【Shi-Ba】【読めば犬バカ度MAX!?】『平成犬バカ編集部』で学ぶ犬の平成史
2018年に発売した集英社の『平成犬バカ編集部』によると、平成とはこの国に“犬バカ”が生まれた時代だという。愛犬に手間暇をかけ、口をついて出るのは愛犬の自慢話、など“犬バカ”の生態には編集部も当てはまることが多すぎる。読者のみなさんも、ドキッとしたのでは?(Shi-Ba 2019年3月号 Vol.105より)
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ここでは日本の飼い主と愛犬の関係が大きく変化した時代を、『平成犬バカ編集部』をもとに振り返る。知らなかったこと、もっと知りたいことが見えてくるかも!
※=『平成犬バカ編集部』より
平成元年(1989年)~平成5年(1993年)
日本の犬の立場が変化
番犬から家族の一員へ。犬バカが少しずつ増加。バブル崩壊とともに、世の中は家族・個人生活重視の方向へ向かう。
● 大型犬ブーム! ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、シベリアン・ハスキーが人気に
● 犬種や体格に関わらず、犬の室内飼育が都市部を中心に広まりはじめる
平成6年(1994年)~平成11年(1999年)
国内の愛犬家、さらに増加
“犬を飼ったらしつけが必要”という意識が飼い主のあいだで定着。また「動物愛護法」が1973年の法律制定から26年ぶりに改正。現在の「犬の殺処分ゼロ」の流れにつながる第一歩!
● 初対面にもかかわらず愛犬の話題で意気投合する“犬バカ”が激増
● しつけの内容は軍隊式、スパルタ式が多かった
その頃Shi-Baは……?
● 平成10年(1998年)11月:スタッフ犬1号・福太郎誕生!
● 平成11年(1999年)1月:福太郎、編集長・井上家の愛犬になる
井上家に来てまもない頃の福太郎。※
飼い始めて1年ほどの福太郎。※
平成12年(2000年)~平成13年(2001年)
ペット産業が拡大
複数の企業からペットと関連する新商品、新企画が誕生。ドッグカフェ、犬同伴可能なレストランが増加し、愛犬との楽しみも増えてきた。『Shi-Ba』創刊時では批判の声も多かった、ドッグファッションも誕生。
● ペット医療保険の誕生<アニコム損害保険株式会社>
● ペットと暮らす快適住宅にマスコミの注目が集まる<旭化成ホームズ/ヘーベルハウスプラスわん・プラスにゃん>
● 愛犬との外出応援サイトの開設<本田技研工業株式会社・Honda Dog>
その頃Shi-Baは……?
● 平成12年(2000年):編集長・井上、社内失業状態で大ピンチ!
※第1話「崖っぷち男、最後の挑戦」参照
● 平成13年(2001年):起死回生で『Shi-Ba』創刊。季刊発行でスタート。犬のファッショングラビアページが世の中に衝撃を与える
『Shi-Ba』Vol.1の表紙モデルは福太郎。※
誌面でも福太郎が大活躍。日本犬が服を着こなす人気コーナー「シバコレ」※
平成15年(2003年)前後以降
犬についての情報収集の方法が変化
インターネットが浸透。情報収集を飼い主さん自身が積極的に行えるようになった反面、ペット産業が爆発的に拡大したことにより社会問題も発生!
● 予防医療につながるなどメリットが明確になり、不妊去勢手術が浸透
● ペット産業の爆発的な拡大により、流行犬種の飼育放棄が増加
● インターネットが浸透し、平成17年に犬ブログ「富士丸の日々。」大流行
その頃Shi-Baは……?
● 平成14年(2002年):発売から大好評! 7月発売の5号から隔月発行に
● 編集スタッフが続々と柴犬の飼い主に
※第7話「スタッフ犬、続々デビュー! 」参照
● 平成16年(2004年)2月:スタッフ犬2号ポジがガンで逝く
※第8話「兄貴、星になる」参照
ボール遊びが大好きな1号・福太郎。※
撮影中、遠くにいるメス犬に気をとられる2号・ポジ。※
かわいい顔した、3号・りんぞー。※
子犬の時からマズルが真っ黒な4号・文太。※
● 愛犬情報誌として独自路線まっしぐら時代
Vol.17「日本犬の肛門をマニアする」、Vol.20「仁義なき便意」などシモネタを扱った名物企画が続々と生まれる。下品、面白い、と賛否両論
※第9話「クレームも、シモネタも」
● 平成17年1月:創刊20号記念企画「我ら、柴犬バカ一代!」で犬バカ飼い主の生態が暴かれる=「愛犬ソング」の存在を世界で初めて公式に指摘
● 世間で長いタイトルのビジネス書が流行。リンクした名物企画が続々誕生
※第10話「ダメな上司が犬のしつけにも失敗する5つの理由」
肛門についてまじめに取材したVol.17「日本犬の肛門をマニアする」。※
犬の排泄についてまじめに取材したVol.20「仁義なき便意」。※
平成20年(2008年)前後以降
犬を理解しようとする気持ちが高まる
平成21年、熊本市動物愛護センターで殺処分ほぼゼロを達成。複数のメディアでとりあげられる。犬の殺処分ゼロ運動が、日本に広がる原点。また犬の行動学や心理研究も進み、人の勝手な思い込みが指摘されるようになった。
● 愛犬の医療がより高度化・細分化される
● 犬の行動学・心理研究が進む
● 愛犬との旅行・お出かけが一般化し、高速道路のドッグラン拡大など、犬連れに便利な施設が増える
● しつけはほめて伸ばす方法が広く浸透
●平成21年の『AERA』に「ペット流通」の深部に切り込む記事掲載され、平成に生まれたペット産業の問題が浮き彫りに
その頃Shi-Baは……?
● 平成20年(2008年):42号「我が家の食卓」など、世間の窮屈な空気に対抗する企画を掲載
● 平成21年(2009年):公式ホームページ開設が計画されるが、井上編集長のアナログっぷりが原因で進まず
● 平成22年(2010年):福太郎、猫を拾う。福次郎、幸子と命名され井上家の一員に
本当の幸せな風景を追求した結果、たどり着いた特集であるVol.42「我が家の食卓」※
井上家に来たばかりの福次郎と幸子。※
福太郎とはやや距離をとっている。※
平成23年(2011年)
東日本大震災発生
そうこうするうちに世の中は「SNS」時代へと突入していく。震災時もブログなどのSNSで情報が精力的にやりとりされた。ペットと暮らす日本人の災害対策意識がこの経験を経て強化された。
● 多くのペットが被災。動物愛護に関するニュースに世間の注目が集まる
● 保護犬のための寄付、愛護団体が開催する譲渡会について多くの人に知られるようになる
※第14話「インターネットと大災害」参照
その頃Shi-Baは……?
● 震災当日は校了作業真っ只中
●平成23年(2011年):創刊10周年記念した「袋とじ」企画がネット上で炎上するも、長年の愛読者が火消し役に
※第15話「シーバ、炎上」参照
平成24年(2012年)以降
ペットが社会の一員に
災害などをきっかけにペットが社会の一員として意識されるようになる。以前にも増して獣医療が向上。愛犬の高齢化や介護が飼い主にとって大きな課題になってきた。
● 平成24年以降、犬の殺処分数が急速に減る
● 全国で殺処分ゼロが注目。多数の人気タレントも賛同
● 平成26年・環境省が災害時の動物同行避難を推奨
● かつて物議をかもした“犬に服を着せる”ことが、獣医さんもすすめる老犬生活の必須事項に
その頃Shi-Baは……?
● スタッフ犬たちも高齢になる。スタッフ犬1号・福太郎も15歳に
● 平成26年(2014年):福太郎、突然倒れる。もうダメか……と思ったら、●ンタッキーフライドチキンで奇跡の生還を果たす
● 平成28年(2016年)5月:福太郎永眠(享年17歳6ヶ月)。天上勤務を命じられる
● 平成30年(2018年):福三郎誕生、井上家の愛犬になる
● 平成30年(2018年)3月:『Shi-Ba』創刊100号を迎える。井上編集長の欲望はとどまらず、愛犬の福太郎と福三郎の両方を表紙にする
毎年恒例のお花見での福太郎。※
記念すべきShi‐BaVol.100。
早足でお送りしてきた平成の犬現代史。いかがだっただろうか? 「もっと詳しく犬バカの世界を知りたい!」「スタッフ犬ってもっといるの?」など、興味が出てきた方がいたら嬉しい! もちろん『平成犬バカ編集部』には、より詳しいことが収録されている。内情が丸見えなので少し恥ずかしいが、本当にたくさんの人の力を借りて出来上がっている『Shi-Ba』を知っていただける1冊になっている。平成を生きた“犬バカ”は新しい元号になっても変わらない! 犬バカ万歳!
平成犬バカ編集部
片野ゆか・著/集英社・刊
(2018年11月5日発売/1,600円+税)
https://www.shueisha.co.jp/books/