【獣医師監修】犬の歯磨き、しないとどうなる? 歯磨きの頻度とやり方

犬に歯磨きは必要なのでしょうか。犬にも人間と同じような歯の病気があるのをご存じですか? 犬の歯磨きの頻度、歯磨き方法も紹介します。

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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

愛犬のためのお手入れの中でも、ついつい敬遠してしまうのが犬の歯磨きではありませんか? 口を触れられるのが苦手な犬も多く、歯磨きガムを与えているだけという飼い主の方もいるのではないでしょうか。

人間のように、犬にも歯磨きは必要とされています。犬の歯磨きについて、やらないとどうなってしまうのか、頻度、やり方などもまとめてみました。

歯磨きしないとどうなる?

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愛犬が嫌がってしまうので歯磨きをしてあげたことがない…という人もいるようです。犬の歯磨きをしないでいると、どうなるのでしょうか? 

犬の歯磨きをやらないと、当然のように歯垢や歯石という汚れがどんどんたまります。犬の歯に黒や黄色の汚れがついていませんか? これが歯垢と歯石なのです。犬の場合3〜5日くらいで歯垢が歯石に変わります。この歯垢や歯石が口臭をはじめ、歯周病や歯槽膿漏、歯が抜け落ちるといった口の病気の原因になるので注意が必要です。

こうした口のトラブルはそれだけで済まないから大変!口の中の症状にとどまらず、歯周ポケット深くに入り込んだ細菌が血管を伝って全身に広がり、臓器にダメージを与えてしまうことも分かってきました。また、痛みをあまり訴えない動物では、ある日突然顔の皮膚に穴があいて歯根に溜まっていた膿が排泄されたり、顎の骨が溶かされてしまい骨折するようなことも起こります。
このように、歯周病は侮れない病気であり、対策としては日頃の口腔ケアが重要となります。

歯磨きの頻度

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犬の歯磨きはどれくらいの頻度でするものなのでしょうか? できれば毎食後するのが理想ですが、なかなか難しいと思いますので、1日1回を目標にガーゼなどで歯の汚れを拭き取るか、可能であれば歯ブラシを利用して歯磨きをしてあげましょう。
犬の歯垢はあっという間に取れにくい歯石に変わってしまうので、歯垢のうちにまめに磨いてあげる必要があります。歯石になってしまうと飼い主の手では取り除けず、獣医さんに専門の器具で取ってもらうことになります。その際は基本的に全身麻酔が必要になります。そうならないためにも、愛犬には毎日の歯磨きを!

プロへお願いする場合

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歯磨きがどうしてもできないという方は、トリミングサロンでプロにお願いしてみてはいかがでしょう。料金はサロンによって異なりますが、500円〜1,000円ほどです。コースの中に歯磨きが入っている場合もあります。サロンによってコース内容や料金に違いがありますので、確認してください。

口臭や歯石、歯の変色など気になる点があれば、動物病院の診療を受けます。歯磨き外来のある動物病院もあるので、しつけも含めて相談してみましょう。また、すでに歯石がついてしまっている犬は動物病院での歯石除去が必要となります。費用は病院や犬種によって異なりますが、小型犬の場合は20,000円程度、中型犬や大型犬はこれよりも高額になります。全身麻酔をかけるため、術前の血液検査なども必要になってきますし、症状によっては抜歯や歯肉の縫合なども行うため単なる歯石除去ではなく口腔外科の領域になることもあり、費用は大きく異なります。

自分で行う場合

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毎日のケアは、犬が歯磨きを嫌いにならないよう嫌がる素振りを見せる前に終了するよう心がけましょう。
用意するのは、犬用歯ブラシです。犬の歯は人と違ってエナメル質が薄いので、毛が柔らかいタイプのものがおすすめです。愛犬が気に入ってくれそうな味の歯磨き粉や、歯磨きジェルを用意するのもいいでしょう。

ワンちゃんの口を持って、口元を指でめくります。歯ブラシを濡らして、歯と歯茎の間を優しくブラッシングします。細かく左右にシュシュッと、優しく歯磨きをします。犬歯から横の歯、前歯へと磨いていき、慣れてきたら歯の裏側もブラッシングしてあげましょう。

歯ブラシを嫌がる愛犬には、口周りを触るところから始めます。

口の周りを触る
手前の歯を触る
歯ブラシ(歯磨きシート)が顔の近くにあることに慣れさせる
歯ブラシ(歯磨きシート)で歯を触る
歯ブラシ(歯磨きシート)で歯を一本磨いてみる

全てのステップを、ご褒美を与えながら行います。少しでも嫌がる素振りを見せたらすぐにやめましょう。一回に行う時間はごく短くします。

次のステップに進めるまでに1週間ほどかかることもありますし、前のステップに戻ってやり直しをした方がいいこともあります。嫌な思い、怖い思いをすることなく、ご褒美という自分にとって良いことが起こるんだと学習させながら少しずつ階段を上っていくイメージで行えば、受け入れてくれるようになります。
嗜好性の高い歯磨きペーストもありますので、指や歯ブラシ、歯磨きシートにつけてあげると自分から舐めにきてくれ、抵抗が薄まることもあります。
無理に口に触ると思わぬ怪我を招きます。また、歯磨きシートの誤飲事故なども増えているので気をつけたいですね。

愛犬の大切な歯は、飼い主がきちんと手をかけてあげることで守ってあげられます。犬に合ったデンタルケアを楽しく行いましょう。

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