【獣医師監修】犬がおしりを気にしていて、ただれや腫れがあれば肛門の病気の可能性あり?

犬が自分のおしりを気にして舐めたりする…犬のおしりが赤くただれていたり腫れていたりしている時は、何かしら肛門の病気を患っているかもしれません。肛門の病気は、排泄に関わるため、すぐに治してあげたいものです。そこで今回は、犬のおしりのトラブルについて解説していきます。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬の肛門がただれている時に疑う病気

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犬の肛門の周りがただれている時には、以下のような病気を患っている可能性があります。

肛門周囲腺炎(こうもんしゅういせんえん)

肛門周囲腺炎とは、肛門の周囲にある細い管である肛門周囲腺が細菌などに感染して炎症を起こす病気です。炎症が悪化し、化膿することもあります。

肛門腺とは、犬が自分のテリトリーを主張する時に使う分泌液を出す腺のことで、この分泌液はきついにおいを発しています。高齢化により便の切れが悪くなったり、不衛生な場所に座ったりして、肛門の周辺が汚れてしまうと細菌感染を起こしやすくなり、この病気を患うリスクが高くなります。

肛門周囲腺炎になると、強い痒みがあるので、犬はおしりを気にしたり地面にこすりつけたりします。その結果、肛門の周りのただれや腫れがさらにひどくなり、出血する場合も。炎症が悪化すると、発熱や排便時の痛み、排泄自体が困難になるという症状も現れます。

肛門嚢炎(こうもんのうえん)

肛門周囲腺炎と症状は似ていますが、肛門腺に分泌液が溜まり過ぎて発症するのが肛門嚢炎です。とくに、小型犬の場合は便とともに分泌液を出すことを苦手とする個体が多いため、発症しやすいといわれています。

実際に、肛門嚢炎になる犬の多くがトイプードル、チワワといった小型犬です。小型犬は、中型犬や大型犬に比べて肛門の周囲の筋力が生まれつき弱いので、本来自然排出される分泌液ですら自力で押し出すことが難しいという理由から、肛門嚢炎を発症しやすいといわれています。

また、大型犬の方が便が大きいので、小型犬に比べて分泌物が自然に排出されやすいという理由もあります。しかし、大型犬でも高齢化が進むと筋力が弱くなってしまうので、分泌液が溜まりやすくなり炎症を起こすことがあります。

犬が肛門の病気にならないために

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このような肛門のトラブルを起こさないようにするためには、定期的に肛門腺を絞り、分泌物を排出してあげることが大切です。個体差こそありますが、小型犬は比較的分泌物が溜まりやすいので、月に1回は肛門腺絞りを行うのをおすすめします。肛門腺絞りは慣れるまで上手にできないので、最初はトリミングサロンや動物病院でやり方を見せてもらった方がよいでしょう。もし、飼い主では難しい場合は無理をせずトリミングサロンや動物病院にお願いしてください。

やり方は、肛門の斜め下についている肛門嚢を、肛門に向かって上斜めに押し上げます。この時、時計でいう4時と8時の方向を同時に押し上げ、排出された分泌物をティッシュやタオルなどで拭い取ります。分泌物は臭いが強いので、汚れてもよい服に着替えて行うことをおすすめします。

また、体調不良により下痢・軟便になっている時も、肛門の周りを清潔に保ち、炎症を起こさないよう予防しましょう。下痢・軟便がなかなか治らない場合は、肛門の周りの毛を短くカットして、少しでも汚れが付きにくい状態にしてください。

そして、肥満やストレスは免疫力を低下させるため、肛門周りの病気はもちろん、ほかの病気の原因になります。肛門の病気は排泄に関わることもあり、さらにストレスを増大させてしまう可能性があるので、犬にとって過ごしやすい環境を飼い主が作ってあげることが大切です。日頃からコミュニケーションをしっかりとり、何かしらの異常があればすぐに気づけるような関係性を築くことで、犬の健康を守りましょう。

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