目指せ手乗り文鳥。文鳥のヒナを「さし餌」で育てるポイントとは

文鳥はなつくと自分から飼い主の手に乗ってくれるのが大きな魅力。手乗り文鳥にするためには、ヒナから育てるのがおすすめです。文鳥のヒナを飼育する際のポイントは、飼い主が自分の手で餌を与える「さし餌」。親鳥に代わってうまくさし餌ができれば、愛情も一層深まります。

  • サムネイル: PECO編集部
  • 更新日:

文鳥のヒナのご飯

文鳥は江戸時代から愛されている、日本人にはなじみ深い小鳥です。賢くて飼いやすく、うまく育てれば手にちょこんと乗る“手乗り文鳥”になります。成鳥から飼い始めて手乗りにするには少々根気が必要ですが、ヒナから育てれば自然に手乗りになる場合が多いようです。ただし、文鳥のヒナを育てるには、充分な手間と知識が必要になります。

文鳥のヒナは生後2~4週間程度から家に迎えることができます。一般的に、生後2週目くらいまでは目が見えません。また、生後3~4週目くらいまでは自力で餌を食べることができないため、「さし餌」が必要です。さし餌とは、飼い主が親鳥に代わって餌を与えることです。スポイトや給餌器を使って、ヒナ用の餌を与えましょう。

餌は市販されている、穀物などを粉状にし必要な栄養をバランスよく配合したヒナ用パウダーフード、またはアワの皮を剥いたものに鶏卵黄をコーティングしたアワ玉を加工して与えます。生後15日くらいのヒナにはパウダーフードを1日6~7回を目安に与えましょう。生後22日くらいのヒナにはパウダーフードからアワ玉に切り替え、1日5~6回を目安に与えます。ヒナは食事以外の時間はほとんど寝ています。夜も寝ていますが、日の出とともに起きるので、飼い主も早起きが必要です。ヒナはお腹がすいたら「チュンチュンチュン」と鳴いて要求するので、餌やりのタイミングで迷うことはほとんどありません。生後21~35日頃までは2~3時間おきにさし餌をする必要があるため、この時間を確保できることが、ヒナの飼い主となる条件になります。

さし餌の心得

生後15日くらいのヒナに与える餌は、容器に15ccほどのお湯、4gほどのパウダーフードを入れ、ポタージュスープほどの固さになるよう給餌器で混ぜます。パウダーフード単体のみで必要な栄養素を補えるため、青菜などを混ぜる必要はありません。お湯の温度は、文鳥の体温と同じ40℃を目安に冷まします。高温すぎるとパウダーフードが固まってしまうだけでなく、食道の一部の「そのう」をやけどしてしまいます。また、低温すぎる餌は「そのう炎」の原因となるため温度には注意しましょう。ちなみに、そのうは餌を一時的に保管する器官で、ここから少しずつ餌を胃に送り込む役割を果たしています。

生後22日くらいのヒナに与える餌は、小さじ山盛り一杯のアワ玉を小さめの容器に入れ、その2倍の高さまでお湯を加えてふやかします。アワ玉のみだと栄養が不足するため、ビタミンなどの栄養分を補う小松菜や豆苗などの青菜をすりつぶしたもの、ミネラルを補う卵の殻をすりつぶしたものをそれぞれ1つまみ程度ふやかしたアワ玉に混ぜます。卵の殻は内側の薄膜を取り電子レンジで加熱、乾燥したものを使用します。卵の殻以外に専用のサプリメントも販売されています。餌の温度は、パウダーフードと同じく「そのう」のやけどや「そのう炎」になる可能性があるため40℃を目安に冷まします。

さし餌に使う道具は、ペットショップなどで使っていたものと同じものを使えば、ヒナも安心して受け入れます。スポイトであれば、1cmくらいの分量の餌を吸い込み、ヒナのクチバシに近づけます。ヒナが上を向いて口を開けたら、喉の奥までスポイトの先端を入れて、餌を押し入れます。クチバシの下にはそのうがあり、そこに餌を真上から送り込む感覚です。ヒナが真横を向いていたり、スポイトの先端が喉の手前だったりすると、そのうに餌を送ることができず、口からあふれてしまうことがあります。うまくそのうまで送り込めれば、ヒナは飼い主を信頼して、再度餌をねだるようになります。1度の食事で、4~5回のさし餌が適量です。

さし餌の注意点

餌は作り置きせずに、その都度作って新鮮なものを与えます。時間が経った餌は、雑菌が繁殖している可能性があります。40℃以下に冷めてしまった場合は、湯煎して温めてください。また、餌を煮込んでおかゆ状態にしてしまうと、粘り気により消化不良を起こし「食滞」という状態になる可能性があります。「食滞」は悪化すると「そのう炎」などを起こし、命に関わるため注意が必要です。

1羽飼いのヒナにさし餌をする際は、ヒナを片方の手に乗せるのがおすすめです。ヒナが手のひらから落ちないように、包み込むようにして乗せます。さし餌が終わったら手のひらから下ろし、そっとしておきます。文鳥のヒナは一日のほとんどを寝て過ごします。ヒナの体力を消耗させてしまわないためにも、さし餌のとき以外は触れないようにしましょう。
ヒナが複数いる場合は、争うように餌を要求する仕草を見せるため、手に乗せず容器や巣に置いたまま与えます。

さし餌をしてもヒナが食べようとしない場合は、部屋や餌の温度が低いことなどが原因として考えられます。ヒナの飼育の適温は、まだ羽が生えそろわない生後15~21日頃までは30~32℃くらい、羽が生えそろってからは28℃くらいが目安です。さし餌とともに、保温管理もヒナの飼育の重要なポイントです。

羽が生えそろうと、ヒナは飛べるようになり、成鳥用のケージが必要になります。さし餌も不要となり、2ヶ月も経てば成鳥となります。飼い主を親、あるいは信頼できるパートナーと思って手に乗ってくる、愛らしい文鳥との生活を楽しんでください。

内容について報告する