【獣医師監修】“狂犬病予防接種”はもう受けた? 注射の時期・費用・注意点をおさらい【基本編】
犬と暮らすうえで避けては通れない「狂犬病予防接種」。法律で定められた飼い主の義務でもあるので、正しい知識を身につけておく必要があります。とくに“初めて犬を飼う”という方や、“これから受ける…”という方は、予防接種について改めて確認しておきましょう。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
狂犬病とは? 飼い主の義務とは?
狂犬病とは、ウイルスを保有する動物に咬まれたり引っ掻かれたりして発症する、人獣共通感染症。発症すると人間も犬も致死率がほぼ100%という恐ろしいものです。
日本では狂犬病予防接種の義務化により、1957年以降は犬による人間の狂犬病感染は報告されていませんが、2006年にフィリピンで犬に咬まれて帰国後に発症し死亡したケースも。
そんな狂犬病を撲滅するために施行された法律が「狂犬病予防法」で、飼い主には大きく3つの義務が定められているということをご存じでしたか?
①飼い犬の登録
犬を飼い始めた日(生後90日以内の犬の場合は、生後90日を経過した日)から30日以内に、居住地のある役所や保健所に登録することが法律で義務づけられています。
犬の飼い主を明確にしておくことで、狂犬病が発生した時にその地域において迅速な対応を取ることができるからです。
②狂犬病予防注射
生後91日以上の犬には必ず受けさせ、その後は1年に1回の予防注射で免疫を補強させましょう。
飼い犬を狂犬病から守ることはもちろん、飼い主自身や家族、近所の住人や他の動物への感染を防止することができます。
③犬の鑑札と注射済票の装着
犬の登録をすると「犬鑑札」、狂犬病予防注射の接種を受けると「注射済票」が交付されます。登録された犬であり狂犬病予防注射を受けた犬であることを証明するための標識なので、必ず飼い犬に着けておきましょう。
犬鑑札には登録番号が記載されているので、もし迷子になってしまっても飼い主の元に戻ってくる可能性が高くなります。
狂犬病予防接種の時期と費用は?
◆受ける時期
狂犬病予防接種を行うのは年に1度で、基本的には4月~6月。犬の登録をしておくと、毎年春に市区町村から「狂犬病の予防接種」のお知らせが郵送で届きます。
◆かかる費用
狂犬病予防接種にかかる費用は自治体によって異なりますが3,000円程度というのが目安で、狂犬病注射済票交付手数料が550円です。
動物病院で受ける場合は、病院によって料金が異なるため事前に確認しておきましょう。
Syda Productions/Shutterstock.com
狂犬病予防接種はどこで受けられるの?
自治体での集団接種か動物病院で受けることができます。それぞれのメリット・デメリットを紹介しますので、飼い犬やご自身に合わせたスタイルを選んではいかがでしょうか?
自治体の集団接種で受ける場合
◆メリット
①時間がかからない
注射に特化した準備がなされているので、待ち時間がほとんどなく注射をしてもらえます。複数の獣医師が担当している場合があります。
②手間が少ない
その場で狂犬病予防接種済票がもらえるので、改めて登録に行く必要がありません。
◆デメリット
①集団で接種
たくさんの人や犬が集まるので、慣れていないワンちゃんは怯えたり興奮したりする可能性があります。そのため、ケンカや脱走などに注意が必要です。
②日程が決まっている
各自治体の接種日程に、スケジュールを合わせる必要があります。
行きつけの動物病院で受ける場合
◆メリット
①日程の調整ができる
飼い主のスケジュールに合わせて接種の日時が決められます。
②犬の健康チェックも可能
注射と同時に、体重測定や触診などをお願いすることもできます。
③安心感がある
行き慣れた動物病院であれば、ワンちゃんも落ち着いて受けることができます。そのため、他の犬が苦手なワンちゃんの場合は特におすすめです。
◆デメリット
①料金に差がある
病院ごとに価格設定が違うので事前の確認が必要。自治体で接種するよりも高い場合もあります。
②登録の手間がかかる
狂犬病の注射済証を病院でもらい、役所や保健所まで飼い主が申請に行く必要があります。
※ただし、動物病院によっては注射済票の交付を受託しているところや、登録代行を行っているところがありますので、動物病院にお問い合わせください。
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狂犬病予防接種による副作用は? 気をつけることとは?
◆注射を打つ前の注意点
①体調や食欲・体のどこかに異常はないか
②病気療養中あるいは妊娠中ではないか
③1ヵ月以内にワクチン接種をしていないか
※予防接種後に具合が悪くなったことがある場合は、事前にかかりつけの獣医さんに相談してみましょう。
◆注射を打った後の注意点
①食欲不振ではないか、下痢などの症状はないか
②注射した当日は激しい運動はさせない
③数日間はシャンプーを控える
※1歳未満の犬、高齢犬、体重が軽い犬は、比較的副作用が出やすいのでとくに注意が必要です。
※健康な犬であっても、まれにアナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギー症状を起こすことも。注射から最低1時間ほどは一緒にいて様子を見ておきましょう。
また、狂犬病予防接種はなるべく午前中に受けましょう。もしもの場合、すぐに病院に連れて行くことができます。「どうしても仕事の都合で…」という方は、夜間でも対応してくれる動物病院を事前にチェックしておいてください。
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「小型犬だし室内飼いだから」「絶滅した病気でしょ」と思われる方もいるかも知れませんが、人間と犬の命を守るために法律で定められたものです。飼い主の義務をしっかり果たしましょう!
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Akiyo Aoyama
2017年04月29日 00:31
Sigeki Sakamoto
2017年04月28日 08:11
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松尾努
2017年04月27日 16:30