【獣医師監修】柴犬の毛が抜ける原因は? 抜け毛から考えられる病気と対策

柴犬の抜け毛は、換毛期であればあまり気にする必要はありません。しかし、それ以外の時期にたくさんの毛が抜けたり、カラダの一部の毛がハゲてしまったりしている場合は、病気の可能性も考えられます。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

柴犬の毛が抜ける原因

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まず、柴犬は短毛種なので毛が抜けにくいと思われがちですが、じつはまったく逆で、毛が抜けやすい犬種の一つです。その理由としては、柴犬の被毛がダブルコート(二重構造)になっていることが挙げられます。

柴犬の毛はダブルコート

日本古来の犬種である柴犬は、昔は屋外で飼育されることが一般的で、険しい山岳地帯を駆け回り、小動物などを狩る猟犬として活躍していました。日本の山岳地帯は、冬の寒さも当然厳しいものです。柴犬は、その寒さに耐えられるように被毛が二重構造になっています。

カラダの表面に生えている上毛(オーバーコート)と呼ばれる硬い長毛が、皮膚を紫外線から守る役割を、そして上毛の下に生えている下毛(アンダーコート)が体温調節の役割を果たしています。この二重構造の被毛のおかげで、カラダから体温が逃げにくく、冬の寒さにも耐えられるようになっているのです。

ダブルコートには換毛期がある

ダブルコートの被毛を持つ犬には、一般的に年2回の換毛期があります。1回目は冬毛が抜けて夏毛に生え変わる春、2回目は夏毛が抜けて冬毛に生え変わる秋です。とくに春の換毛期には、やわらかい冬毛がごっそり抜けるので、油断すると部屋中が抜け毛だらけになってしまいます。

このように、柴犬はもともと毛が抜けやすい犬種ですが、換毛期でもないのに大量に毛が抜ける場合は、何らかの病気を患っている可能性があります。

柴犬の毛が抜ける時に考えられる病気

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細菌・寄生虫による皮膚炎

柴犬の脱毛で真っ先に疑われるのが、細菌や寄生虫の感染による皮膚炎です。皮膚がもとから弱い柴犬や、屋外で飼育している場合に発症リスクが高まるといわれています。

脱毛を引き起こす感染症としては、皮膚上で菌が繁殖して化膿する膿皮症、真菌(カビ)が体内で増殖することで発症する皮膚糸状菌症、ツメダニに感染することで発症するツメダニ症、ヒゼンダニに感染することで発症する疥癬(かいせん)、ニキビダニに感染することで発症する毛包虫症(アカラス)などがあります。

アレルギー性皮膚炎

犬の体内にアレルギーの原因となるアレルゲンが侵入し、カラダの許容量を超えてしまうと、アレルギーを発症します。アレルギー症状の一つに皮膚炎があり、この皮膚炎が原因で脱毛の症状が出ることがあります。代表的なアレルゲンは以下の通りです。

●ドッグフード(食物アレルギー)
●花粉・ハウスダスト
●たばこの煙
●ソファやマットなどの繊維
●プラスチック製品

そのほかにもアレルゲンとなり得る物質はたくさんありますが、とくに柴犬に多いのは食物アレルギーであるといわれています。

ホルモン系の病気

柴犬は、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモン、成長ホルモンの異常が発生した時に、脱毛の症状を起こすことがあります。大きな特徴として、痒みや発疹がみられないこと、脱毛が左右対称になりやすいことが挙げられます。

ストレス

柴犬が精神的ストレスを感じている場合、それが原因となって脱毛を起こすことがあります。犬には、ストレスを感じると同じ場所を舐め続けるという習性があり、これを繰り返すことでその場所だけハゲてしまうのです。

柴犬の毛が抜ける時の対策

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上記のような疾患が脱毛を引き起こしている場合、それぞれの疾患を治療することで脱毛は解消されていきます。

細菌や寄生虫の感染による皮膚炎については、動物病院で感染している菌や虫を特定し、薬を使って原因を排除します。アレルギー性皮膚炎にかかっている場合は、症状を引き起こすアレルゲンを取り除きます。

ホルモン系の病気の場合は完治することが難しいため、投薬による症状の緩和がおもな治療方法となります。最後に、ストレスが原因の場合は、犬がストレスをためこまないよう、毎日の散歩や充分なスキンシップを心がけましょう。

このように、柴犬の抜け毛の原因は様々です。小さな異変にもすぐに気づけるよう、日頃から愛犬とのコミュニケーションを大切にしてください。

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