【獣医師監修】犬の歯が抜けた! 考えられる原因と対処法

犬が何かを吐き出したと思ったら、抜けた歯だった…そんな経験をしたことがある飼い主もいるかもしれません。犬の歯が抜ける原因は、その歯が永久歯か乳歯かで異なります。そこで今回は、犬の歯が抜ける原因について解説していきます。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

永久歯への生え変わりの場合

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犬の乳歯が、永久歯への生え変わりのために抜けるのは自然なことです。

犬の乳歯の本数は、上顎14本・下顎14本の合計28本。上下にそれぞれ切歯が6本、犬歯が2本、前臼歯が6本あります。

一方、永久歯になると上顎20本・下顎22本の合計42本と、乳歯から一気に14本も増えます。上顎に切歯が6本、犬歯が2本、前臼歯が8本、後臼歯が4本、下顎に切歯が6本、犬歯が2本、前臼歯が8本、後臼歯が6本という内訳です。

一般的に、犬の乳歯は生後3~7ヶ月前後(歯牙脱換期[しがだっかんき]と呼びます)で生え変わります。この時に注意しなければならないのが、乳歯遺残(にゅうしいざん)です。

これは、乳歯が抜ける前に永久歯が生えてくることで、歯並びが悪くなるだけでなく、咬み合わせが悪化するおそれもあります。生後10ヶ月以上経っても乳歯が抜けない場合は、早めに抜歯しましょう。

病気や外部要因が原因の場合

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では、生え変わり以外のタイミングで犬の歯が抜けた時は、どのような原因が考えられるのでしょうか。

何かに引っ掛かる

カーペットやぬいぐるみなどをかじっている最中に、糸が引っ掛かり、犬の歯が抜けてしまうことがあります。小型犬に多くみられますが、とくに何かしらの病気で歯が弱くなっている犬は要注意です。

高齢犬も歯周病になっている可能性があるので、ちょっとした弾みで抜けてしまうことがあります。

硬いものを食べた

犬は、骨やガムなど歯ごたえのあるものを好みます。硬い食べ物やおもちゃは、適度に与える分には問題ありませんが、長時間噛み続けていると歯が弱って抜けてしまうことがあります。

この場合も、大型犬よりも小型犬に起こる可能性が高くなります。というのも、小型犬の歯は小さいので、硬いものを食べ続けることへの耐性が低いためです。

とはいえ、硬いものをまったく与えないとストレスが溜まってしまうので、犬の体格に合わせて大きさを調整したり、与える時間を調節したりして、なるべく歯に負担がかからないようにしましょう。

歯周病

近年では人間同様、犬でも歯周病を患うケースが増えています。犬の歯周病の原因は様々ですが、症状が進むと歯茎が弱くなり、歯が抜けてしまうことがあります。口臭がきつくなった、よだれが多くなったなど、歯周病の症状がみられた場合は、すぐに動物病院に連れて行きましょう。

歯周病の予防法としては、歯磨きが有効です。犬の歯磨きを怠ると、歯周病の原因となる歯垢や歯石がつきやすくなります。

犬の歯磨きは毎日するのが理想的ですが、難しい場合はタオルやガーゼを水に濡らし、歯や歯の周りを軽く拭いてあげるだけでも一定の効果が得られるので、犬の歯の汚れが気になった時には試してみてください。

また、歯槽膿漏(しそうのうろう)が原因で歯が抜けることもあります。歯槽膿漏になると、歯肉や歯茎に炎症が起こり、その中に膿が溜まってしまいます。

歯槽膿漏が悪化すると、歯肉が腫れ、頬が膨らむなど、見た目にも変化が現れます。また、口臭もきつくなります。

歯槽膿漏の治療は、最悪の場合、全身麻酔をして膿を取り出すことになるので、犬へのダメージが大きくなってしまいます。最悪の事態を避けるためにも、早期発見・早期治療を心がけましょう。

このように、口腔内のトラブルによって犬の歯が抜けてしまうことは少なくありません。犬の歯の健康を守るためには、歯磨きなど毎日のケアが重要です。大切な愛犬が一日でも長く健康に過ごせるよう、日頃から口や歯の状態をチェックする習慣をつけましょう。

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