【獣医師監修】猫が頭突きをしてくる! 頭突きの理由とその心理について
猫の愛情表現には、カラダをすり寄せてきたり“もみもみ”してきたりといった可愛らしいものが多いですが、中にはびっくりしてしまうものがあります。今回は、猫が頭突きをしてくる理由について解説します。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
猫が頭突きをしてくる理由
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猫の頭突きは、生後1年くらいまでの仔猫に多く見られる愛情表現です。それでは、なぜ猫は愛情表現として頭突きをしてくるのでしょうか?
仲間に対する愛情表現
飼い猫のみならず、野良猫でも慣れている猫であれば頭突きをしてくることがあります。これは、仲間に気持ちいいこと(撫でられる、エサをもらうなど)をしてほしいという意味合いでの行動です。
猫同士の頭突きは、一般的に多頭飼いや仲の良い猫同士の間で行われます。ずっと一緒に暮らしている二匹の猫が、成長してもずっと頭突きをし続けるのはよくあることです。また、猫同士の頭突きは、特定の組み合わせでよく見られます。すなわち、仲間であることの確認のために頭突きをしているというわけです。
異性に対する愛情表現
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猫の頭突きは、じつは猫と異性の犬を一緒に飼っている時に、よくみられる行動でもあります。仔猫から大人になる段階で異性の犬と一緒に生活していると、猫は異性の犬に頭突きをするようになります。これは人間が相手でも同じで、オス猫は女性の飼い主に、メス猫は男性の飼い主に頭突きをすることが多いようです。つまり、この頭突きは異性への愛情表現であるといえるでしょう。
親に対する愛情表現
猫は、仔猫の頃からずっと世話をしてくれる飼い主を親だと思い込んでいます。この場合の猫の頭突きは、人間でいうハグと同じで、親に対して「信頼しています」「大好きですよ」という気持ちを伝えるための行動です。また、この場合の猫の頭突きは、カラダをすり寄せるなどほかの愛情表現とセットになっていることが多いのも特徴です。
飼い主を主体で考えると「猫を飼っている」という表現になりますが、猫を主体で考えると「ここは私のテリトリー」という気持ちでいます。つまり、自分のテリトリーへの侵入を許す頭突きという行動は、飼い主に対する信頼の証なのです。
成猫の頭突きには要求がつく場合も?
仔猫の場合は純粋な愛情表現と考えていい頭突きですが、成猫になるとある種の欲求も伴ってきます。朝、起きてすぐにする頭突きは「お腹が空いたのでエサをください」という意味だったり、寒い時にしてくる頭突きは「寒いので温めて」という意味だったり…人間の世界では頭突きがこのような意味を持つことはありませんが、猫の世界では、愛情表現やお願いの意味を持つ独特の行動になるのです。
猫の頭突きはやめさせた方がいい?
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結論から言うと、猫の頭突きを止めさせる必要はありません。ただし、あまりに強くぶつかってくる場合は喧嘩を仕掛けている可能性があるので、その場合は放っておくのが賢明です。
頭突きは猫の甘えたい気持ちの表れなので、猫が頭突きをしてきた時は、少し時間をとってしっかりコミュニケーションをとってあげましょう。そして、猫は満足すると、また一匹の世界に戻っていきます。「母猫が3回舐めると、仔猫は満足する」という、猫の性格を表した言葉があります。親でさえ、3回舐めたらもうそれでお役御免となるくらい、猫は気まぐれな性格です。長い間相手をすると、逆に機嫌が悪くなってしまいます。この猫の性格を理解して、仲良く猫と生活していきましょう。