【獣医師監修】犬の後ろ肢がおかしい。歩き方の変化や異常をチェック
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【獣医師監修】犬の後ろ肢がおかしい。歩き方の変化や異常をチェック

いつも元気な犬が歩きにくそうにしている時は、後ろ肢を注意して見てみましょう。片方の後ろ肢を浮かしてひょこひょこ歩いていたり、すぐ転びそうになったり…そんな時は、後ろ肢にトラブルが起こっているかもしれません。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

犬の後ろ肢がおかしい?

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犬はテリトリー意識が強い動物なので、オス犬は電柱や壁などにおしっこをかける「マーキング」という行動をすることがあります。この時、自分を大きく見せるために肢を上げ、できるだけ高い場所におしっこをかけようとします。この時に片肢を上げるのは、本能的な行動なので心配ありません。また、一部のメスもオス同様、片肢を上げたり、もしくは逆立ちをするような体勢で排尿することがあります。

しかし、このマーキング以外で、後ろ肢を地面に着けずに歩いているのは不自然です。この時は、後ろ肢に違和感や痛みがある可能性が高くなります。

肢の裏を見てみたら葉っぱやごみがついていただけ、なんてこともありますが、ずっと片肢を上げたまま歩いている場合は、病気やケガをしているかもしれません。

犬の後ろ肢がおかしい時に考えられる原因

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では、犬の後ろ肢のトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか。

骨折や脱臼などのケガ

犬を散歩に連れていこうとした時に、片肢を上げたまま動かなかったり、片肢を地面に着かないように歩いたりしている時は、痛みによって地面に肢を下ろすことができないのかもしれません。まずは、犬の肢に傷や虫刺されなどがないかをチェックしてみてください。外部的な異変がない場合は、骨折、ひび、脱臼、関節炎などの可能性が考えられます。

とくに小型犬の場合は、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)に注意が必要です。膝蓋骨脱臼とは、膝のお皿が正常な位置からずれてしまう病気です。通常は中高齢以降で発生しやすい疾患ですが、先天的に脱臼しやすく、仔犬の時期から発症してしまう犬もいます。膝蓋骨脱臼を起こしてしまっても、ほとんどの場合は自分で肢を屈伸させ、関節を元に戻すことで、また通常通り歩けるようになります。

しかし、慢性的に関節が外れている状況下にあると、骨が変形したり、靭帯が切れたりしてしまうため、場合によっては手術が必要になることもあります。

神経学的な問題

外傷や骨折、脱臼などの問題以外でも、神経の異常により後肢に麻痺が生じることで、後肢を引きずるように歩くことがあります。
ここではとくに、椎間板ヘルニアについて解説します。

椎間板とは、背骨の間にあるゼリー状の組織で、骨と骨の間でクッションのような役割をしています。この椎間板が何らかの原因で逸脱し、脊髄を圧迫している状態が「椎間板ヘルニア」です。ダックスフンドやウェルシュ・コーギーなど胴長・短肢の犬種は、「軟骨異栄養症(なんこついえいようしょう)」の遺伝子を持っており、本来ゼリー状の椎間板が生まれつき固くなりやすく、椎間板ヘルニアを発症しやすいことが知られています。

椎間板ヘルニアは犬の首から腰まで、どこにでも発症する可能性がありますが、後ろ肢を引きずるような症状は、腰付近での椎間板ヘルニアが疑われます。

犬の後ろ肢がおかしい時の対策

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では、犬の後ろ肢の様子がいつもと違ったり、歩き方がおかしかったりする時はどうすればよいのでしょうか。この場合、病気やトラブルを抱えていることが予想されるので、放置することなく、まずは動物病院に連れていきましょう。その際、歩き方がおかしい様子を動画で撮影しておくと、診断の役に立つかもしれません。また、病気やケガを患っている場合は、犬が痛みを感じている可能性が高いので、無理に触らないようにしてください。

早期に原因を突き止め治療を始めれば、それだけ完治する確率も高くなりますし、犬に余計な負担をかけずにすみます。早期発見・早期治療のためにも、日頃から犬の行動をよく観察しておくことが大切です。

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