【獣医師監修】犬が吐く(嘔吐する)原因や対処法は?下痢を伴う場合は早急に動物病院へ!

【獣医師監修】犬が吐く(嘔吐する)原因や対処法は?下痢を伴う場合は早急に動物病院へ!

犬は人間に比べると、嘔吐をすることが多い動物として知られています。とはいっても、油断は禁物。どんなものをどんな様子でいつ吐いたかを、よく見ておいてください。症状によっては、早急に動物病院へ向かい、治療を開始する必要があることも頭に入れておきましょう。

  • サムネイル: PECO編集部
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犬の嘔吐の原因は?「生理現象・病気」

犬の嘔吐の原因は?「生理現象・病気」


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犬は、病気ではなく生理現象で吐くことがあります。

たとえば、散歩中に草を食べたあとや、水をがぶ飲みしたあと、食べ過ぎた場合など。

苦しそうな様子では吐かず、犬自身が体を正常に保つために行っているので、毎日のように続かなければさほど気にする必要はありません。

けれども、そういった理由なしに嘔吐する場合、病気の可能性があります。

嘔吐が症状となる病気は、数多く存在します。

獣医師がまず疑うのは、胃や腸など消化器の病気。胃腸炎や、異物誤飲、腸閉塞などです。

キシリトールやブドウなど犬が中毒を起こすものを食べた症状で、吐いている場合もあります。

熱中症で嘔吐や下痢の症状が現れることも、少なくありません。

ほかに、急性腎不全、急性膵炎、腎炎、肝炎、尿毒症、腹部の腫瘍や悪性リンパ腫、子宮蓄膿症、さらには神経系の病気で嘔吐が生じる可能性があります。

吐きたそうな様子を見せるのに吐けないで震えている場合、胃捻転の疑いがあります。

胃捻転は、大型犬をはじめ胸の深い犬種がかかりやすい病気で、口の中には、白い泡や透明の粘液が見られることも特徴のひとつ。食道に水が溜まることがあるので、水だけは吐き出すかもしれません。

処置が遅れると命を落とす危険性が高い病気なので、前述したような様子を愛犬が見せていたら、動物病院に急行してください。

犬の嘔吐に下痢の症状が伴う場合は要注意!

犬の嘔吐に下痢の症状が伴う場合は要注意!


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嘔吐と下痢の両方の症状が同時に出現するケースもめずらしくありません。

異物を飲み込んでしまい、異物が胃の出口を塞いだり腸にまわり腸閉塞を起こした場合、嘔吐とともに頻回の下痢を起こすので要注意。

腸閉塞は緊急で手術を行わないと、命に関わります。

そのほか、中毒や胃腸の病気でも嘔吐に下痢が伴う例が多数あります。

激しい嘔吐と下痢が生じる場合、とくにワクチンプログラム終了前の子犬やワクチン未接種の犬では、犬パルボウイルス感染症、犬ジステンパー、犬伝染性肝炎などの感染症が疑われるでしょう。

フィラリア症や、内部寄生虫が原因で嘔吐と下痢を併発することもあります。

いずれにしても、嘔吐と下痢とを繰り返す場合は、早めに獣医師による診察を受けてください。

犬が空腹時に黄色い液体を吐く場合の対処法!

犬が空腹時に黄色い液体を吐く場合の対処法!


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胃が空っぽになると、胃酸が胃壁を刺激して吐き気を催すことがあるでしょう。

とくに、早朝などに、黄色い胆汁が混じった胃液を吐く犬が少なくありません。

空腹時によく吐く愛犬への対処法としては、食事を与える回数を増やすこと。

1日2回与えていて吐くのであれば、飼い主さんの就寝の直前などに1回増やして1日3回以上与えるのがおすすめです。

もちろん、1日に与えるご飯の量は増やさず、1回あたりの量を減らして調節してくださいね。

それまでは胃液を嘔吐することがなかったのに、数日間続けて吐くようになった場合は、胃腸の病気や異物誤飲の可能性も否定できません。

食事の回数を増やしても、空腹時に苦しそうに胃液を吐く場合は病院を受診しましょう。

犬の嘔吐物に茶色や黒の血液が混ざっている?

茶色や黒色の嘔吐物は、血液が混じっていることも考えられます。

嘔吐物に血が混じっている場合は、胃や食道などからの出血の可能性があります。

具体的には、胃炎や胃潰瘍、胃や食道などの腫瘍が出血の原因になります。

出血してから嘔吐までの時間が長ければ、嘔吐物は茶色や黒色になり、時間が短ければ赤い鮮血が見られるでしょう。

ただし、ドッグフードが茶色いので、ドッグフードの色なのか血液なのか、見分けがつきにくいのも事実。

嘔吐物に血が確認できる場合は、なるべく早期に動物病院に訪れたいものですが、ドッグフードなどの色である可能性もあるため、嘔吐物を持参して獣医師に確認してもらうようにしましょう。

犬も人間等同様にストレスで嘔吐する?

犬も人間等同様にストレスで嘔吐する?


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人間同様、犬も精神的なストレスが原因で吐くケースもあります。

環境の変化、運動や遊びに対する欲求不満、屋外飼育をはじめ飼い主さんとのコミュニケーションが満たされない孤独感、相性の合わない同居犬や同居猫との生活など、犬の性格によって異なりますが、犬たちが抱くストレスの原因は挙げればきりがありません。

ストレスにより自律神経が乱れると、胃腸に症状が出るため、なるべくストレスを与えない生活を心がけてあげましょう。

乗り物酔いで吐く犬もめずらしくありません。

乗り物が苦手な愛犬には、酔い止めを動物病院で処方してもらったり、乗り物に乗る前は食事を控え目にするなどの対処を。

愛犬が嘔吐した場合、脱水症状に注意!

愛犬が嘔吐をしたら、飼い主さんは何を吐いたのかをよく観察するのが鉄則。

フードがそのままの形で吐き戻されているか、ある程度消化された状態か、異物が混ざっていないかをよく見てください。

通常、胃からは半日以内に内容物が腸へと流れます。

もしフードがあまり消化されていない状態で吐き戻されたようであれば、胃腸の動きが悪いか、消化のしづらいものを食べた可能性があります。

最初の嘔吐後に元気であれば、慌てずに様子を見ましょう。

できれば、脱水にならない半日以内の短時間、愛犬に絶水をさせます。

嘔吐をすると、愛犬はおそらく水を飲みたくなりますが、飲水が刺激となり吐き気を催す可能性があるので要注意。

絶食もさせてください。それでも嘔吐が複数続く場合は、すぐに病院へ向かいましょう。

犬が「吐く(嘔吐)」まとめ

犬が「吐く(嘔吐)」まとめ


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ひと口に嘔吐と言っても、その原因は様々。嘔吐が原因の病気には、愛犬の命に危険がおよぶものもあるので注意が必要です。

吐いたあとに元気そうにしているならば、様子を見たり、対処法を実践するとよいでしょう。

けれども、吐く回数が多かったり、下痢を伴っていたり、吐いたあとにぐったりしているようならば、吐しゃ物そのものや写真を持参して、早めに動物病院に向かってください。

監修者情報

監修者情報


箱崎 加奈子(獣医師)
・学歴、専門分野
麻布大学獣医学部獣医学科

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ライタープロフィール

ライタープロフィール


臼井 京音 Kyone Usui
フリーライター/ドッグ・ジャーナリスト。
旅行誌編集者を経て、フリーライターに。独立後は週刊トラベルジャーナルや企業広報誌の紀行文のほか、幼少期より詳しかった犬のライターとして『愛犬の友』、『ペットと泊まる宿』などで執筆活動を行う。30代でオーストラリアにドッグトレーニング留学。帰国後は毎日新聞での連載をはじめ、『週刊AERA』『BUHI』『PetLIVES』や書籍など多数の媒体で執筆。著書に『室内犬気持ちがわかる本』『うみいぬ』がある。

コンテンツ提供元:愛犬と行きたい上質なおでかけを紹介するWEBマガジン Pally

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