【猫びより】猫ファーストな猫カフェ「猫が幸せなら人も幸せ」 ~パリ15区~【from France】
【Cat News Network】(猫びより 2019年7月号 Vol.106より)
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パリの魅力のひとつはカフェ文化。しかし近年は個人店主の営む味わいのあるカフェよりも、外資系などのチェーン系カフェが、カフェ文化を席巻しつつある。
だからこそ2013年からたった6年もの間に、パリに個性的な猫カフェが3軒も生まれたことは、とても驚くべきことである。
クール・ジャパンな従業員さんは、猫じゃらしもお手のもの
けっして広くはないパリという街で人気が高まる猫カフェは、3軒ともコンセプトがそれぞれに違う。
だがパリで初めて猫カフェができた当時は、大方は好意的な好奇心で迎えられたものの、「猫をビジネスにしてはならない」「猫に住む場所を提供する資金があるなら、いまだにパリに多くいるホームレス問題に取り組むべきだ」という非難の声も多く上がった。
よって、「猫のために、そして人のために」という明確な姿勢がなければ、パリで猫カフェはけっして受け容れられない。
その中でも、「不思議とまったりしていて寛(くつろ)げる」と評判なのが、4年前に15区という住みやすさで知られる場所にできた「Chat MallowsCafé(シャ・マロー・カフェ)」だ。
手作り感に溢れたファンシーな空間で寛ぐ猫たち
複数の猫好きがオーナーであるこの猫カフェのコンセプトは、「猫を知って、好きになってもらって、そして猫と暮らそうと思う人たちが増えること」。そのためには猫たちのもっとも魅力的な姿を伝えようと考えたという。
猫たちがつねにノンビリできるように、ついついはしゃいでしまう6歳以下の子供は入店できず、12歳以下の子供には保護者が付き添う。また一度に多くの客が来ることや、激しい客の出入りで猫たちが戸惑わないように、基本的には予約制にするなど「猫ファースト」を徹底した。
笑っているような寝顔です
「カフェをオープンしてから改めて感じることは、パリはエキサイティングな街であると同時に、都会ならではのストレスも多いということ。幸せそうな猫たちと過ごしていると、人間も幸せな気持ちになります。お互いに癒やし、癒やされ。ZEN(禅)な空間になりつつあります」
猫との距離が近づけるように、椅子は低めに設定しています
フランス人は本当に「ZEN」という言葉を好む。もっともフランス中の猫カフェを見てきた日本人の私にとっては、この猫カフェはときに敷居の高さすら感じるフランス的なオシャレ感がなく、手作り感に溢れていてファンシー。
「日本人の観光客もいらっしゃいます」と話すが、ZEN以前に、素直に猫たちとニャごめるところが、パリという街に疲れたときに、ふと立ち寄りたくなる。
Chat Mallows Café
30 Rue des Volontaires 75015 Paris
メトロ12番「Volontaires」から徒歩1分
定休日:月・火曜
http://chatmallowscafe.fr
Akiyo Hori
日仏を往復するワイン・ライター。
著書に『リアルワインガイド ブルゴーニュ』(集英社インターナショナル)。
大阪の自宅には拾ったメインクーンとアメショーが2匹。
(写真・文 堀晶代)