【獣医師監修】猫が赤ちゃん返りをしてしまう理由とは?

人間同様、じつは猫も赤ちゃん返りをすることがあります。急に甘えだしたり、粗相をしたり…。猫はどうして赤ちゃん返りをするのでしょうか。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫の赤ちゃん返り、その行動とは

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しっかりとしつけをされた成猫が、今までお利口にしていたのが嘘のように甘えてみたり、家の中でイタズラを始めたり、粗相をしたり…。そんな時は赤ちゃん返りをしてしまっているのかもしれません。

飼い主が猫のカラダをやさしく撫でてあげると、気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らします。猫がゴロゴロと喉を鳴らす理由は諸説ありますが、一般的に広く知られている説として、「猫の赤ちゃん返り」というものがあります。

仔猫は、母猫の乳を飲んでいる時にゴロゴロと喉を鳴らします。このことから、猫がゴロゴロと喉を鳴らす行動は、安心している、甘えている、母猫に自分の存在を知らせようとしている、などの気持ちを表しているといわれています。

そのほかにも、毛布を吸ったり、前足でふみふみしたりする行動は、母猫に甘えていた仔猫時代の幸せな気持ちを思い出していると考えられており、これも赤ちゃん返りの行動の一種といわれています。

老猫の赤ちゃん返り

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猫が年を重ねて老猫になると、赤ちゃん返りをすることがあります。若い頃は活発で甘えることが少なかった猫が、急に甘えてくるようになります。長く連れ添った老猫が仔猫のように甘える姿は、たまらなく愛おしいものです。

猫がよく甘えるようになる年齢としては、大体9~10歳くらいが目安とされています。人間の年齢でいうと56歳前後です。

その頃になると、以前は軽々と飛び乗れていた高い場所に対して、躊躇するような仕草が見られるでしょう。猫自身が、「もう若くないからなあ」と感じているのかもしれません。実際に体力や筋力も衰えてくるので、猫は無理をしようとしなくなり、結果的に飼い主の近くにいることが多くなるのです。

飼い主が妊娠した時に赤ちゃん返りする

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人間の新婚夫婦に子どもができ、愛情たっぷりに育てている時に、二人目の子どもが生まれたとします。生まれてすぐの赤ちゃんに付きっきりのお母さんの様子を見て、先に生まれた子どもが構ってほしさに甘えだしたり、ぐずったりするのはよくある話ですが、じつは猫もまったく同じ理由で赤ちゃん返りをします。

猫はもともと五感が鋭く、とくに聴覚や嗅覚の機能が高いといわれ、普段嗅いでいるニオイや聞き慣れた音の「違い」に敏感です。

もし飼い主が妊娠したとしたら、たとえばお腹にそっと手を当てたり、いつもよりゆっくり歩くようになったりと、きっといつもと少し違う行動をとるでしょう。猫はそのような違いも敏感に感じ取るのです。そして、赤ちゃん返りの行動をとるようになります。

急に甘えたり、構ってほしくてイタズラをする猫もいれば、中には飼い主のお腹に手を当てたり、耳を当ててじっとしている猫もいるようです。もしかしたら、お腹の中にいる赤ちゃんの鼓動を感じているのかもしれません。また、嫉妬からお腹に猫パンチをしてしまう猫もいるようです。

人間の心理とまったく同じで、猫も飼い主の愛情が自分に向かなくなることに不安を感じるあまり、このような行動をとってしまうと考えられています。飼い主も妊娠や出産となると大変なものですが、猫にも今まで以上の愛情を注いであげましょう。

猫が赤ちゃん返りをしてしまうのは、ごく自然な行動です。それは、長年付き添った飼い主と猫に、しっかりとした関係性があるからこその行動といえるかもしれません。

高齢化や、飼い主の妊娠などのタイミングで猫が甘えてくるようになったら、心ゆくまで相手をしてあげましょう。こうしたコミュニケーションが、お互いの絆をより深めていくことになります。

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