猫びより
【猫びより】ピアノは猫系楽器?~猫は芸術の友!パリ郊外アルジョントゥイユ~【from France】

【猫びより】ピアノは猫系楽器?~猫は芸術の友!パリ郊外アルジョントゥイユ~【from France】

【Cat News Network】(猫びより 2019年3月号 Vol.104より)

  • サムネイル: 猫びより編集部
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ピアニストとして1999年に渡仏した遠藤奏恵(かなえ)さん。4年後に「24時間、好きな時に好きなだけピアノを弾きたい」と、パリのアパルトマンから、パリ郊外の広大な庭付きの一軒家に住まいを移した。
すると同じ敷地内に住む大家さんが保護した猫が、ピアノの音色に惹かれてか、なぜか奏恵さんの家に居つくように。

ピアノの蓋を開けると、中を探検。ピアニスト仲間の猫で、中に入ることが好きな猫は多いのだとか

ピアノの蓋を開けると、中を探検。ピアニスト仲間の猫で、中に入ることが好きな猫は多いのだとか

「大家さんからは『あなたは猫泥棒よ!』と笑われましたが、北海道の実家では猫を飼えなかったので、幼い頃に猫と暮らしたかったという、忘れていた気持ちが思い出されて、嬉しくなりました」。

ミミと奏恵さん。コンサートなどから帰宅すると、熱烈大歓迎で奏恵さんを迎えます

ミミと奏恵さん。コンサートなどから帰宅すると、熱烈大歓迎で奏恵さんを迎えます

その後も何匹かの猫がピアノを弾く奏恵さんのかたわらで過ごしたが、2年前の6月に、音楽学校の生徒さんから「子猫が生まれた」と聞き、見に行くと一目惚れ。引き取り、子猫にはプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」のヒロインより、ミミ(♀)と名付けた。

譜面が並ぶ前の椅子が、ミミのお気に入りの場所

譜面が並ぶ前の椅子が、ミミのお気に入りの場所

「ピアノは生き物で、猫のような楽器なのですよ」と話す奏恵さん。
「ピアノはその日によって、とてもコンディションが違います。また1日触れていないだけで、調子が変わることもあります。だから調律師という仕事もあるのですが、調律師さんとはよく、『いろいろと気分が変わるこの気まぐれさは、犬じゃない。まさに猫だね』と話しています」

この日は快晴。外に出たいニャ

この日は快晴。外に出たいニャ

ピアニストである以前に人として、猫のように生きたいと思うことも多い。
「人間は思考が邪魔をして、不自由なところがあるでしょう?でも猫を見ていると、やりたいことをストレートにする。もちろんすべての人間がやりたい放題では、世界はメチャクチャになってしまいますが、猫の自由さは見習うべきだと思います」という奏恵さんの最近の愛読書は『Agiret penser comme un chat(猫のように振る舞い、考えること)』。

「私は周りからよく、『あなたって猫みたい』と言われますが、猫は同類というか、仲間であり友達ですね。猫がいると、生活がさらに豊かになります」

外の澄んだ空気を満喫中のミミ

外の澄んだ空気を満喫中のミミ

猫によってはピアノに対する反応も違うようで、鍵盤を歩く子、一緒にペダルを踏む子、譜面をめくる子、「弾いて」とねだる子など様々だが、ミミはピアノの中を探検するのがお気に入り。また木々が生い茂る広い庭で遊ぶのも大好きだ。
「つい最近、パリでピアノを自由に弾ける物件を薦められたのですが、外出が好きなミミを思って断りました。ピアノのために郊外に越したのに、今では猫のために郊外を選んでいます(笑)」

CD制作やコンサート、音楽学校の教師など、フランスを拠点に高く評価されています

CD制作やコンサート、音楽学校の教師など、フランスを拠点に高く評価されています

猫のような楽器を弾く猫のようなピアニストと、猫。
猫は芸術の友である!

(写真・文 堀晶代)

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