【獣医師監修】猫のダニ事情。症状や原因、治療法、予防法について

外に出かける猫は、ダニに感染するリスクが高くなります。また、完全に室内で飼っている猫でも、寄生される可能性はゼロではありません。感染してしまった場合は動物病院で駆除してもらうことになりますが、まずは予防をしっかりして猫へのダニの寄生を防ぎましょう。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

ダニに寄生された時の症状

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猫につくダニは様々ですが、その中でも多く寄生するのはマダニです。このマダニは草むらにいて、いろいろな病気の媒介の役割も果たす厄介者です。猫に寄生し、血を吸うと小豆ほどの大きさになります。血を吸われた猫は、皮膚病やアレルギーのほか以下のような病気を患うことがあります。

猫ヘモプラズマ感染症

病原体が猫赤血球に寄生し、赤血球を破壊してしまうことで、溶血性貧血を発症します。発熱、食欲不振、黄疸などといった症状もみられます。

ライム症

人間にも感染する病気で、発熱や関節の痛み、食欲不振などの症状が起こります。

また、ミミヒゼンダニという耳に寄生するダニもいます。このミミヒゼンダニに寄生されると、耳が痒くなるので、猫はしきりに耳を気にしたり、頭を振ったりします。また、耳から悪臭がしたり、外耳炎になることもあるので、このような様子がみられた時は動物病院で診てもらいましょう。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

マダニを媒介として感染する、重症熱性血小板減少症候群ウイルスによる感染症です。発症すると、食欲低下や下痢、嘔吐、発熱のほか、歯肉や消化管などからの出血がみられます。犬猫での発症例はまだ少ないようですが、2016年には、野良猫に噛まれた人がこの病気に感染し、死亡するという事件がありました。現在のところ、この病気による犬猫の死亡例は報告されておらず、犬猫を媒介として人間に感染した例も少ないですが、万が一人間に感染した場合には死に至る可能性が高い病気です。また、有効な治療法も発見されていないため、まずは人とペットのマダニ対策を充分に行い、感染を予防することが大切です。

ダニに寄生される原因

猫がダニに感染してしまう原因としては、以下のようなことが考えられます。

外に出ることが多い

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猫がダニに感染してしまうのは、そのほとんどが外に出ている時です。猫が草木やほかの猫などに接触すると、寄生されるリスクが高まります。とくに、マダニは人間にも寄生し、最悪の場合死に至らしめることもあるので注意が必要です。

犬と同居

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犬は外へ散歩に出かけることが多いので、ダニに寄生される可能性が高く、その犬と一緒に猫が暮らしている場合には、犬から猫に感染することも充分に考えられます。

ダニの卵による再発

猫が一度ダニに寄生されると、その時のダニの卵が室内に残っていることがあります。その卵が孵化し、再度ダニに寄生されてしまうというのはよくあることです。猫のダニを駆除したあとも、掃除を徹底してダニ予防を続けていかなければなりません。

飼い主が持ち込んでしまった

珍しいケースですが、飼い主が外出先からダニを持ち帰ってしまうことがないわけではありません。家の中に入る前には衣服をはたき、猫に触れる前にはしっかり手を洗ってからにするなど、できる限りの予防は行うようにしましょう。

ダニの治療法・予防法

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ダニは、「寄生されてから駆除」するのではなく、「寄生される前に予防」することが大切です。というのも、一度ダニに寄生されてしまうと、駆除するのが大変だからです。

完全に家庭内で飼育している猫でも、犬も同居している場合は、犬が散歩でダニを連れて帰ってしまう可能性があるので、散歩後にブラッシングやシャンプーをして、ダニを家の中に入らせないようにしましょう。外で猫を飼っている場合は、定期的にシャンプーをします。

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ダニを見つけた場合は、動物病院で駆除してもらいましょう。家庭でもダニ取り用のブラシやシャンプーなどで駆除はできますが、ダニを見つけたとしても、無理やり取ったりつぶしたりするのはやめましょう。

というのも、猫の皮膚にダニの口が食い込んでいる状態の可能性があるので、無理やり取ってしまうと猫の体内にダニの口だけが残り、そこから感染症が引き起こされることがあるからです。また、ダニをむやみにつぶすと卵が散らばってしまい、さらに被害が大きくなることがあります。

いずれにしても、まずは猫にダニを寄せ付けないことが一番大切です。

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