【猫びより】Nyamour(ニャムール) ♡ パリより猫に愛を込めて[3]【from France】
【Cat News Network】(猫びより 2019年5月号 Vol.105より)
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愛の日には猫を
幼い頃から猫と暮らすことが夢だったサラ・チミカさん。しかし実家では母が猫アレルギーだったり、就職してからは出張が多かったりで、猫とゆっくり過ごす時間がもてなかった。
「結婚を機に在宅でできる仕事に転職し、やっと猫と暮らせる! と喜びました。でも主人が猫アレルギーで……。猫との生活は叶わないと諦めました」。
サラさんとヴィーナス。自宅で仕事するサラさんの邪魔をしますが、それも愛おしいのだとか
だが愛する妻が落ち込む様子を見て、奮起したのがご主人のアレクサンドルさんだ。アレルギー専門のクリニックに通い、2年かけて猫アレルギーを克服。保護組織からグレーの猫を引き取り、サラさんにプレゼントした。
「それがバレンタインデーの日だったので、猫にはローマ神話の愛と美の女神にちなんで、ヴィーナス(♀)と名付けました!」。
ヴィーナスはノラ猫の多いフランスの海外県「レ・ユニオン」から飛行機に乗ってフランスにやって来ました。
その名残か、ベランダで外の空気を楽しむのが好き
その後はご主人もすっかり猫の魅力にハマり、ホストファミリー(里親を探すまでの一時預かり家庭)になることを決意。預かった猫の中でも黒猫のプッチーニ(♂)にはご主人が惚れ込んでしまい、正式にうちの子に迎えた。
黒猫のプッチーニと、一時預かりのブランベル。
「もう1匹くらいなら飼えるかしら? と思っていたところ、主人が保護組織で、あまりにも臆病なため人間に心を開くことを願ってフリカ(♀、北欧神話の愛と結婚と豊穣の女神)と名付けられたサビ猫を見つけたのです。フリカは私の誕生日に引き取りました。夫婦で愛を祝う日に、猫がやって来るって素敵でしょ!」。
一時預かりのブランベル。ストレートな猫愛を感じるインテリアです
今は3匹の愛猫と暮らしながら、ホストファミリーとしても猫を随時預かっている。
「猫は存在感や距離感が絶妙で、主従関係がないことに惹かれます」というサラさんは、長年の夢だった猫たちとの生活を満喫しているようだ。
「猫じゃらしが上手いって、皆から褒められるの」と嬉しそうなサラさん
フランス初のエッセイ風ネコ漫画!
南仏アルル近くの実家から、フローランス・ジョダールさんが就職でパリに来たのは2003年。
「実家では猫を庭で放し飼いにしていたので、パリの広くはないアパルトマンで猫を飼うのは無理だと思いました。でもパリ生活が7年経ったとき、『猫のいない暮らしは、なんと生活感がないのだろう』と急に虚しくなったのです」。
窓際のヨシ。
パリは窓やベランダからの猫の転落事故が多いので、ネットで完璧に防備
そこで近所の獣医さんを覗くと、里親を募集しているチラシが目に入った。
「仲の良いグレーの兄妹で、引き離すのも不憫に感じ、2匹まとめて引き取りました。私は日本が大好きなので、猫たちには和風にネコ(♀)とヨシ(♂)と名付けました」
ヨシ、ネコ、フローランスさん。
なぜか皆の目線が揃います
そこからは猫ナシ生活を耐えてきたフローランスさんの猫愛が炸裂する。猫たちが退屈しないように、気に入りそうな猫グッズを次々と購入。
そして「私、猫バカなんです」と笑うフローランスさんは、パリのアパルトマン暮らしならではの「猫、あるある」を日々書き綴った。
「猫は何をしていても見飽きないし、見飽きない自分にも呆れています」。
ヨシ。最新のオモチャは、プール型水飲み場
猫日記に友人が作画をし、漫画としてインターネットで発信するようになったのが16年。そのほのぼのとした猫生活にある出版社が目を留め、昨年、ついに漫画は書籍化された。
ネコのお気に入りは、クッションがたくさんあるソファ
ちなみにフランスには、日本にあるようなエッセイ風ネコ漫画は皆無。擬人化された猫が政治や宗教を風刺したり、子供向けなら冒険ものがほとんどなので、フローランスさんはフランス初のエッセイ風ネコ漫画の作者となった。
「猫好きだからこそ読む漫画」として、フランスで新鮮な驚きを与えている。
フランス初のエッセイ風ネコ漫画『30歳女子と、猫2匹』。
日本のネコ漫画で好きなのは、『チーズスイートホーム』
(写真・文 堀 晶代)
Akiyo Hori
日仏を往復するワイン・ライター。
著書に『リアルワインガイド ブルゴーニュ』(集英社インターナショナル)。
大阪の自宅には拾ったメインクーンとアメショーが2匹。