犬の生理はいつからはじまる?生理周期から、元気がないときのケアまで
メスの犬を飼い始めるときには「犬の生理」に対する知識や心構えが必要となります。愛犬に初めて生理が来たときには、正しい方法で対処してあげたいですよね。犬の生理は「ヒート」と呼ばれる「発情期」の一環で、人間の生理とは内容がことなります。どれくらいの周期や期間で出血するのか、またどのようなケアをすれよいのか気になるところ。
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目次
今回は、犬の生理の仕組みと飼い主さんが気をつけるべきポイント、そして生理時期に愛犬の元気がないときのケアについても解説します。
「犬の生理」と「ヒトの生理」は別もの!メカニズムを知ろう
人間の生理出血は、排卵後しばらくしてから起こるものです。
まず受精卵が子宮内に降りて妊娠を維持できるよう、子宮壁を整える準備を開始します。
準備しても妊娠に至らなかった場合、その壁がはがれ落ちて経血のもととなります。
犬の生理は、このメカニズムとは根本的にことなります。
犬の生理は「ヒート」と呼ばれ、「発情」を意味します。
犬の場合の出血は「子宮内膜の充血によるもの」。この出血は「受胎準備が整った」というサインなのです。
その発情には周期があり、《発情前期→発情期→発情後期→非発情期→発情前期》とサイクルを繰り返します。
●発情前期:発情に向けて、子宮や卵巣が準備を開始。
●発情期:オス犬と交配し、子犬を授かることが可能。
●発情後期:妊娠・分娩・授乳の時期で、オス犬を受け入れない。
●非発情期:心身ともに落ち着く安定期。
犬の生理は、発情前期と発情期に起こります。
排卵前の段階には、陰部から粘着性のある濃い色の出血が起こりますが、発情期は徐々に色も薄くなり量も減っていく傾向にあります。
犬の生理は生後6~10ヶ月頃からスタート。そのサイクル・期間は?
犬も人間と同じように、妊娠・出産するための身体の準備がスタートしていきます。
犬の生理が始まるのは、性成熟後です。
ここからは、犬の生理の期間やサイクルについてみていきましょう。
生理が始まる時期は?
犬の生理は、通常生後6〜10ヶ月頃に始まると言われています。
個体差がありますので、生後1年経過してから始まる犬もいます。
その後は小型犬で5〜7ヶ月、大型犬の8〜12か月の間隔で、年に1〜2回生理があります。
高齢になるにつれ生理の間隔が開き出血量も減っていきますが、人間のような閉経はありません。
生理のサイクルは?
先に《発情前期→発情期→発情後期→非発情期→発情前期》といったサイクルについて述べましたが、犬の生理とこのサイクルとの関係について詳細にご紹介します。
①発情前期:期間は約8〜10日。血中のエストロゲン(女性ホルモン)が上昇し、陰部の膨らみや出血が始まります。
このとき犬は、フェロモンを含んだ尿をマーキングする行動を起こします。
②発情期:期間は約10日。出血が少なくなり、この期間に入ると2〜3日で排卵が起こります。
排卵前後5日間は、妊娠が可能な期間です。
この期間は出血が止まったように見えたり、量が少ないことで生理が終わったと勘違いすることがあります。
愛犬が望まない妊娠をしてしまう原因ともなるので、オス犬との接触にはじゅうぶん注意する必要があるでしょう。
③発情後期:期間は約2ヶ月。出血が完全に終わり、オスを受け入れることがありません。
これにプラスして約4ヶ月の非発情期があります。
このサイクルを繰り返して、再び生理が始まるのです。
生理のトータル期間は?
出血している期間は約8日前後、長いときには2〜3週間となります。
量が減ってきて色も薄くなりますが、完全に生理が終わったという意味ではありません。
また、出血の量が少なかったり、犬が舐めてしまうこともあります。
確認するには、愛犬の陰部のふくらみをチェック。
また、1ヶ月を超えて出血がある場合は病気の可能性もあるので、動物病院に相談しましょう。
犬にも生理痛はあるの?
人間の生理痛の原因のひとつとしては、子宮の内壁や血液の塊がはがれることで痛みが起こることが挙げられます。
犬の場合は、生理そのものが「子宮内膜の充血によるもの」であるため、痛みはないとされていました。
しかし、体の変化により生理痛は存在し、時には寝込むこともあるようです。
また発情中でホルモンバランスが崩れ、精神的に不安定な状態になっていることも、生理痛やPMSとして考えられることもあるようです。
愛犬の生理中ーお散歩はお休みすべき?おむつ(ナプキン)は?
サニタリーは、必要を感じたら使用します。
生理中で元気がないときには無理に連れ出す必要はありませんが、運動不足となり犬がストレスを感じないためにも、お散歩はしてもよいでしょう。
ただし、オス犬との接触には注意を払う必要があります。
メス犬の生理に反応して発情する可能性があり、興奮したオス犬に付きまとわれるおそれもあります。
犬専用のサニタリーパンツを履かせることで、オス犬を散歩している飼い主さんに生理中だと知らせることができるでしょう。
生理期間中は、ほかの犬と遭遇しない時間帯を選ぶように心がけることもポイントです。
朝と夕方の時間帯にお散歩させる方が多いなら、昼間の時間帯を選べば安心です。
または家の周りを歩く、自宅の庭で運動させる程度にするなどといった工夫をするのもよいでしょう。
ドッグランでは、生理中の犬の入場を禁止しているところがあるので注意が必要です。
愛犬の生理中ー食欲がない、元気がない!飼い主さんにできること
生理のせいで元気がないときは、マッサージを試してみましょう。
まず、愛犬を寝かせてリラックスさせます。
マッサージする箇所は、ヒジの関節より上〜足の付け根、首と背骨の部分。
ゆっくり優しく、ソフトに揉んであげましょう。話しかけながら、いつもよりスキンシップを多くすることも大切です。
生理期間中に食欲がないなら、無理やり食べさせる必要はありません。
心配な場合は、いつものドッグフードに愛犬の好きな嗜好品を加えるのもひとつの方法です。
いつものドライフードを水でやわらかくしたり、ドライフードからウエットフードに変えるなど食べやすくしてあげましょう。
ただし、嗜好品のみを与えると癖になってしまうので注意。また、まったくご飯を食べない日が続いた場合は病気の可能性もあるので、動物病院に相談しましょう。
生理期間が長い気がする……こんなときには動物病院へ!
1ヶ月を超えても犬の出血が続く場合は、子宮の病気である可能性があるので要注意です。
出血自体が少なく、犬が陰部を舐めてしまって、生理期間の長さに気づかないこともあります。
愛犬の行動をしっかりとチェックすることを心がけましょう。
そのほか、犬が陰部を気にする回数が多い、外陰部が腫れる、繰り返し吐く、激しい震え、大量に水を飲むなどの症状が見られたらほかの病気の可能性もあるので、早めに病院へ連れて行きましょう。
まとめ
飼い主さんとって愛犬の生理は、戸惑うことも多いでしょう。
はじめての生理でなくても、状況によって犬の体調が変化することもあるため、毎回注意して観察したいものです。
犬の生理は、体格や種類などによって周期もことなります。
犬の生理について、正しい知識を入れて準備することが大切です。
また、愛犬の「生理期間が長すぎる」「食欲が全くない」「水を大量に飲む」場合は早めに動物病院へ連れていきましょう。
子宮や、それ以外の箇所の病気である可能性もあります。
生理中にお散歩する場合は、ほかの犬や飼い主さんへの気配りと、公共の場所でのマナーを守ることも大切になります。
愛犬を気遣いながら、気持ちよく過ごせるよう心がけましょう。
コンテンツ提供元:愛犬と行きたい上質なおでかけを紹介するWEBマガジン Pally