【獣医師監修】撫でようとすると逃げられる。猫の正しい撫で方と慣らし方

猫を飼い始めの時に、猫を撫でようとするとすぐに逃げてしまう…こんな時は、猫は何かしらの原因があって逃げています。そこで今回は、猫が飼い主から逃げてしまう原因と、撫で方・慣らし方を解説していきます。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫はなぜ逃げるのか

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猫という動物は、においに敏感で神経質です。このそもそもの習性が、飼い主が近づくと逃げてしまう原因になっていることが多々あります。

まず、においに関してですが、飼い主が香水をつけているとその香りを嫌がって猫が逃げて行ってしまいます。とくに柑橘系の香りは、猫が苦手としていますので、猫との生活を快適にするためには香水は避けましょう。

また、猫の神経質な部分でいうと、急に仲良くしようとして、猫が自分のテリトリーだと考えている場所にズカズカ入っていくのは警戒心を生んでしまいます。猫は、以下の距離感を持っているといわれています。

◇気を許した人のみが侵入できる「個人的距離」※飼い主に慣れた場合は、ここに分類
◇1メートルほど近づいても威嚇しない「社会的距離」
◇知らない人間・動物は侵入しようとすると威嚇する「臨界距離」
◇2メートル以上近づくと逃げる「逃走距離」

この猫の気持ちを理解したうえで、少しずつ慣らしていくことが大切です。

逃げる猫の撫で方・慣らし方

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それでは、飼い主が近寄った時に逃げてしまう猫は、どのように慣らしていけばよいのでしょうか?

猫と同じ目線になる

猫は、自分より高い位置にいる存在・大きい存在に対して警戒心を抱くので、人間が立ったまま撫でようとすると、恐怖心を感じて逃げてしまいます。そこで、猫と同じ目線になるくらい姿勢を低くしてから撫でてあげるようにしましょう。この際、目が合った時に瞬きをすると、アイコンタクトの役割を果たし猫の警戒心が解けやすくなります。

猫のタイミングを大切にする

猫は気分屋だとよくいわれますが、猫が撫でてほしいサインを出している時に撫でてあげることが大切です。猫が仰向けになってお腹を見せている時、リラックスしている時、自ら飼い主や人間に寄ってくる時などは、「撫でてください」というサインですので、やさしく撫でてあげましょう。

逆に、食事中やセルフグルーミング中、遊びに夢中になっている時に撫でようとすると、猫の機嫌を損ねてしまいますので、猫が嫌がったり逃げたりした時は、即座に切り上げましょう。とくに、警戒心の強い猫や恐怖心を持ってしまっている猫は、逃げるだけでなく隠れようとしますので、無理に近づくことなく、そっと見守ってあげましょう。

猫が喜ぶ場所を撫でる

猫の多くは、背骨に沿って、呼吸に合わせてゆっくり撫でてあげるとリラックスするといわれます。背骨を揉みほぐすイメージで撫でてあげると、マッサージ効果にもなります。また、自分の舌が届かない場所である耳の後ろは、掻くように撫でてあげると喜びます。もちろん、強く掻くのはNGで、ほぐす感じで撫でてあげましょう。また、人間同様肩こりをほぐすように撫でるのも猫は喜びます。肩と首の付け根周辺を揉みほぐされるのを喜ぶ猫は多いので、是非試してみてください。ちなみに、お腹や足、お尻周辺は猫が撫でられるのを苦手とされている場所なので、最初は避けた方が無難です。

この猫を撫でるという行為は、単なるスキンシップではなく、皮膚病やケガ、しこりなど猫のカラダの異常の早期発見にもつながる大切なことです。上記のようなことからスタートし、猫が触られて喜ぶポイントを抑えて、少しでもいつもと違うと感じたら、それは猫が何かしらの病気を患っているサインかもしれません。日々の猫の様子を観察し、撫で方をマスターして猫の健康を守ってあげましょう。

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