッシュフォールドを品種として認めず、繁殖を抑制する国も出てきました。
猫の骨軟骨異形成症の治療
骨軟骨異形成症の治療方法は確立しておらず、投薬もしくは放射線照射により、痛みを緩和してあげることしかできません。
スコティッシュフォールドの見た目はとても愛らしく、家族に迎えたいと考える人も多いでしょう。しかし、骨や軟骨に形成異常が起こると、猫は一生ひどい痛みに苦しみ続けることになります。この先も、スコティッシュフォールドが人気の猫種である限り、骨軟骨異形成症に苦しむスコティッシュフォールドが増え続けるおそれがあります。
スコティッシュフォールを家族に迎える際は、可愛らしい折れ耳の陰に潜むリスクをしっかりと理解しておいてください。そして、家族の一員になったからには、たとえその猫が骨瘤を発症してしまったとしても、最後まで添い遂げる覚悟を持って付き合っていきましょう。
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