【獣医師監修】猫の妊娠について。 妊娠の兆候や期間、食事

愛猫のお腹が膨らんでいたら妊娠かもしれません。妊娠は何歳くらいから? 妊娠を確認するには? 猫の妊娠についての基礎知識を紹介します。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

妊娠の兆候と経過

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人間の妊娠期間は約10カ月間ですが、猫は約2カ月間。飼い主が猫の妊娠に気づくのはお腹が大きくなってからという場合が多く、その時点ですでに妊娠してから30日ほど経過しています。猫は交尾の後に排卵するため、妊娠する確率は90%以上。交尾を確認したときは、妊娠の兆候を見逃さないようしばらく観察を続けましょう。

妊娠から20日前後

乳頭がピンクに色づき、少しずつ膨らんできます。一週間ほど食欲が落ちるのもこの時期です。

妊娠から30日前後

お腹も、乳房も大きく膨らんでいるのがわかるようになります。

妊娠から40日前後

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食欲が増加するとともに、体重も増えます。身体が重いのか活動量は減少します。攻撃的になるのもこのころから。

妊娠から50日前後

胎動を感じるようになります。

妊娠から60日前後

妊娠期間は60~68日と幅がありますが、もっとも多いのはその間の63~65日。猫は分娩が近づくと、急に落ち着きがなくなり、巣づくりをするような行動をしたり、出産に適した場所を探すようになります。身体にも変化が見られ、張った乳房から乳が出ることもあります。食事や排泄をしなくなり、乳房や陰部をしきりにグルーミングするようになれば、分娩直前です。また、分娩開始24時間以内に体温がおよそ1℃下がります。そのため、妊娠期間中は毎日体温を測っておくと、その変化でお産の時期を把握することができます。

偽妊娠

人間でいえば想像妊娠のことです。交尾後、妊娠に至らなかった猫に見られる現象で、乳が出たり、陣痛の兆候が見られたり、妊娠しているかのような状態になることがあります。ただし、長くても45日以上続くことはありません。

妊娠検査と方法

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薬局で売られている人間用の妊娠検査薬で猫の妊娠はわかりません。妊娠か否かを調べるには病院で診断してもらうのが確実です。ただ、個体差はありますが、診断できるのは交尾から約20日以降になります。獣医師による腹部の触診や胎児の心音を聞く聴診と、超音波検査(エコー)かレントゲン撮影検査で妊娠の可能性や胎児の生死、胎児数などを確認します。

妊娠前期に向いている超音波検査(エコー)は手軽にでき、猫への負担も少ない検査です。胎児の生死は確認できますが、見えるところと見えないところがあるので、正確な胎児数はわかりません。

レントゲン撮影検査は交尾から40日以降に診断が可能な検査です。胎児数だけでなく、逆子か否かも事前にわかり、分娩時に難産になった場合に備え、獣医師と相談しておくことができます。この時期のレントゲン撮影検査は母猫、胎児に及ぶ悪影響はありません。

妊娠時の環境づくり

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初めての妊娠となると、飼い主として責任を感じる人も多いと思いますが、猫はだれの助けも借りず、巣づくりから分娩まですべて自分自身で行います。人間はその様子を見守り、折々で少しだけサポートしてあげれば十分です。必要以上に手出しをしないようにしましょう。ただし、不測の事態に備えておく必要があります。かかりつけの獣医師としっかり連携をとっておくことが重要です。

栄養管理を心がける

妊娠40日ころから食欲が旺盛になります。通常の1.5倍くらいの栄養が必要な時期なので、パッケージに書かれているエサの量を参考にして少し多めにエサを与えるか、妊娠中の猫用フードを利用するのもいいでしょう。あまり食べない猫は、少量でも栄養価の高い子猫用フードもおすすめです。

出産場所をつくる

家の中だけで飼っている場合、家のどこかに出産場所をつくらなければなりません。猫は分娩が近づくと本能的に巣づくりを始めます。家の中は限られているため、飼い主が段ボールなどの箱に清潔なタオルや毛布を敷いて「産箱」を用意してあげましょう。猫の匂いをつけておくと、気に入ってくれます。出産場所は、四方を囲まれ、暗く乾燥したところが理想です。

計画的な妊娠であれば問題ありませんが、そうでない場合、生まれてきた子猫はどうするかをしっかり考える必要があります。責任を持てないときは中絶もやむを得ません。子猫を受け入れる環境が整っている場合は、妊娠の兆候や妊娠中の行動・状態を知り、異常はないかを常に見守りながら、出産の日を迎えてあげましょう。

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