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【DOG's TALE③】ひと<いぬ 建築家の理想と現実の狭間で 第4回

【DOG's TALE③】ひと<いぬ 建築家の理想と現実の狭間で 第4回

本当に安心できる、愛犬の居場所とは? 文=筒井紀博(MY♡DOG Autumn 2020 Vol.4より)

  • サムネイル: MY♡DOG編集部
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犬の性格、多頭飼いなどそれぞれの考え方

住宅の設計をしていて気をつけなければならないことの一つに、メリハリのある空間のボリュームがある。全ての部屋が広くて、天井が高い……だと、ありがたみが薄れてしまうし、単調な空間になってしまう。人によって解は異なるのだが、例えばリビングは広く天井が高いほうが多くの人が快適に感じると考えられる。では寝室も広く天井が高かったらどうだろう?

あまり落ち着かず安眠ができないのではないだろうか? 天井は低く、守られている感があったほうが、安眠できるのではないか。

犬の性格、多頭飼いなどそれぞれの考え方


これは愛犬たちにとっても同じ。愛犬と快適に暮らす住まいの相談をいただくと、まず今の住まい状況を確認させていただくためにも、ご自宅で打ち合わせをすることが多い。ここで気になるのは愛犬の居場所。広いリビングにポツンと置かれたケージ、これでは愛犬もなかなか落ち着かないものだ。もともと穴ぐらのような場所を寝床にしていた習性があるので、あまり広い空間に彼らは安心感を覚えない。そこでよく提案するのは収納の一部を愛犬の居場所とする方法。愛犬の体高を考慮し、適切な高さのドッグスペースを確保、その上を収納として利用する。またデッドスペースになりがちな階段下を利用するケースもある。そのほか注意点としては以下のようなことがある。

・温度や湿度の変化が起こりにくい場所にする
・換気扇をつけるなどして空気が滞留しないようにする
・音やにおいの影響を受けにくい場所にする
・掃除がしやすく清潔さが保てる空間

ほかにも犬の性格によってはリビングの近くに設け、家族の気配が常に感じられる場所にしたり、警戒心の強い犬の場合は、窓が近くにない場所がよいなど個別の解も出てくる。多頭飼いのご家庭などでは犬同士の相性も重要なポイント。仲の悪いコたちの場合は、それぞれにドッグスペースを確保してあげるとよいだろう。

そういえば以前、夫婦犬のために造り付けでドッグスペースを設置したことがある。しかし、あまり仲がよろしくなく、当初は一つのドッグスペースしか設けなかったのだが、結局市販のケージをもう一つ購入し、二つのドッグスペースを設けることに。面白いことに、造り付けで設置したドッグスペースのほうが犬たちには人気があり、今度はこの場所を奪い合う羽目に。愛犬たちもその進化の過程で、デザイン的に優れた空間を欲し始めたのかもしれない。

プロフィール

筒井紀博


筒井紀博(きはく)
一級建築士。1972年生まれ。日本大学理工学部海洋建築工学科卒業後、石井和紘建築研究所などを経て筒井紀博空間工房を設立。住宅、オフィス、宿泊施設など活躍の幅は広い。「愛犬のための家」も数多く手がけ、モットーは愛犬第一主義。かつ時間とともに味わいが深まる美しい家

筒井紀博空間工房
http://ktts.jp/

構成/鈴木珠美

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