【獣医師監修】犬の平均寿命は何歳? 健康で長生きしてもらうには

【獣医師監修】犬の平均寿命は何歳? 健康で長生きしてもらうには

愛犬には、少しでも元気で長生きしてもらいたいもの。日本に暮らす犬の平均寿命や、犬種別の平均寿命を頭に入れつつ、健康寿命を延ばす秘訣も探っていきましょう。

  • サムネイル: PECO編集部
  • 更新日:

ギネスで最高齢の犬は約30歳も、20歳ならば長寿

ギネスで最高齢の犬は約30歳も、20歳ならば長寿


出典 1128432179/ Shutterstock.com

2018年現在でギネス記録に認定されている最高齢の犬は、オーストラリアン・キャトルドッグのブルーイーで、1931年に29歳5ヵ月で生涯を閉じたそうです。

その後、同じオーストラリアでオーストラリアン・ケルピーが30歳まで生きたと言われていますが、こちらはギネスには非公認だとか。

中型犬の30歳は人間に換算すると約140歳。1931年以来、ブルーイーのギネス記録を塗り替える長寿犬は出現していません。

いずれにしても、人間でも120歳までが現在の寿命の限界であるとする説が多数を占めるため、犬の約30歳はかなりの長寿と言えるでしょう。

実際には、愛犬が20年以上生きれば人間換算で90歳以上になり、かなりの長生きと言えます。

【参照元】:Oldest dog ever | Guinness World Records

日本で飼育されている犬の平均寿命

日本で飼育されている犬の平均寿命


出典 1411114406/ Shutterstock.com

日本で暮らす犬の平均寿命をご存じですか?

一般社団法人ペットフード協会の2018年12月発表の全国犬猫飼育実態調査の結果によると、2014~2017年の5年間の集計で、犬全体の平均寿命は14.29歳でした。

超小型犬と小型犬の寿命が長いという結果も同時に発表されています。

ちなみに同調査の結果発表には、家の外に出ない猫の平均寿命のほうが、家の外に出に出る猫よりも約2歳長いことも含まれていました。

犬の飼育環境に関しては同調査から発表されていませんが、獣医師の多くは診察経験から、屋外飼育の犬よりも室内犬のほうが寿命がより長いことを感じていると言います。

屋外での生活は、暑さや寒さから体を守るために多くのエネルギーを消費します。

また、飼い主さんとのコミュニケーションが少なく孤独であることや、気候の変化や物音に安眠を妨害されがちな生活が、万病のもとになるストレスにつながる可能性もあるでしょう。

猫の猫エイズのような感染症にかかるリスクは犬には少ないので、猫ほどの年齢の差は生じないかもしれません。

けれども、愛犬に健康で長生きしてもらいたいのであれば、ぜひ室内で安心して過ごせる環境を提供してあげたいものです。

【参照元】:平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査 結果|一般社団法人 ペットフード協会

犬種によって寿命の長い&短いはある?

犬種によって寿命の長い&短いはある?


出典 1431517316/ Shutterstock.com

犬種による寿命の調査と分析の結果を、アニコム損保が2016年に発表しています。

アニコム損保のペット保険の保険金請求データを基に、東京大学との共同研究で行ったこの調査によると、犬種別の平均寿命がもっとも長いのは、イタリアン・グレーハウンドの15.1歳。

次いで、ミニチュア・ダックスフンドとトイ・プードルの14.7歳が2位で並びます。

4位は、柴犬の14.5歳。

5位のパピヨン14.4歳のほか、14歳を超える平均寿命の犬種は、パピヨン、ジャック・ラッセル・テリア、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、カニンヘーン・ダックスフンドでした。

トイ・プードルとダックスフンドのほか、人気犬種ではチワワが13.7歳で12位になっています。

ペットフード協会の調査とは時期が異なりますが、アニコム損保による調査では、平均寿命は小型群(体重5~10kg)が14.2歳ともっとも長く、超小型群(体重5kg以下)が13.8歳、中型群(体重10~20kg)が13.6歳、レトリーバー種などの大型群(体重20~40kg)が12.5歳、超大型群(体重40kg以上)が10.6歳と続きます。

犬の大きさから考えると、大型になるほど寿命が短い傾向にあることがわかります。

【参照元】:
犬種別の平均寿命を調査 | ニュースリリース | ペット保険の加入は「アニコム損害保険株式会社」

アニコムどうぶつNEWS 2016年9月号|アニコム損害保険株式会社

雑種やミックス犬の寿命は長い!?

雑種やミックス犬の寿命は長い!?


出典 1439738948/ Shutterstock.com

都市伝説のように、雑種は体が丈夫であるとか、長生きをすると言われてきました。

実際のところはどうなのでしょうか。

確かに、野犬や野良犬として生き残ってきた“雑種”は、弱肉強食の世界で、生命力の強い個体の遺伝子が受け継がれてきたと言えるでしょう。

そうした元野犬を保護犬として迎えた場合、病気をほとんどせずに長生きする可能性はあると考えられます。

ミックス犬と呼ばれる、純血種同士の交配により誕生した犬の場合は、親犬の遺伝病や虚弱な体質を引き継いでいるかもしれません。

野犬にルーツを持つ雑種とは違い、血統次第では体が丈夫であるとは言い切れないのが実際のところです。

前述のアニコム損保の調査結果では、ミックス犬の平均寿命は小型群で14.3歳で6位、中型群で13.9歳で10位でした。

健康管理に励んでご長寿を目指そう

健康管理に励んでご長寿を目指そう


出典 200056064/ Shutterstock.com

日本に暮らす犬の平均寿命は、この数十年間で飛躍的に延びました。

その理由には、ご飯の質の向上や獣医療の進歩、室内飼育の増加などが挙げられます。

飼い主さんとのコミュニケーションが深まれば、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌されることがわかっています。

オキシトシンは免疫力を高める効果もあるそうです。

日本犬や大型犬でも欧米のように室内で生活をしたり、どんな犬でも適度な運動や脳トレで充足感のある毎日を過ごせば、犬たちの寿命をもっと延ばしてあげられることでしょう。

盲導犬は、家庭犬よりも寿命が長いという研究結果が、水越美奈氏(日本獣医生命科学大学)らによって発表されています。

盲導犬はユーザーとずっと触れ合っていられ、犬たちが本来抱いている作業意欲も満たされ、すぐに体調の異変に気づいてもらえて病気の早期発見と早期治療ができるからではないでしょうか。

私たちも愛犬の心身の健康管理に努めながら、ハッピーなご長寿ドッグになってもらいましょう。

まとめ

まとめ


出典 1439517752/ Shutterstock.com

日本に暮らす犬の平均寿命は約14歳。

食事や運動の適切な管理はもちろんのこと、飼い主さんとコミュニケーションを取りたい欲求や作業欲など、心身ともに愛犬の健康に気遣えば、きっと元気で長生きしてくれるはず!

監修者情報

監修者情報


箱崎 加奈子(獣医師)
・学歴、専門分野
麻布大学獣医学部獣医学科

ライタープロフィール

ライタープロフィール


臼井 京音 Kyone Usui
フリーライター/ドッグ・ジャーナリスト。
旅行誌編集者を経て、フリーライターに。独立後は週刊トラベルジャーナルや企業広報誌の紀行文のほか、幼少期より詳しかった犬のライターとして『愛犬の友』、『ペットと泊まる宿』などで執筆活動を行う。30代でオーストラリアにドッグトレーニング留学。帰国後は毎日新聞での連載をはじめ、『週刊AERA』『BUHI』『PetLIVES』や書籍など多数の媒体で執筆。著書に『室内犬気持ちがわかる本』『うみいぬ』がある。

コンテンツ提供元:愛犬と行きたい上質なおでかけを紹介するWEBマガジン Pally

内容について報告する