【猫びより】【トルコ/イスタンブール】やさしい街のおじゃま猫 岩内喜久子(辰巳出版)

叱るけれど、怒らない。与えるものは、惜しみなく。どかす時は、膝の上。やさしい人たちと愛され猫たちの、ちょうどいい関係。(猫びより 2018年7月号 Vol.100より)

  • サムネイル: 猫びより編集部
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トルコ人のほとんどが信仰しているイスラム教で、猫は「清潔で神聖な生き物」とされ、とても大切にされている。

美しいブルーモスク

美しいブルーモスク

モスクの日陰で寝ていた子。

モスクの日陰で寝ていた子。あまりにキュートな尻尾だったので、失礼ながら後ろから撮影!

繁華街ではお店のまわりやカフェの椅子の上で寝ているところをよく見かけた。普通なら追い払われるところだが、店員も客も特に気にしていない。たとえ自分がいるテーブルの椅子のひとつに猫がいても、どかしたりしない。

休日のカフェでくつろいでいる奥様の膝の上に黒白猫さんが!

休日のカフェでくつろいでいる奥様の膝の上に黒白猫さんが! 周りには他にも猫がいて、どの子も人間が好きな様子

「あなたの猫ですか?」と質問をしてみると「違うよ。このあたりにいる猫だよ」と、どうしてそんなこと聞くの? という表情で答えてくれた。そばにいるからといって、すごく可愛がるわけでもなく、「いて当たり前」という感じだ。自然な環境にいる猫の中には、自分が人間だと勘違いしている子もいるかもしれない。

出会った直後から、甘えてきた黒白猫さん。

出会った直後から、甘えてきた黒白猫さん。あらゆるポーズをして楽しませてくれた。どの猫も、あまり人を警戒しない

ボスポラス海峡の海と空に国旗が映える

ボスポラス海峡の海と空に国旗が映える

ヨーロッパ側とアジア側を分ける、ボスポラス海峡の海岸で暮らす猫たち。

ヨーロッパ側とアジア側を分ける、ボスポラス海峡の海岸で暮らす猫たち。釣り人から魚をもらうと岩場の影に持っていき、ゆっくりと食す

海岸沿いにいた猫さん。

海岸沿いにいた猫さん。暑い日差しを避けるようにバイクの影でくつろぎながらも、カメラに向かってアピール?

古本屋街で、猫の親子を見つけた。生後1~2ヶ月と思われる5匹の子猫たちが、楽しそうに店の中に走っていき、本棚に登って遊び始めた。お母さん猫は店には入らず、どっしりと香箱座りをして見守っているだけ。店主が子猫たちを見つけ「こらー!」と奥から出てくると、一目散に逃げ出した。

売り物の本の上に乗って、このあと注意を受けたキジトラさん。

売り物の本の上に乗って、このあと注意を受けたキジトラさん。でもその店員は猫たちにキャットフードを与えている

しかし1匹だけはおっとりしていて逃げ遅れてしまった。兄弟たちが逃げた理由がわからない様子の子猫。店主は、目の前に立ちはだかり「店に入ってきてはだめだぞ!」と直接、子猫に語りかけるように話しかけた。見た目が怖そうな男性だったので心配したが、叱っている様子がとても微笑ましい場面だった。

逃げ遅れて古本屋の店主に叱られる子猫さん。

逃げ遅れて古本屋の店主に叱られる子猫さん。理解はしていないようで、しっぽを立てて嬉しそうにしている姿が可愛らしい

手作りした猫用の小屋も多く見られる。

手作りした猫用の小屋も多く見られる。どれもデザインが異なって可愛い

街を歩いていると、多くの猫に出会うだけでなく、猫用の水の器が置かれているのを、よく見かける。何日も置かれたようなものではなく、最近取り替えたばかりと思われる澄んだきれいな水ばかりだ。

モスクの裏庭は猫たちの住処。

モスクの裏庭は猫たちの住処。もちろんここにもフードとお水が

バーの店の前に座っていたキジトラを撮影している時、お店の中から若い男性が紙コップを持って現れ、キジトラの目の前に置いて去って行った。一瞬ゴミを捨てたのかと思ったのだが、中にはきれいなお水が並々とつがれている。コップが目の前に置かれると道路の真ん中にもかかわらず、猫は時間をかけて飲み始めた。きれいな水を与える、与えられる、ということが日常なのかもしれない。

水をもらった場所は、歩道のど真ん中!

水をもらった場所は、歩道のど真ん中! 通行人は避けて歩く

たっぷりのフードとお水、そしてフカフカなベッドの3アイテム

たっぷりのフードとお水、そしてフカフカなベッドの3アイテム

猫たちは、水だけでなくキャットフードをいつでも食べられる環境にいるため、見た目も綺麗な状態な子が多く、人を恐れている様子もない。

リヤカーの隙間でじゃれあう子猫たち。

リヤカーの隙間でじゃれあう子猫たち。健康状態が良好な子猫が多かった

歩道の真ん中に横たわって熟睡している猫を、踏まずに避けて歩いていく人々を見ると、本当に猫に寛容な方が多いのだなと感じる。イスタンブールの街では座っているだけで、いつでも、ひょっこりと猫が現れそうだ。

アヤソフィア博物館でグリに会える

アヤソフィア博物館でグリに会える

2009年にオバマ大統領(当時)が、アヤソフィア博物館を訪れた際に撫でた猫「グリ」。

2009年にオバマ大統領(当時)が、アヤソフィア博物館を訪れた際に撫でた猫「グリ」。トルコで一番有名な猫

グリに会いに、多くの観光客が訪れる。

グリに会いに、多くの観光客が訪れる。ペットボトルのフタでお水をもらい、何度も継ぎ足されたくさん飲んだあと

人間が立ち入り禁止の場所でも、グリは入って大丈夫。

人間が立ち入り禁止の場所でも、グリは入って大丈夫。祭壇の光に照らされて神々しいお姿

市場「グランドバザール」の入り口でお仕事中(?)の茶トラ君。

市場「グランドバザール」の入り口でお仕事中(?)の茶トラ君。前世はここの警備員だったのかも?

Photo & Text by Kikuko Iwauchi

Kikuko Iwauchi
フリーカメラマン。猫雑貨「kmag」やモバイルサイト「ニャンと猫ねこ」、ストックフォトサービス「CatStock」の制作・運営も行う。拾った茶白と三毛の2匹の猫と暮らす。『猫さまのお告げ』『読むだけでやせる! デブねこ格言』(辰巳出版)に写真を多数掲載。
HP:http://www.officek-net.com
CatStock https://catstock.net

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