【獣医師監修】犬のノミの見つけ方や症状は?駆除・退治方法、治療・予防対策、二次感染に注意!
ノミは都市部では公園の草むらなど、気温が13°Cを超える時期、日本国内のどこにでも生息しています。愛犬の散歩などで自宅に連れ帰ると、室内で繁殖してしまう危険性もあります。ノミによる二次感染症や飼い主さんがかかる皮膚病もあるので、たかがノミと油断は禁物!寄生されないように予防を徹底して、駆除法も心得ておきましょう。
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目次
犬のノミ「ノミがつく場所と原因」
犬に寄生するノミの種類は、ほとんどがネコノミです。
成虫で1.5~2mmほどの大きさで、褐色をしていて犬の体表で動きまわります。
ペットの体表にノミを見つけられなくても、小さな黒い糞や、0.5mmの白い粒のような卵を、飼い主さんが発見することもあるでしょう。
愛犬と散歩やドッグランに出かけてノミに寄生されるとすれば、草が多く生えている場所に滞在したことが主な原因になります。
気温が13~14°Cになるとノミは活発になり、産卵を開始。卵が孵化して成虫になるまで、夏場は2週間程度、春と秋は3~4週間程度かかると考えられています。
いったん愛犬が自宅へノミを連れ帰ると、ノミは愛犬の体表のみならずカーペットや畳や寝具などでも産卵をします。
対策を講じないとノミの数は爆発的に増えてしまい、室内では冬でも活動を続けるので注意しましょう。
犬のノミ「原因の皮膚病の症状」
ノミに寄生されて起こる可能性が高い犬の病気は、ノミアレルギー性皮膚炎です。
これは、ノミが動物を吸血する際に出す唾液に対してアレルギー反応が起こり、患部に激しい痒みが生じる皮膚病。
赤いポツポツとした発疹ができ、掻き壊すと化膿することもあります。
アレルギー反応が起こらない犬では、ノミに寄生されても無症状でいるケースもめずらしくありません。
人間でも同様の症状が見られる場合があります。
ノミ刺咬性皮膚炎と呼ばれるもので、ノミの主な生息域である地表に近い、膝下近辺から発疹が始まり、ソファや寝具などにノミが増殖すると背中をはじめ全身に症状が広がります。
多数のノミが愛犬に寄生すると、幼齢や老齢の抵抗力が弱いペットでは貧血になる危険性があります。
愛犬がたとえかゆがる症状を見せなくても、ノミの寄生は早期に発見して駆除をしてあげるのが重要と言えるでしょう。
犬のノミ「二次感染にも要注意!」
ネコノミは皮膚炎の原因になるだけでなく、サナダムシ(瓜実条虫)を犬の体内に運び、瓜実条虫症を発症させることがあります。
サナダムシの卵を宿したノミをうっかり飲み込んでしまうと、犬の体内で、大きなものでは体長50cmほどまでサナダムシが成長。
愛犬に、下痢や嘔吐の症状を引き起こさせます。
人間の場合は、ノミを介してバルトネラ菌に感染した犬に咬まれたり引っ掻かれたりすると、猫ひっかき病に感染することがあります。
犬はバルトネラ菌に感染しても無症状ですが、人間では発熱やリンパ節の腫れなどが現れ、まれに脳炎を併発する例も見られます。
ノミが媒介する感染症にも、要注意です。
犬のノミ「駆除や退治法は?」
愛犬の皮膚の上を動くノミを発見すると、すぐに捕まえて指でつぶしたくなるかもしれません。
けれどもメスをつぶすと卵をまき散らすので、捕獲したノミは水を張った容器などに入れるか、粘着テープにくっつけて処理してください。
犬のノミの見つけ方や取り方は、ノミ取り櫛を使って愛犬をブラッシングして絡め取る方法がひとつ。
前述のとおり、成虫のように逃げ回らない糞や卵ならば、目の細かい櫛を使用しなくても肉眼で見つけられることもあります。
糞は、濡らしたティッシュやキッチンペーパーの上に置くと、血液の赤い滲みが出現するのが特徴。
動物病院で処方されたノミの駆除剤を定期的に投与しておけば、愛犬にノミがついても1~2日以内に死滅させられ、繁殖のライフサイクルを断ち切ることができます。
皮膚に垂らすスポットタイプの駆虫薬や飲み薬など、犬につくノミの駆除薬には数種類あります。
同時にマダニやフィラリアを駆虫できるものもあり、飼い主さんとペットのライフスタイルにマッチするものを、獣医師と相談しながら選んで定期的に投与しましょう。
室内犬であっても、散歩に出る限りはノミが寄生する可能性があるので駆虫薬の投与は必要です。
もしノミが多数寄生しているのを発見したら、すぐに動物病院へ。
それまでに駆虫薬をペットに投与していなかったのであれば、まずは駆虫薬を投与したり、ノミやダニを殺すためのスプレーなどで対処する必要があります。
室内でノミが繁殖してしまったら、すべてを駆除するのは至難の技。
環境中にいるノミのうち、燻煙剤などで死滅させられる成虫は5%にしか過ぎないからです。
残りの95%の幼虫とさなぎと卵は、燻煙剤や殺虫剤の使用ではほとんど効果がありません。
敷物や寝具などのこまめな洗濯と、掃除機を何度もかけることで生息数を減らしていくことになるでしょう。
犬のノミ「皮膚病の治療方法!」
愛犬がノミアレルギー性皮膚炎を発症してしまった場合、アレルギー反応を抑える薬や、かゆみを抑える薬などが処方されるかと思います。
皮膚の症状の程度に応じたシャンプー剤も、獣医師から出されるかもしれません。
すでに皮膚が炎症を起こしている場合、愛犬の皮膚に刺激の少ない洗い方などを聞いておくのが大切です。
心配であれば、動物病院併設のトリミングサロンにシャンプーを依頼するのも良いでしょう。
犬のノミ「予防法と対策!」
愛犬のノミ対策でもっとも重要なのは、寄生されないように予防をすること。
犬のノミ対策のグッズは動物病院以外でも販売されていますが、しっかりとした予防と駆虫効果が期待できるのは、やはり動物病院で処方されるものです。
また、多くは毎月1回、駆虫薬を投与しなければなりません。
飼い主さんがうっかり忘れてしまい、投与時期がずれてしまったためにノミに寄生される犬も少なくありません。
定期的な投薬を忘れないようにしましょう。
ノミの忌避剤として、犬に害のないアロマスプレーなどを散歩前に愛犬の四肢やお腹やお尻まわりにつけると、ノミに寄生されないですむこともあります。
犬のノミ「まとめ」
ノミは寄生されて増殖すると、とにかくやっかいです。
予防を怠らず、万が一愛犬が寄生されているのを発見したら、早期に動物病院で処置をしてもらいましょう。
監修者情報
箱崎 加奈子(獣医師)
・学歴、専門分野
麻布大学獣医学部獣医学科
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ライタープロフィール
臼井 京音 Kyone Usui
フリーライター/ドッグ・ジャーナリスト。
旅行誌編集者を経て、フリーライターに。独立後は週刊トラベルジャーナルや企業広報誌の紀行文のほか、幼少期より詳しかった犬のライターとして『愛犬の友』、『ペットと泊まる宿』などで執筆活動を行う。30代でオーストラリアにドッグトレーニング留学。帰国後は毎日新聞での連載をはじめ、『週刊AERA』『BUHI』『PetLIVES』や書籍など多数の媒体で執筆。著書に『室内犬気持ちがわかる本』『うみいぬ』がある。
コンテンツ提供元:愛犬と行きたい上質なおでかけを紹介するWEBマガジン Pally