亡き猫と後悔と
世界で最もかわいい生き物は猫だ。ましてや“うちの猫”ともなればこの世で一番尊い。これまでに5匹の猫と暮らしてきたが、どの猫もかけがえのない大切な家族だ(2代目だけは何を思ったか家出をして近所の猫として元気にしている)。初代は癌で、3代目の子猫は職場の先輩から譲り受けたが、数日であっけなく虹の橋を渡ってしまった。
愛と気合いがこもった猫本の棚と山本さん
うちに来なければもっと幸せな猫生を送れたのでは、と『心にいつも猫をかかえて』と出会うまでの長い間、罪悪感に苛(さいな)まれ続けていた。著者の村山早紀さんが「果てしない未練を抱き続けて、あの猫たちを心に何時までも抱えてもいいんだよ」と本を通して語りかけてくれたように感じ、くすぶり続けていた負の感情とようやく向き合い受け入れることができた。
『心にいつも猫をかかえて』
著・村山早紀 エクスナレッジ
定価:1,760円(税込)
尊き招き猫たち
我が家には現在2匹の猫がいる。4代目として迎えたこのは(4歳♂)は、それはもう過保護に育てたため、とびっきり甘えん坊かつとんでもない暴れっぷりの猫になった。
このはは心優しき暴れん坊
そして3年前には、肉球が血まみれになるほどさ迷い続けていた黒白の子猫をいてもたってもいられず連れ帰ってしまった。元気になったら里子に出すつもりで情が移らないようにチビと呼んでいたが、エイズキャリアと宣告され、その場で我が家の猫にすると決めた。
そこで問題になったのが、このはとどう隔離するかだった。エイズのこと、2匹のことを考えるとまるで死刑宣告を受けたような気持ちになり、獣医さんの前で号泣してしまった。そんな私を見かねて先生は必ずしも発症するとは限らないこと、相性次第では一緒に飼えること、先生の家でもキャリア持ちを含む多頭飼いをしていることなど色々なケースを交えてチビと暮らすための方法を教えてくれた。
相性が悪かったら、逆に良すぎたら……と悩んだが、ただの杞憂だった。驚いたことにあんなに狂暴でわがままなこのはが怒るわけでもやきもちを焼くわけでもなく、むしろチビのお世話を積極的にしてくれて、まるで兄妹のような関係を築いてくれた。こうして子猫はチビからさくやになった。
立派な家猫に成長したさくや(3歳♀)
3年経った今も、さくやは元気一杯で、短いかぎしっぽをふりふりして幸せを運んでくれている。2匹併せてこのはなさくや。美しい女神にちなんだ名前を持つ、私にとって世界で一番尊い猫たち。私はこれからも先代猫たちを心に抱えながらこの2匹と生きていく。
2匹は兄妹のように仲良し
丸善 さんすて岡山店
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