【獣医師監修】チワワの目のトラブル。眼球突出の対処法
うるうるとした大きな瞳が魅力的なチワワ。しかし、その目が大きすぎるために眼球が飛び出してしまうことがあります。この眼球突出(がんきゅうとっしゅつ)という症状、どのようなものなのでしょうか。
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監修:ヴァンケット動物病院 松原且季院長
チワワの眼球突出とは?
犬の眼球に衝撃が加わることで外に飛び出してしまう眼球突出(眼球脱出ともいいます)は、チワワなどの短頭種に多くみられる症状です。外に飛び出してしまった眼球は無防備な状態なので、外傷などのダメージを受けやすく、最悪の場合視力を失ってしまう場合もあります。
犬の眼球が飛び出してしまうというかなりショッキングな状態なので、飼い主も動揺するかもしれません。しかし、急いで対処しなければならない症状なので、まずは落ち着いて、濡らしたタオルなどで患部を保護しながら動物病院へ連れていきましょう。
チワワの眼球突出の原因
チワワの眼球突出は、頭部や眼球に衝撃が加わることで起こります。具体的には、以下のような原因によります。
●ほかの犬とケンカをした時
●交通事故に遭った時
●人間が犬の後頭部を叩いた時
●ものにぶつかったり落下したりした時
●眼窩内腫瘍ができた時
このように、事故だけではなく、たとえば、自転車のかごに乗せていたチワワが誤って落下してしまった、ベッドから落下してしまった、抱っこしていた時に暴れたため思わず落としてしまったなど、飼い主の落ち度によって起こることもあるのが眼球突出です。病気が原因となるのは眼窩内腫瘍(がんかないしゅよう)の場合ですが、眼窩内組織と呼ばれる眼球が収まっている場所に腫瘍ができることで、眼球が押し出されて起こってしまうものです。
チワワの眼球突出の症状
眼球が外に飛び出すといっても、眼球が丸ごと外に出てしまう場合は少なく、眼窩からはずれて少し前に出ている状態の方が多いのが特徴です。眼球突出が起こると強い痛みを伴うため、チワワが攻撃的になることもあります。
眼球が飛び出した状態では、目は常に乾燥状態になり、角膜が傷つきやすくなります。角膜に傷がつくと、細菌などの微生物が感染して角膜潰瘍(かくまくかいよう)を起こす可能性があります。その場合、視力が低下したり、最悪の場合は失明したりすることもあるので早期の治療が必要になります。
また、眼球につながっている視神経が前に引っ張られることで大きなダメージを受け、それが原因で失明してしまうこともあります。
チワワの眼球突出の対策
眼球突出が軽症の場合は、麻酔をして外科手術により眼球を元の位置に戻します。まずは患部を洗浄し、眼球が飛び出てしまったことで内側に巻き込まれたまぶたを引っ張りながら、飛び出した眼球を元の位置に戻します。手術後は、再度眼球が飛び出さないように、そして角膜を保護するために、しばらくの間、上下のまぶたを縫い合わせて、目を開けられないようにしておきます。
眼窩内腫瘍が原因の場合は、腫瘍を治療することが先決です。腫瘍の種類に合わせて、外科手術もしくは抗がん剤治療、放射線治療などを施します。また、視神経がダメージを受けていたり、検査の結果失明していることがわかっている場合、もしくは眼球の状態が著しく悪化していたりする場合は眼球を摘出します。
とくに、チワワは目の構造上、眼球突出が起きやすい犬種です。普段から、頭部や眼球に衝撃を与えないように注意しながら生活することが大切です。些細な衝撃やほかの犬とのケンカなどでも眼球突出が起こる可能性があるので、散歩中はもちろん、家の中にいる時も目を離さないようにしましょう。
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