認知症の柴犬「しの」を支える猫「くぅ」。ふたりの日々を綴ったフォトブック『くぅとしの』が発売
晴さんのもとで暮らす猫のくぅと柴犬のしの。保護犬だったしのに、同じく保護猫のくぅは初めて出会って一目ぼれ。徐々に距離を近づけますが、やがてしのは認知症を発症します。衰えていくしのにくぅは常に寄りそい、介護の匠と呼ばれるほどに。そんなふたりの日々を綴ったフォトブック『くぅとしの』が5/25(土)に発売されました。
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ふたりの出会いは一目ぼれ
ともに保護猫・保護犬だったくぅとしの。広島県で多数の猫たちと暮らしていた晴(はる)さんのもと、ふたりが出会ったのは2013年夏のことでした。
2011年に晴さんが通勤中に見つけ、保護したしのは、迷い犬と思われましたが引き取り手が見つからず晴さんのもとに。患っていた皮膚病も回復し元気になりました
くぅはお部屋の中で、しのはお庭の犬小屋で、最初は別々に離れて暮らしていたふたり。2013年の夏のある日、たまたま玄関にいたしのの姿を目撃して以来、くぅの目はしのに釘付け。一目ぼれしたその日からアプローチが始まったけど、くぅは野良時代の記憶からか外が怖くて、窓を見ることもできません。しばらくはもどかしいすれ違いの日々が続きます。
2012年に晴さんの職場近くで保護されたくぅ。満身創痍で問題行動を繰り返し、何匹もの猫を保護してきた晴さんでも手を焼く子でしたが、ほかの猫やしのと暮らすうちに明るく優しい性格に
やがて引っ越しを機にふたりとも室内で過ごすようになると、くぅは毎日のように猛アタックを開始。隙あらばタッチや添い寝を繰り返されて、しのもついに根負けして受け入れてくれるように。やっと思いが通じたくぅ、もふもふと幸せな時間を過ごすのでした。
しのの認知症発症、寄りそうくぅ
一緒にいるだけでふたりは幸せ
保護された時点で推定10歳と高齢だったこともあり、しのには引っ越しから半年ほど経って認知症の兆候が。家具の間に挟まって後ずさりができなくなる、散歩でもまっすぐ歩けなくなる、車に乗るのが苦手になるなど、以前には難なくできたことができなくなっていきます。食事も今まで通りにはいかなくなり、手がかかるようになりましたが、そのぶん愛しさも増していったそう。
ごはんドロボーはご愛敬
文字通りの献身で、やがて「介護の匠」へ
今日も井戸端会議。話の中身はないしょです
そんなしののことを、最初は心配そうに見ているだけだったくぅ。だけどある時、動けなくなっていたしののピンチを晴さんに知らせ、また初めてのてんかん発作の時にはぴったりと寄りそい、支えてあげるという出来事がありました。
ここからくぅの介護が始まります。徐々に効率的なやりかたを覚え、「匠」へと進化していきました。
おしりでグイっと目線を持ち上げます
一緒に歩幅を合わせて歩くだけでなく、まっすぐ歩けないしのを全身で支えてあげたり、しっぽや頭で誘導してあげたり。得意技は、うつむきがちなしののアゴの下にすっと入って、おしりで目線を上向かせてあげる「おしり技」。たまに愛が深すぎてしのを困らせちゃうこともあるけど、ふたりはいつでもとっても仲良しです。
寝かしつけるはずがくぅの方が先に寝ちゃったり、寝相が悪くて起こされちゃうこともあるけど、しのは怒りません
しのの老化は進み、やがては自力で動くことも困難になります。それでも、ふたりはいつも一緒。表情も乏しくなっていきますが、くぅがそばにいると安心した顔を見せて、添い寝してあげるとひとりの時よりもぐっすり眠るようになりました。
ふたりの姿を収めようとするけど、くぅの撮影許可が下りないこともしばしば
ふたりの間に流れる穏やかな時間を感じられるフォトブックは、てんかん発作対策としてのサークルの製作など、晴さんが実際に行ったケアの様子も掲載。柴犬は平均寿命が比較的長く、認知症が多い犬種といわれます。飼っている犬がシニア期にさしかかり、そろそろ介護のことも気になってきたという方にもオススメな一冊、ぜひとも手に取ってみてくださいね。
書名:くぅとしの
仕様:A5変型判/112Pオールカラー
出版:辰巳出版
発売:2019年5月25日
著:晴(はる)
広島在住。くぅとしのの他に、6匹の保護猫たちと暮らしている。SNSにて、くぅとしの、他にゃんずたちの日常を公開中。
ブログ「ひだまり日和」:https://ameblo.jp/hinatabocco386
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