【獣医師監修】犬の白内障|考えられる原因や症状、治療法と予防法について

犬の目をじっと見て、「あれ? 少し白く濁っているような気がする」と思った時は、ひょっとしたら白内障を患ってしまったかもしれません。犬の白内障は、6歳以上の犬に見られる老化現象のひとつです。今回は、この白内障について解説していきます。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬が白内障になる原因

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犬の白内障には、「先天性白内障」と「後天性白内障」があり、前者の先天性のものは遺伝的要因が強いことから、予防することは困難です。また6歳以前に発症した白内障は「若年性白内障」と呼び、6歳以降に発症する後天性の「老年性白内障」と区別しています。この白内障の原因は、過度の紫外線や高齢化だけではなく、外傷や糖尿病、目の疾患に伴うものです。

また、目が白くなってくると白内障の可能性は高いのですが、核硬化症の可能性もあります。これは、水晶体の中心部である核が老化すると白く見えるようになるもので、この症状だけで視力を失うことはありません。詳しくは後述しますが、水晶体のどの部分が濁っているかで、白内障かどうかがわかります。

白内障になりやすい犬種

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若年性白内障は先天性のものなので、遺伝的要因により多くの犬種で報告例があります。シベリアン・ハスキーやゴールデン・レトリーバーのような大型犬から、ミニチュア・シュナウザーやボストン・テリアのような小型犬まで、カラダの大きさ問わず白内障を患う可能性があります。

犬が白内障になった時の症状

犬が白内障を患うと、以下のような症状が出ます。

目の見た目の異常

病名の通り、目が白く見えるようになります。また、白内障により光を感知しにくくなることから、正常であれば光を感知すると縮小する瞳孔が常に開いていることもあります。

視覚障害が疑われる現象

視力が落ちてきているために起こる現象…たとえば、物にぶつかる、よくつまずく、壁を頼りにして歩くなどの症状が出ると、白内障の疑いがあります。初期段階では、暗い場所でこの症状が見られるようになります。家の中ではあまり気づかないかもしれませんが、いつもと違うルートを散歩してこの症状があった時には、注意した方がよいでしょう。

犬の白内障の治療・予防方法

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犬の白内障は、動物病院で獣医師に診断してもらいます。まず、明るい部屋と暗い部屋で物の見え方を検査します。障害物を置いた場所をぶつからずに歩けるかどうか、何か物を落とした時に目で追ったり、拾いに行ったりするかどうかなどを確認します。また、目に光を当てて水晶体の核以外の部分が白く濁っていないかも調べます。

治療は、大きく分けて投薬による内科的な治療法と、手術による外科的な治療法があります。投薬は白内障の進行を遅らせることが目的になりますので、原因を根絶するものではありません。完治させるためには手術が必要で、水晶体を取り除き人工の眼内レンズを目に入れるという方法を採ります。ちなみに、ペット保険を扱うアイペット損保が支払いデータから発表しているところによると、白内障の手術にかかる費用はおよそ35万円(検査費用・入院費用含む)となっています。

また、後天性白内障の予防には、紫外線が強すぎず、十分明るい時間帯に散歩をすることが大切です。紫外線が特に強い昼過ぎは、目にダメージを負わせる可能性があるので避けた方がよい時間帯です。

食事で気をつけたいのは、ビタミンCを摂取することです。ビタミンCの不足は、水晶体の衰えを加速させてしまうので、白内障のほか様々な疾患のリスクを高めてしまいます。ビタミンCを補うためには、サプリメントの利用も含めて、毎日の食事の栄養バランスを考慮することが大切です。

このように、白内障は犬にとっても辛い症状がありますので、ちょっとでも視覚が弱ってきているなと感じた時は、動物病院で診てもらった方がよいでしょう。

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