【獣医師監修】猫が威嚇をする理由とその心理について

猫を飼い始めてから数か月経ち、ようやく猫も落ち着いてきたかなと思った時に、突然猫が威嚇してきた…そんな経験をしたことのある飼い主もいるでしょう。なぜこんなに威嚇してくるのか理由がわからない…こんな時は、どう対処すればよいのでしょうか?

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫が威嚇をする理由

まず、猫はどのように威嚇するのかをみていきましょう。

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全身の毛を逆立てて威嚇してくる時

猫が頭を低くして、耳を寝かせ背中を丸め、さらに全身の毛を逆立てて威嚇している時は、身を守るために自分の姿を大きく見せようとしています。しっぽを大きく膨らませ左右に激しく振っている時は、猫が機嫌を損ねている証拠です。また、しっぽをお腹の下に隠している時は、恐怖心を持っていることを意味しています。

声を出して威嚇してくる時

猫が目を見開いて睨むようにじっと相手を見つめ、牙を剥き出しにして、いつもの「ニャア」ではなく「シャー」と蛇のような大きな声で鳴いている時は、相当不機嫌な状態です。

猫が興奮状態に入ってしまった時は、飼い主でもおいそれとは近寄れません。それでは、なぜ猫はこのような威嚇行動をするのでしょうか?

敵意を感じた時

突然大きな音・声がした時に、猫は相手に敵意を感じ反射的に威嚇行動をします。猫が敵意を持った時は、いきなり攻撃をするのではなく、威嚇をすることで相手との距離をとろうとします。

テリトリーに侵入された時

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猫は自分のテリトリーをとても大切にする動物なので、知らない人やほかの動物(猫とは限りません)にテリトリーだと思っている場所に入ってこられた時には、本能的に威嚇行動をします。同じ家の中であっても、多頭飼いをしている時に後から来た猫を威嚇するのは、自分のテリトリーに侵入されたと感じたからです。

守るべきものがある時

たとえば、ケガや病気でカラダの防衛本能が働いている時や、仔猫を守らなければならない時に、猫は威嚇行動をします。また、妊娠中の猫はとくに神経質になっていますので、安心できる生活環境を作るよう心掛けましょう。

飼い主に対して不満がある時

飼い主が猫の威嚇の原因を作ってしまうことも少なくありません。猫が嫌がっているのに触り続けたり、眠たいのに起こそうとしたりするなど、飼い主はなにげなくやっていることでも、猫にとっては不満や不快さを感じて威嚇することがあるのです。

猫の威嚇をやめさせるためには

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それでは、どのようにして猫の威嚇行動をやめさせればよいのでしょうか? まずは、猫が威嚇を行う原因である不快・不満に感じていることを取り除かなければなりません。猫が嫌がることはせず、静かに見守る時間も作るようにしましょう。

また、とくに原因が見当たらないのに威嚇行動をやめない時は、しつけで改善することもできます。猫が威嚇してきた時に、その威嚇に付き合ってしまうのは、威嚇が効果的だと勘違いするため逆効果に出てしまうことがあります。そこで、威嚇に対するしつけでは、驚かせることと無視することを徹底します。

猫が威嚇してきた時に、目の前で両手をパンと鳴らしたり(いわゆる相撲でいう「猫だまし」)、風船を割ったりして猫をびっくりさせると、萎縮して威嚇をやめるようになる場合があります。威嚇が効いていないとわかると、威嚇する意味がなくなるからです。また、威嚇を無視すると、威嚇をしても反応がないことからやめるようになります。

去勢手術後にホルモンバランスが変わると威嚇をしなくなることもありますが、猫の威嚇に対しては「威嚇は効いていませんよ」ということをしっかり学習させることが、一番の対処法になります。

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