【獣医師監修】犬がトマトを食べても大丈夫?トマチン中毒(花・葉・茎)に要注意!
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【獣医師監修】犬がトマトを食べても大丈夫?トマチン中毒(花・葉・茎)に要注意!

人間がよく口にするトマトですが、犬がトマトを食べても大丈夫なのでしょうか?犬にトマトを与えた場合、メリットはあるのか?また、トマトを与える際の注意点などについて解説していきます。

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監修:徳本 一義 先生(獣医師)

犬がトマトを食べても大丈夫!

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犬がトマトを食べても基本的に問題ありません。

生の状態でも、加熱したものでも食べることができます。ただし、緑色の未熟なものではなく、完熟して赤く色づいたトマトを与えるようにしましょう。

トマトはもともと中南米が原産で、ナス科の野菜です。品種が非常に多く、世界中に何千種類ものトマトが存在しています。トマトは「βカロテン」「リコピン」「ビタミンC」「ミネラル」などの栄養素も豊富な野菜です。

犬にトマトを食べさせるときの2つの注意点!

●注意点① 食べさせていいのは「完熟トマト」

犬がトマトを食べても大丈夫ですが、未熟な緑色のトマトを食べさせてはいけません。
犬が食べてものいいのは「真っ赤な完熟トマト」だけです。

トマトにはトマチンという毒素が含まれています。トマチンには高い殺虫成分があり、実が熟すまで害虫を避けるために、この成分を作り出しているといわれています。トマチンは完熟したトマトにも含まれていますが、未熟なトマトには完熟トマトより多くのトマチンが含まれています。

トマチンの毒性は、マウスの腹腔内に投与したときの半致死量(LD50)が32mg/kgであり、これを単純に50kgのヒトに換算すると、半致死量は1600mg(1.6 g)になります(マウスとヒトで効果が同じかどうかはわかりませんが)。この量は完熟果実では、4000 kg (4トン)、熟した青い果実では、33kg、未熟果実では3.4kg、に相当します。中ぐらいの大きさのトマトは約100gですから、未熟果実でも34個を一挙に食べないと半致死量には達しません。通常、そのような場合は考えられません。

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人間がトマチン中毒を発症した場合、赤血球が破壊され、頭痛、嘔吐、下痢などの症状を発症することがあります。そもそも、犬が青いトマトを好んで食べることは少ないですが、念のため積極的に青いトマトを与えることは避け、完熟した赤いトマトを食べさせてあげるようにしましょう。

●注意点② トマトの「花」「葉」「茎」の部分は絶対に与えない!

未熟なトマト以外にも、トマチンを多量に含んでいる部分があります。それは、トマトの「花」「葉」「茎」の部分です。これらの部分には未熟な緑のトマトの200倍近くのトマチンが含まれているので、絶対に愛犬に与えてはいけません!

少量を摂取して直ちに健康に害がでるものではありませんが、完熟トマトの場合でも、「茎」がついていることが多いので、愛犬に与える際には、必ず「茎」などを取り除くようにしましょう。

犬にトマトを与えるメリットと栄養素!

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愛犬にトマトを与えるメリットはなんでしょうか?トマトに含まれる栄養素と一緒に、順を追って見ていくことにしましょう。

●メリット① 「ビタミンやカリウム、βカロテン」が豊富

トマトにはビタミンやカリウムがバランスよく含まれています。

ビタミンは体内で生理機能を整えるという性質があり、健康の維持や成長に欠かすことができない栄養素です。また、カリウムには利尿作用があり、余計な塩分を排出する働きがあります。そのため、トマトは健康維持のために効果があると言われている野菜です。

また、βカロテンが豊富に含まれていることも特徴のひとつです。βカロテンはカロテノイドと呼ばれる色素の一種で、犬の場合は体内に取り込むことでビタミンAに変換されるという性質を持っています。(猫の場合は、体内でβカロテンをビタミンAに変換できないため、ビタミンAを直接摂る必要があります。)

そのため、体内のビタミンAが不足しているときには、とても有用な食材です。さらに、体内の不足分だけがβカロテンからビタミンAに変換され、残りは肝臓に蓄えられたり、尿と一緒に排出されるので、ビタミンの過剰摂取になる心配もありません。

●メリット② 「抗酸化作用」がある

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トマトにはビタミンやカリウムのほかに、リコピンという栄養素が豊富に含まれています。リコピンはカロテノイドという色素の一種で、トマトが赤い色をしているのは、リコピンが関係しています。

リコピンの効用として特徴的なのが、強い抗酸化作用を持っていることです。

抗酸化とは「身体を酸化させないようにする」こと。私たちが呼吸をするときに吸っている空気には、約20%の酸素が含まれています。体内に取り込んだ酸素のうち、約2%が「活性酸素」に変化します。

活性酸素は本来、身体に入り込んだ細菌をやっつけてくれるなど、身体の健康維持のために働いてくれるのですが、体内に過剰に増えてしまうと、体や細胞を酸化させようと働いてしまいます。リコピンの抗酸化作用は、活性酸素の発生の抑えてくれるので身体が酸化するのを防いでくれます。

犬にトマトを与える際のポイント!生ではなく加熱が大事!

トマトに含まれるリコピンは、加熱をすることで身体への吸収が良くなるといわれています。また、リコピンは油に溶けやすいという性質があり、オリーブオイルなどで炒めると、効率的にリコピンを吸収できるそうです。

愛犬にトマトを与える場合、生で与えるのではなく、湯がく、炒めるなど加熱してから与えた方がより効果的に栄養素を摂取できるということを覚えておきましょう。

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まとめ

トマトは栄養豊富な野菜です。ただ、愛犬には総合栄養食であるドッグフードを与えていれば栄養バランス的には問題ないため、積極的に愛犬にトマトを与える必要はありません。

あくまでもドッグフードをメインにした上でコミュニケーションの一環として食べさせましょう。

また、愛犬にトマトを与える際には、トマチン毒素に十分注意し、特にトマトの「花」「葉」「茎」の部分は絶対に与えないようにしましょう!

コンテンツ提供元:愛犬(ペット)の一生涯に寄り添い、飼い主を支えるメディア - hotto(ホット)

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