【獣医師監修】犬の日焼けにご用心! この夏、「日焼けしないための対策」をチェック!
梅雨が明けるといよいよ夏本番。紫外線を浴びることによって皮膚が赤くなるいわゆる「日焼け」は、実は犬にも起こることなのです。日焼けによるリスクは人も犬も同じです。日焼けしないための対策を整え、この夏を快適に過ごしましょう。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
日焼けは、被毛の色と毛の密度が影響する!
Olga Pink/Shutterstock.com
日焼けとは、太陽光に含まれる紫外線によって、皮膚が炎症を起こす現象です。犬の場合、被毛で皮膚を守っており、紫外線が直接皮膚に当たるのを防いでくれるので、人間のようにすぐに皮膚が赤くなるということはありません。日焼けしやすいかどうかは毛の密度によって異なるのです。
紫外線の影響を受けにくい犬
毛が密に生えている犬(一般的にアンダーコートがある犬種。とくに柴犬はアンダーコートがかなり密なことで知られています)は、紫外線が皮膚に届く量が少ないので、影響を受けにくいと言われています。
紫外線の影響を受けやすい犬種
ヘアレスに分類される犬種(チャイニーズ・クレステッド・ドッグ)や、アンダーコートがほとんどなくシングルコートが長く伸びる犬種(マルチーズ、プードル、ヨークシャー・テリアなど)は、毛がさほど密集していないので影響を受けやすいと言われています。
また、皮膚のメラニンは紫外線を吸収してくれるので、メラニンが多い濃色被毛の犬も紫外線の影響を受けにくいと考えられています。被毛の色に関しては、同じ犬種でもチワワのように黒や茶色のチワワもいれば、白いチワワもいるので犬種で分けることはできませんが、へアレスドッグや、シングルコートのマルチーズ(マルチーズは白のみです)や脱毛で毛がまばらになってしまった淡色の犬などは注意が必要です。
とくに腹部など、毛が薄い場所が日焼けしやすい場所です。また、夏場はアスファルトの道路が予想以上に熱くなります。熱いアスファルトで肉球を火傷してしまうこともあるので、昼間の散歩は避け日陰を歩くなど十分注意しましょう。アスファルトを触ってみてまだ熱いようなら、草地のある公園までカートに乗せて連れて行ってあげることをおすすめします。
犬が日焼けをするとどうなるの?
犬の場合、人のように白い肌が小麦色になったという日焼けではなく、日光を過剰に浴びることで日光皮膚炎になる可能性があります。日光皮膚炎になると皮膚が赤くなったり、硬くなったり、厚みを帯びたり弾力を失ったりします。このような症状が見られる場合は、動物病院での受診が必要になります。とくに顔や腹部の毛の薄い部分、鼻の上に症状が出やすいので、できるだけ直射日光を避けることが大事です。
日光皮膚炎に気づかず放置しておくと、皮膚炎になったり、皮膚ガンのリスクが高くなったりします。
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日焼けをしないための対策とは?
〈対策1〉飼育環境の確認
色素が薄い、高地に住んでいる、日陰がほとんどない屋外で飼育しているなど、日焼けのリスクが高い条件下でなければ、さほど日焼けを気にする必要はありません。ただ、ひとつでも条件が当てはまるようであれば紫外線が多い時間帯の散歩を控える、屋外飼育の場合は室内飼育への移行を検討する必要があります。
〈対策2〉トリミングに注意
夏を涼しく過ごせるようにサマーカットをする方もいますよね。見た目は涼しそうに見えるのですが、それまで被毛で守られていた皮膚に直接日光が当たると皮膚にダメージが生じ、日焼けを起こしやすくなります。
また、被毛には日光による熱が体に直接伝わることを防いでくれる役目もあるのです。被毛が紫外線を防いでいるということを考えると、バリカンで短くすることは日焼け対策としては適していない面もあります。
〈対策3〉紫外線をできるだけ防ぐ
散歩など外出する際は、被毛の薄い部分に犬用の日焼け止めクリームやスプレーを使用したり、水に濡らして使うクールダウンTシャツなどを着用したりすることも効果的です。また、室内でも直射日光が強く当たる場合は、UVカットのシートなどを窓に貼って紫外線を防ぐ方法もあります。
犬の日焼けに関して神経質になる必要はありませんが、できるだけ真夏の強い紫外線から愛犬を守ってあげてくださいね♪