【獣医師監修】猫の耳の状態から読み取るサイン。 チェックすべきポイントと お手入れ方法について
猫の耳は不思議。言葉は話せなくても、耳が感情や気持ちを代弁してくれます。汚れやニオイは、耳ダニや病気のサインです。耳掃除もお忘れなく。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
耳は口ほどにモノを言う!?
言葉がしゃべれない動物は、カラダのパーツやしぐさで相手に自分の気持ちや感情を伝えます。猫の場合は、耳が口の代わり。耳のしぐさをじっくり観察して、猫の気持ちを読み取ってみましょう。
いつもは立っている耳が、犬の出現や突然の物音で後ろ向きに反りかえるのは「恐怖」や「怒り」のサインです。端的にいうと「あっちにいけ!」という気持ちの現れです。耳を後ろに反らすのが「恐怖」や「怒り」を表しているとしたら、横向き加減の耳はリラックスしている状態を表しています。また、耳がピーンと立っている時は、何かに興味を引かれている時。同時に黒目が大きくなっていたら興奮状態にあるといえるでしょう。猫の耳は左右バラバラに動きますが、落ち着きがなく、あちこちに耳を傾けている時は周囲に獲物がいないか意識を集中させていたり、敵がいないか少しだけ不安になっていたりするかもしれません。
猫は地獄耳の持ち主
猫は、五感の中でもとくに聴覚に優れています。小さなネズミ類を捕食するために、甲高い鳴き声や小さな物音も聞き逃さないように進化したと考えられています。私たち人間が絶対に聞き取ることのできない「高周波」も察知する地獄耳の持ち主なのです。また、突然、玄関の方を向いたり、玄関の方へ駆けて行ったと思ったら、それからしばらくして家族の誰かが帰ってきたという経験をお持ちの飼い主も少なくないはず。猫の耳には遥か遠くの足音が聞こえていたのですね。人間の聴覚が聞き取れるもっとも高い波長は2万ヘルツですが、猫はその1.5オクターブも高い6万ヘルツとう高周波を聞き取ることができます。ただし、低い音を聞くのは苦手なようで、猫が男性より女性によくなつくのは、高い声で話すからだといわれています。
猫は寝ているように見えても、音をいち早くとらえ、自分に危険が及ばないよう常に警戒を怠りません。猫にとって、耳は自分を守り、自分の気持ちを伝える大切な器官です。それだけに、耳のお手入れも欠かせません。定期的に耳の状態をチェックしてあげましょう。
耳を気にするのは病気のサイン
耳を掻いたり、頭を振ったりと、しきりに耳を気にする時は耳の病気を疑いましょう。耳の病気で多いのは外耳炎ですが、外傷や細菌感染、真菌感染、耳疥癬(みみかいせん:ミミヒゼンダニの寄生)、アレルギー、腫瘍、虫や植物の種子などの異物混入などが原因になりえます。
外耳炎の症状は原因によって若干異なりますが、痒みなどの他に、かさぶたができる、くさいニオイがする、耳垢が増える、などが挙げられます。放っておくと内耳炎を起こすこともありますので、悪化しないうちに病院へ連れて行きましょう。
また、猫に熱があるかどうかは、普段ひんやりしている耳を触るとわかりやすいです。耳が熱いと感じた時は発熱のおそれも考慮に入れましょう。
耳の健康にはお手入れが大事
耳を健康に保つためにも、普段からのお手入れが欠かせません。ただし、必要以上のお手入れは耳に傷をつけてしまうおそれがあるため、耳アカの量や汚れなどをチェックして、タイミングを見計らって行うことが大切です。
耳掃除の方法は、コットンを水か耳用クリーナーで濡らし、やさしく耳の内側をふき取ります。水分により細菌が繁殖することを防ぐため、耳の中に直接イヤークリーナーを垂らしてもよいですが、耳の中に残っても問題のない製品を使用することをおすすめします。なお、綿棒は耳を傷つけるおそれがあるため使用は控えます。
名前を呼んだあと、片耳だけ動かすのは返事の代わり。一緒に生活していると、ちょっとしたしぐさや耳を見れば、愛猫の気持ちがわかってきます。気まぐれな猫だからこそ、その時々の気持ちを受け止めて、一緒に快適な時間を過ごしたいですね。
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