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日本犬アーカイブ 犬にかける時間や手間編

日本犬アーカイブ 犬にかける時間や手間編

昔に比べて室内で暮らす犬が多くなった現代。一緒に過ごす時間が増えた分、触れ合う機会や彼らにかける手間も明らかに増えたはず! ということで、今回も昭和の犬暮らしにまつわる記憶を呼び覚ましつつ、今の犬暮らしと比較してみたよ。(Shi-Ba 2017年9月号より Vol.96より)

  • サムネイル: Shi-Ba編集部
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触れ合う時間が増え心や体の変化に気づきやすくなった

ひと手間かけることが飼い主の喜びでもあるわけで

昔はゴハンや散歩の時以外、犬は外でひとり黙々と時間を過ごしていることが多かった。庭にやってくる野鳥を眺めていたり、石や木の棒をかじったり、穴を掘ったり、モグラや虫を捕まえたり。また、時には飼い主が庭仕事でしまい忘れた軍手や雑巾を振り回してボロボロにしたりね。もちろん、家の警備という大切な仕事も粛々とこなしていたし。

犬のためだけに米を炊く我が家

調理

「もっと多めによそいなさいよっ(怒)」

夫婦共々糖質オフ中なので、犬のためだけに米を炊く我が家。熱いうちに小分けして冷凍。他にも肉や魚を茹でておかずを作る。

でも、まる子なんぞは庭に出ると、最初の5分位はトカゲ狩りに精を出すが、運動神経が鈍いので捕獲できず、すぐに飽きちゃう。で、「ひとりじゃつまんないから、誰か庭に来て一緒に遊べ!」と言う始末。いまどきの犬は遊びも飼い主頼みなのかと、情けなくなる。

しゃもじ飯サイコー

オヤツ

「しゃもじ飯サイコー♥」

人間と猫の食事時にも「よこせ!」と強く主張するので、米、肉、魚、市販の犬用オヤツを与える。1日7食。食いすぎだよ(涙)。

とはいえ、昔の犬も結構甘えん坊な部分があった。お母さんが洗濯物を干す時は必ずお供。冬は白菜漬けを作るために縁側で白菜を干すお宅が多かったんだけど、そんな様子をそばで見ていたり、時には白菜をかじって怒られるなんてこともあった。また、ガラスを拭くために庭にバケツを置いて雑巾をゆすいでいると、そのバケツの水を飲みに来たり。

ウンコ踏んじゃった~

毎日のお手入れ

「ウンコ踏んじゃった~」

1日2回の散歩から帰ると、足をはじめ全身を拭き、ブラッシングを行う。

換毛期は1日に5~6回ブラシをかけること

「あ~ん♥︎ そこそこ!」

換毛期は1日に5~6回ブラシをかけることもあるから、大変ダァ~。

こうして振り返ると、昔の犬も実は飼い主と一緒に引っ張りっことかして遊びたかったんだろうな~と思う。80歳になるうちの父親がまる子と接する時は、オヤツをあげたり、ブラシをかけたりはするんだけど、ボールを投げたりオモチャで遊ぶということをまずしないのが興味深い。犬は番犬というイメージも強かったのだろうし、昔は飼い主側に「犬と遊ぶ」という感覚があまりなかったのかもしれない。

早く~! うんこ、漏れちゃう

散歩

「早く~! うんこ、漏れちゃう」

外でしか排泄しないので、悪天候でも1日に2回必ず散歩へ。室内トイレができる犬、うらやましいな。

ところで、柴は「飼い主にはそっけない」とよく言われる。でも、考えてみたら、実家の犬たちはそっけないどころか、顔が合えばシッポを振って大喜び。つれないと感じたことがほとんどなかったんだよね。庭で1匹で過ごす時間が長かったから、大好きな家族に「たまに会えると嬉しい」のだろう。

耳に水入れるんじゃないよ

シャンプー

「耳に水入れるんじゃないよ」

我が家は動物病院でシャンプーしてもらっているけど、自宅でこまめに愛犬を洗う家も多い。洗った後のお風呂場の掃除も結構大変なんだよね。

人間の男女間でも遠距離恋愛や、付き合い始めの頃はこんな感じだよな。で、結婚して毎日一緒にいると、「そっけなくなる」のは世の常。とすると、現代の犬と飼い主の関係は、何年か連れ添った夫婦に似ている!?

基本、ヌーディストなので

おしゃれ

「基本、ヌーディストなので」

本犬は全く興味はないものの、かわいい服を見ると着せたくなるのが飼い主の心情。で、つい着せ替えごっこ。

まぁ、我が家の場合は飼い主がしつこいので、まる子がそっけなくなったのは明白。でも、どんなに愛犬にうざがられようと、毎日ご機嫌の良さそうなタイミング(腹がいっぱいだったり、眠い時ね)で全身を触ったり、においを嗅いで健康状態に異変がないかのチェックは欠かさないよ。我が家はこれで皮膚疾患とか足のケガに気づいて、動物病院での早期治療にもつながったからね。

奥さん、これシワ取りにいいわよ

マッサージ

「奥さん、これシワ取りにいいわよ(ウソ)」

日々忙しく働いている飼い主が、日々惰眠をむさぼる犬のマッサージをしてあげるって、どう考えてもおかしくないかい?

また、飼い主さんによっては、毎日歯磨きをしたり、耳掃除をこまめにしている方もいるだろう。室内飼いも外飼いも、愛犬に多少つれなくされたって、めげずに日々犬の体を触り、病気を早期発見できる飼い主でありたいものだ。

飼い主の相手をしてやってんだよ

遊び

「飼い主の相手をしてやってんだよ」

犬ってボール投げろとか、引っ張りっこしろとか要求が多いよな。そんなわけで1日に4~5回遊びの相手。

そんなわけで、犬にかける時間と手間が増えるのは大いに結構! 外でしか排泄しないまる子のおかげで、1日に必ず2回は散歩に出るので、飼い主は腰痛をほぼ完治できたし、四季の移ろいにも敏感になった。

毎晩一緒に寝ている家も増えた

添い寝

「いびきとかオナラがうるさいです」

毎晩一緒に寝ている家も増えた。ってゆーか、犬的には自分の布団に飼い主を寝かせてやってる感じなのかも?

また、毎日一緒に寝ているから、犬が寝言を言いながらうなされることもわかったし。そして何よりも犬を話題にした家族の会話が増えたのには感謝。夫も私もまさか、犬のために米を炊いたり、お犬様が召し上がる小さな肉寿司を握るとは、10年前までは思ってもみなかったからね。犬って、ズボラな飼い主を変えてしまう力もあるのだね。

子犬の頃はよくやったしつけ

しつけ

「オマエがフセろ…」

子犬の頃はよくやったしつけ。年齢を重ねるにつれ、ゴハンの前にオスワリ、マテ位しかやらなくなる家も多し。

昔の犬は孤独に強かった!?

庭で1匹で過ごすことが多かった実家の犬。 その充実のアウトドアライフを見てみよう。

門越しに通行人に睨みをきかせるのも番犬としての大切な仕事。

門越しに通行人に睨みをきかせるのも番犬としての大切な仕事。

よくこうして外を眺めていたから、昼間は寝る暇なんてあんまりなかったかも。もちろん家族の帰宅時には耳を下げて大感激。吠えるので来客があると、つながれていたよ。

よくこうして外を眺めていたから、昼間は寝る暇なんてあんまりなかったかも。もちろん家族の帰宅時には耳を下げて大感激。吠えるので来客があると、つながれていたよ。

何か面白いものを見つけては1匹で黙々と遊んでいたのは、今の犬と少し違うところかも。写真は植木鉢をくわえて運搬中の花さま。

何か面白いものを見つけては1匹で黙々と遊んでいたのは、今の犬と少し違うところかも。写真は植木鉢をくわえて運搬中の花さま。

昔(昭和)の犬にかけた手間

※いずれもまる子の母の家の場合

・散歩=1日1回1時間ほど(ごくたまに父が自転車引きで10分)
・ゴハン=1日2回
・遊び=飼い主の気が向けばボールを3~4回投げて終わり
・お手入れ=飼い主の気が向いた時に、ブラシがけをやったりやらなかったり
・語りかけ=「行ってくるね」「ただいま」「散歩行くよ」「今日はいい天気だね」「おいしいかい?」(味噌汁ゴハンの残りをあげた時など)「うるさいよ」(猫や来客の吠えた時)など、1日にのべ5~6分?

<休日>
基本的に平日と変わらないが、展覧会に出る時は朝から夕方まで飼い主と車でお出かけ♥ 家族が泊まりで出かける場合は、近所に住む親戚に犬のゴハンだけ頼んだ。外飼いなので排泄は庭で。

まる子にかけている手間(夏バージョン)

<平日>
・散歩=1日2回(40~60分×2)(雨の日は15分)
・ゴハン=1日2回
・オヤツ=1日5回
・宴会=家族が揃ったり、来客時の食事時に参加して、会食
・調理=肉や魚を茹でたり、焼いたり。また、まる子用のライスを小分けにして冷凍保存作業などを3日に1回(15分ほど)
・遊び=1日4回(何か食べると嬉しくて気分が高まるらしく、引っ張りっこや「ちっとも持ってこない」モッテコイ遊びに付き合う

休日は車に乗って遠出するのも当たり前になった

お出かけ

「車酔いゲェェ~」

休日は車に乗って遠出するのも当たり前になった。相変わらず車に酔いやすい柴も多いけどね。

・洗濯物干しに付き合わせる=庭やベランダに洗濯物を干す時は「一緒に出たい!」と言うので、足手まといだがお供をさせる。作業終了後はなぜかボール遊びに突入
・見守り=オヤツをコングに詰めて与えた後、うまく取れない時にピーピー泣くので、自力で食べきれるか見守る。「取ってくれ」と泣きついてきたら、食べやすいようにコングからオヤツを少し出してやる
・小動物狩りのお供=窓越しに庭のトカゲやセミを見つけるとピーピー泣くので、仕方なく外に連れ出す
・自主練=服を着せたり、帽子をかぶせたりして、いつか声がかかるかもしれない「シバコレ」モデルの練習をする
・お手入れ=散歩後に全身を拭き、ブラッシング
・しつけ=ゴハンの前にオスワリとマテ。ご馳走の時にフセとタッチ。最近は食べ物を守って歯をむいた時に「イーッ!」とコマンドをかけて、いつでもできるように練習♪

人に寄っかかってテレビを見ているなんてことも増えた

だんらん

パパ「好きなものをお食べ」
まる子「全部食べたいよ」
ママ「かーちゃんみたいに太るから、おやめ」

食事時やリビングでみんなでくつろいでいる時にも、愛犬が同じ部屋にいたり、人に寄っかかってテレビを見ているなんてことも増えた。時代も変わったね。

・マッサージ=背中を向けて「撫でろ」と言ってきた時に5分ほど
・添い寝=飼い主の睡眠中ずっと。寒い冬に布団からまる子の肩が出ていれば、そっと毛布をかけてやることも♥
・健康チェック=添い寝時に全身を触り、異変がないか確認
・語りかけ=1日にのべ1~2時間ほど。天気、時事問題、ワイドショーを見た感想、ゴハンのおかずの相談、長生きするよう本犬への言い聞かせ、夫への愚痴などが主。猫をいじめた時はお説教3分。気分が乗った時は即興で「まる子ソング」を歌って聞かせる

<その他の日>
・シャンプー=月に1回、動物病院にて
※出不精家族なので、犬連れでどこかに行くことは全くなし

Text:Mari Kusumoto Photos:Minako Okuyama

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