【ドッグトレーナー監修】子犬のしつけは「いつから」「どのような」順番でやればいい?

【ドッグトレーナー監修】子犬のしつけは「いつから」「どのような」順番でやればいい?

犬のしつけには「トイレ」「おすわり」、「散歩」など、教えることが沢山あります。 飼い主として、何から順番に教えるのがよいか困っている方も多いのではないでしょうか? そこで、今回は犬のしつけの中でも、一番大切な子犬のしつけについて、「いつから」「どのような」順番でおこなえばいいのか、解説していきます。

  • サムネイル: PECO編集部
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犬のしつけ「子犬期」から始める

犬のしつけというと「おすわり」や「伏せ」などを思い浮かべる方もいると思います。
しかし、「おすわり」や「伏せ」以外にもやらなければいけないことはたくさんあります。

特に子犬の時期は短くあっという間に過ぎてしまいます。しっかりと優先順位を付けたうえで、同時進行で教えていきましょう。

子犬のしつけの順番①【社会化】

子犬のしつけの順番①【社会化】


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犬の「社会化」とは

犬の社会化とは「人間社会のさまざまな事を経験させて慣らすこと」です。
社会化はとても重要なしつけの一つで、社会化が不十分だと、「おすわり」や「待て」ができる子であっても、外部の環境(家の外)を過剰に怖がるようになります。
その際、自分の身を守ろうとして「吠える」、「咬みつく」などの問題行動に発展してしまうこともあります。

犬の「社会化期」

犬の社会化は成犬になってからも、さまざまな経験を通してずっと続くものですが、特に生後3週齢から12週齢の「社会化期」と呼ばれる時期は非常に効率よく社会化を行うことができます。

犬の「社会化期」は好奇心が強く、見るもの全てに関心を持って自ら近づきニオイを嗅いで、触って、舐めて、かじってみるという行動が自然と出やすくなります。
そして、情報の吸収も早いので、生活する中でどんどん学習していきます。

犬の「社会化期」と「健康管理」

しかし、「社会化期」を過ぎると徐々に好奇心より恐怖心が強くなり、初めて見るものは怖いと感じ近づくことをためらうようになります。
例えば、「歯磨き」や「爪切り」などの健康管理です。
子犬の頃はあまり必要としないため、ある程度大きくなってから「歯磨き」や「爪切り」を始めることが多いと思います。
ただ、「社会化期」を過ぎてから始めようとすると、恐怖心が強くなってしまい「歯磨き」や「爪切り」などの健康管理をスムーズに行うことができなくなってしまうこともあります。

「子犬の頃に経験したことがないから怖い」ということを少しでも減らしてあげる意味でも子犬のうちから「人」や「物」「音」、「状況」「環境」などに慣れさせてあげることがとても大切です。

子犬のしつけの順番②【トイレ】

子犬のしつけの順番②【トイレ】


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子犬の「ハウス」のしつけは、「ハウス」を自分専用の安心できる場所と教えてあげることです。
ここでの「ハウス」とはケージやサークルではなく、「クレート」や「バリケン」と呼ばれる全体が囲われたものを指します。

「クレート」や「バリケン」にいれば安心できるということを子犬のうちから教えておくことで、移動時や災害時のときのストレスを軽減してあげることができます。
日常的にも一人で落ち着ける場所があることで、気持ちのオンオフがつけやすく、安定して落ち着いた生活を過ごせるようになります。

子犬のしつけの順番④【体を触られることに慣れる】

子犬のしつけの順番④【体を触られることに慣れる】


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子犬の頃から「体を触られることに慣らすこと(ジェントリング)」がとても大切です。
動物にとって「お腹」「耳」「口元」「足先」「尻尾」というのは敏感で触られることを嫌がりやすい部分です。

愛犬が体を触られるのが苦手であると日常的な健康チェックが困難になります。
また、病気の発見が遅れたり、簡単な処置であっても麻酔をかけて治療しなければいけないなど、犬にとっても人間にとっても負担がかかってしまいます。

特に病院やトリミングでは暴れてしまうと大きな怪我につながる場面も多く、安全に対応するためにも犬を保定(暴れないようにしっかりと抑える)します。
保定は、「立位」「横向き」「仰向け」と治療や検査によってその体勢が異なります。

自分の体を触られるのが嫌いな犬が病気になった時、知らない人たちに保定される気持ちは容易に想像ができると思います。

子犬の頃から体を触られることに慣らすことは、日々の健康管理をしやすくするだけでなく、治療時やトリミング時の犬のストレスを最小限にするためでもあります。
子犬のうちから「触る」、「保定」、「健康管理」の練習をしましょう。

子犬のしつけの順番⑤【散歩】

子犬のしつけの順番⑤【散歩】


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子犬の散歩は、ただリードをつないで犬の自由に歩かせればいいわけではなく、たくさんの人や交通量の多い場所など状況に応じて、飼い主さんの歩調に合わせて歩くことが理想的な散歩の姿です。
犬が飼い主さんの歩調に合わせて歩くというのは一見簡単なようにも感じますが、きちんと教えてあげなければできません。

家の外にはいろいろな刺激と情報に溢れているので、犬は自然と情報を集めようとします。
「走って・止まって」「ニオイを嗅ぐ」、これらの行動は犬として自然な行動ですが、人との生活では時に問題に発展してしまうこともあります。

人間と共に社会生活を送るためには、飼い主さんの指示に適切に反応できることが求められる場面もあります。
しかし、犬に自ら状況を判断して適切な振る舞いを求めることは非常に難しいため、子犬のうちから飼い主さんが意識して、歩調を合わせて歩くことを教えてあげる必要があります。

子犬のしつけの順番⑥【遊び】

子犬のしつけの順番⑥【遊び】


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犬にとって遊ぶということは欲求を満たす行為として、また飼い主さんとのコミュニケーションツールとして必要なことです。

犬の「遊び」と「しつけ」

一見、「遊び」と「しつけ」は別物のように感じますが、日ごろから十分に遊んであげないと、犬としての行動欲求が満たされず、「家具の破壊」や「いたずら」「吠え」などの問題行動にも発展しかねません。

犬には獲物を「見つける(探す)」「追う」「捕まえる」「噛んで振り回す」「食べる」という狩りの本能が残っています。

もちろん、人と暮らす中では実際に自分で獲物を得るのではなく、遊びを通して疑似体験をすることで狩りの本能を満たしています。

犬は「飼い主と遊びたい!」

イギリスの国営放送BBCが製作したドキュメンタリー「Cats VS Dogs」で、犬と猫を飼っている人にそれぞれ自分のペットと遊んでもらい、その前後でのペットの血液中の幸せホルモンとも呼ばれているオキシトシンの分泌量を測定するという実験を、アメリカ・クレアモント大学院大学の神経科学者ポール・ザック博士が行いました。
その結果、犬は遊んだ後にオキシトシンが57.2%上昇したのに対し、猫からは12%しか上昇しませんでした。
つまり、「犬は猫より約5倍も飼い主と遊ぶことを好む」ようです。

オキシトシンは個体同士の絆形成に関係しているとも考えられているので、犬の遊びの目的を理解した上で子犬の頃から飼い主さんが一緒に遊んであげることで、互いの絆が深まり人に対しての甘噛みなども防ぐこともできます。

参照元:BBC documentary "Cats Vs Dogs"

子犬のしつけ【パピー教室を利用】

子犬の時期はたくさんのことを並行して教えていかなければなりません。
お家で飼い主さんが教えてあげられることはたくさんありますが、犬同士のコミュニケーションは犬との関わりの中で身につけていかなければなりません。
また、飼い主さん以外の人との関わり合いは自宅だけではなかなか機会を得ることができません。

そこで最近は、生後半年までの子犬を対象に犬の保育園や幼稚園、しつけ方教室や動物病院などで「パピー教室」が開催されています。
「パピー教室」では、子犬の時期に大切な社会化やしつけについて教えてもらえる他、同世代の子犬たちと触れ合えるというメリットがあります。

子犬の時期は後で取り戻すことができない貴重な時間ですが、あっという間に過ぎてしまいます。
家でのしつけの悩みを相談することもできるので、ぜひ、参加してみてください。

子犬のしつけの順番【まとめ】

子犬のしつけの順番【まとめ】


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犬のしつけの中でも最も大切なのが「子犬の時期」のしつけです。
「おすわり」や「伏せ」などのコマンドトレーニングやお手などは成犬になってからでも十分教えることができます。
子犬には、子犬の頃しかできないことを優先して教えてあげてください。

監修者情報

監修者情報



鹿野 正顕(学術博士)

・学歴(大学・院、学部、専門分野)
麻布大学大学院 獣医学研究科 博士後期課程修了 
専攻:人と動物の関係学、犬の行動学

ライタープロフィール

ライタープロフィール


長根あかり Akari Nagane
・学歴:帝京科学大学 (生命環境学部 アニマルサイエンス学科)

・ライター歴:2年

・過去の執筆履歴:ペトこと 『楽しく教える犬のしつけ』『犬と寝るって幸せ』など

・飼っている犬種:雑種

「幼少期から動物が好きで将来は動物に携わる仕事がしたいと夢見ていた。

高校、大学と動植物について学び、大学2年の時に初めての犬に「保護犬」を迎える。

愛犬と共に行動学やアニマルセラピーについて学び、OPDES公認ドッグトレーナー資格、動物介在教育アドバイザー認定資格を取得。

現在は、自身の経験から保護犬についての相談や家庭犬のしつけ・トレーニングについてフリーで行っている。」

コンテンツ提供元:愛犬と行きたい上質なおでかけを紹介するWEBマガジン Pally

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