【獣医師監修】老犬の排泄ケア。介助の仕方やおむつの使用方法

元気に走り回っていた可愛い仔犬も、年齢を重ねるにつれて大人しくなっていきます。さらに、いわゆるシニア期に入ってくると、自力で排泄することが難しくなる場合も…。ここでは、老犬の排泄についてみていくことにしましょう。

  • サムネイル: PECO編集部
  • 更新日:

監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

老犬の排泄ケア

動物,犬,猫,しつけ,飼い方,育て方,病気,健康

PixieMe/Shutterstock.com

犬をはじめとする動物にとって、排泄は食べることと同じくらい大切な生命活動の一つです。動物はカラダの構造上、尿をしっかり出しきらないと、カラダの中に老廃物が蓄積されてしまいます。つまり、自力で排泄できなくなることは、病気の発症リスクが高まるということを意味します。

犬が若く元気な時は、何の支障もなく排泄できる場合がほとんどです。しかし、老化や病気などの影響で、自力での排泄が難しくなることは、どの犬にも起こり得ることです。生きていくために不可欠な排泄行動。これを愛犬ができなくなった時、飼い主や家族は愛犬にどのように接し、サポートしていけばよいのでしょうか。

排泄のポーズの介助から始めよう

老化による足腰の筋肉の衰えや関節痛などが原因で、これまでできていた排泄のポーズ(構え)をとることができなくなったり、ふらついたりしてしまうことがあります。愛犬にこのような様子がみられた時は、排泄のポーズをとることができるように介助をしてあげましょう。

犬の排泄の介助をする際は、あらかじめペットシーツを敷くなどして、糞尿の飛び散りに備えます。また、飼い主も汚れても問題がない服装をしておきましょう。そして何より重要なのは、犬が排尿や排便をするタイミングを把握しておくことです。

このタイミングを知るためには、日誌をつけることがおすすめです。日誌をつけることで、排尿や排便のタイミングだけでなく、毎日の糞尿の状態を把握します。

介助の仕方

犬がトイレに行きたそうな仕草を見せたり、あらかじめ把握していた排泄のタイミングになったら、声をかけながら犬の前方か後方に立ちます。犬のカラダの大きさに合わせて、飼い主が支えやすい方に立ちましょう。

基本的な支え方は、オスの排尿の場合、股の間から手を入れ、後ろ足の付け根あたりを内側から支えます。オスの排便、またはメスの排尿、排便の場合は、後ろ足の付け根に近い胴体部分を外側から支えます。

とくに排便の場合は、犬が後ろ足を踏ん張れるような姿勢をとらせてください。うまく排泄ができたら、たくさん褒めてあげましょう。

紙おむつの使用方法

動物,犬,猫,しつけ,飼い方,育て方,病気,健康

Zmaj88/Shutterstock.com

犬が自力で排泄できなくなった場合、毎回排泄を介助してあげるのが望ましいですが、飼い主が留守にするなどで介助が難しい時は、紙おむつを使いましょう。

現在では犬用の紙おむつが市販されているほか、7kg程度までの犬なら、人間の赤ちゃん用のおむつのLサイズで代用することも可能です。人間用のおむつを使用する場合は、犬の尻尾が出るように穴をあけて使いましょう。

紙おむつを使用するにあたっての注意点は、排泄の時間以外はできるだけおむつを外しておくということです。

犬にとって、おむつをつける行為はストレスになるだけでなく、長時間おむつをつけたままにしておくと皮膚が蒸れてしまい、おむつかぶれや皮膚疾患、または膀胱炎など病気のリスクが高まります。極力、必要な時だけ着用させ、犬が排泄をした後はすぐに外してあげるようにしましょう。

また、あらかじめ肛門やお尻周りの毛を短くしておくと、排泄器官や皮膚の衛生を保ちやすくなります。排泄時にお尻周りが汚れてしまった時は、ペット用もしくは人間の赤ちゃん用のお尻ふきを活用しましょう。トイレに流せるタイプなどは、処理もしやすいのでおすすめです。

犬も人間同様、年齢を重ねていく生き物です。高齢になると、これまで簡単にできていたことが難しくなるのは当然のこと。大切な愛犬が幸せな老後を過ごせるように、これまでと変わらぬ愛情を持って介助してあげましょう。

内容について報告する