【獣医師監修】怒っているの? 犬が歯を見せる理由と対策

犬は、言葉の代わりに様々な方法で飼い主に気持ちを伝えようとします。その中でも、ちょっと怖いと感じてしまうのが、歯をむき出しにしている時。この歯をむき出しにする行動は、どのような気持ちを表しているのでしょうか。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長.

犬が歯を見せる理由って?

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何か嫌なことをされた時に、犬は歯を見せて威嚇することがあります。たとえば、自分のテリトリーだと思っている場所に勝手に侵入されたり、せっかく遊んでいたおもちゃを取り上げられてしまったり、初対面の人間や犬が近づいてきたり…そんな時は「噛みつくぞ」とばかりに歯をむき出しにしてきます。この時は、不用意に犬を刺激しないようにしましょう。

歯をむき出しにしているということは、噛みつく準備ができているということです。犬の武器は、何といってもその鋭い犬歯です。犬はもともと肉食動物だったので、すべての歯がものを切り裂くための形状をしています。

また、獲物の骨を噛み砕いて食べていたその顎の力も、人間とは比べ物になりません。万が一、噛まれてしまった時は、命に関わるおそれもあるので注意しましょう。

また、最近では野良犬も少なくなりましたが、野良犬に噛まれた時は感染症にかかるリスクもあるので、すぐに病院へ行きましょう。

しかし、歯をむき出しにしている犬のすべてが怒っているのかというと、じつはそうとも限りません。喜んでいる時にも、犬は歯をむき出すことがあります。

たとえば、飼い主と遊んでいる時の様子をよく観察すると、歯をむき出しにしながらおもちゃを追いかけたり、飼い主にカラダをすり寄せたりという行動がみられることがあります。この時は、犬が喜びすぎて歯がむき出しになっている状態なので、警戒する必要はありません。

犬が怒っているのか喜んでいるのかは、犬のカラダに力が入っているかどうかで見分けることができます。犬がカラダに力をみなぎらせている時は、明らかにこちらを威嚇しています。その逆に、犬がリラックスしている時は、喜びを感じている証拠なので、たくさん遊んであげましょう。

なぜ、犬は喜んでいる時にも歯を見せるのか…それは、飼い主やその家族が楽しい時に笑っている姿を観察しているからです。人間とともに暮らすことで、犬は「楽しい時は笑うんだ」ということを学習し、それがリラックスしている時に歯を見せるという行動につながるのです。

犬が歯を見せる時の対策

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喜んで歯を見せている犬に対しては、一緒に遊んであげるという対処で充分ですが、威嚇として歯をむき出しにしている犬に対しては、何らかの対策が必要になります。この時に大切なのは、犬がなぜ怒っているのか、なぜ威嚇する必要があるのか、その理由をはっきりさせることです。

たとえば、警戒心や不安から威嚇している犬に対して、飼い主も同じように威嚇すると、ますます犬の気持ちは悪い方向に向かってしまいます。歯をむき出しにするだけでなく、噛みつくという行動にまで発展してしまうかもしれません。

また、見知らぬ人に触れられることを嫌がる犬もいます。飼い主以外の誰かが触ろうとした時に歯をむき出しにするのは、このパターンです。この時は、少しでも他人に触れてもらいながら、たくさん褒めてあげましょう。「触らせたら褒めてもらえる」と覚えさせることで、少しずつ他人への警戒心が薄らいでいきます。

このように、犬が歯をむき出す原因によって、対策は変わってきます。将来的なドッグライフも考えて、犬が歯をむき出さずにいられる環境を作っていきましょう。

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