猫びより
【猫びより】虹の橋を渡ったクリームあにき【from Hong Kong】(辰巳出版)

【猫びより】虹の橋を渡ったクリームあにき【from Hong Kong】(辰巳出版)

(猫びより 2020年9月号 Vol.113より)

  • サムネイル: 猫びより編集部
  • 更新日:

2020年5月24日午前11時30分、香港のスター猫「クリームあにき」が、飼い主の高(ゴウ)夫妻、弟分のケーキとミルクに見守られながら虹の橋を渡っていきました。14歳と10ヶ月余り(推定)、猫の寿命からすれば決して短くないとはいえ、この訃報はSNSを通じて世界中に広がる多くのファンにとって、これまでで一番見たくない知らせだったのではないでしょうか。

参列したファンのために4種類の記念カード

あにきの葬儀では、参列したファンのために4種類の記念カードが配られた。今もお店を訪れればもらうことができる

葬儀には、約200人のファンが献花やカード等を持って駆けつけ、最後のお別れに涙した

葬儀には、約200人のファンが献花やカード等を持って駆けつけ、最後のお別れに涙した。

実は、あにきの異変に気づいたのは昨年9月。めずらしく食欲がなくだるそうな様子だったので、掛かり付けの獣医で検査をしたところ、胃に腫瘍が見つかりました。あにきの掛かり付けといっても、最新の医療機器と人間の病院並みの専門医を擁する、香港で唯一獣医学科を持つ大学併営の病院。すぐさまアメリカの大学にまで意見を求める医療体制が組まれ、3週間に一度の投薬を10クールという化学療法がスタートしました。

まるでプードルのようなあにき

治療のため、両前足、お腹、首周りの毛を刈られてまるでプードルのようなあにき。仕事を休んで自宅療養も多かった

しかし、すでにスタート段階で完治例は世界でも10%に満たないと言われていたのです。化学療法は、最初こそ効果が見られたものの、回を重ねるごとにあにきへの負担が顕著で、嘔吐や貧血で救急に駆け込むことも。高さんは、苦しむあにきの姿を見るのに耐えられず、たとえ最新の医療技術と言えども、生き永らえればいいというものではないと考えたそうです。そして3月、7クール目の治療後、一般的な投薬のみであとは自然に任せる決断をしました。

あにきが亡くなった翌日の新聞

あにきが亡くなった翌日の新聞。インターネットはもちろん、様々なメディアが突然の訃報を伝えた

その日の早朝、あにきが店長を務める「クリームふぁみりぃ」で異変にいち早く気づいたのはケーキだったと言います。「ワオンワオン」とおかしな声で鳴き、高さんを呼びました。そして、あにきの傍を離れなかったそうです。高さんは、力なく横たわるあにきを抱いて、いつも外を見ていた窓の近くへ連れて行き、そっとこうつぶやきました。「もう、がんばらなくてもいいんだよ、ゆっくり休んでいいんだよ」と。

これが2匹一緒の最後の一枚となった

あにきのことが大好きだったケーキは、最後まであにきに寄り添いつづけた。これが2匹一緒の最後の一枚となった

あにきは最期まで店長らしく、12時のオープン30分前に最期の姿をお客さんに見せることなく旅立ち、高さんも気丈にいつもと変わらずお店を開けたのでした。

お店には鳥居風の祭壇が作られ、多くのファンがあにきを偲び集まってくる

お店には鳥居風の祭壇が作られ、多くのファンがあにきを偲び集まってくる

香港の猫店長から海を越えて世界のスター猫へ、たくさんの人に愛されたクリームあにき。これからも、皆さんの心の中にいつもいつまでも!

Facebook:creamfamilyhk
Instagram:@creambrother_thecat
Twitter:@hkcreamaniki

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Tsukazaki Yuka
猫と香港在住のライター。広東語で通訳、翻訳、日本語教師などもこなす。著書に『香港の大スター☆クリームあにき』(辰巳出版)。

写真・文 塚碕由香 
写真提供・Wing Chan

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