【獣医師監修】尿路結石に注意!  猫にほうれん草を与えてはいけません
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【獣医師監修】尿路結石に注意! 猫にほうれん草を与えてはいけません

猫に食べさせてはいけない食べ物の一つに、ほうれん草があります。人間にとっては栄養価が高く、加熱などの処理も簡単なほうれん草ですが、猫にとっては尿路結石(にょうろけっせき)を引き起こす可能性のある危険な食べ物です。

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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

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尿路結石を引き起こす「シュウ酸」に注意!

ビタミンB、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンE、βカロチン、鉄分など、豊富な栄養素を含むことで知られるほうれん草。人間にとっては、貧血予防や高血圧・動脈硬化の予防に効果があるとされていますが、猫には与えない方がよい食材の一つです。

猫にほうれん草を与えない方がいい理由。それには、ほうれん草に含まれる、ある成分が関係しています。その成分とは「シュウ酸」です。猫はシュウ酸を摂取することで、尿路結石になりやすくなるといわれています。

尿路結石とは、腎臓や尿道などの泌尿器系に、小さな石のような結石ができる病気です。猫にできる結石の種類は様々ですが、ほうれん草により発症リスクが高まる可能性があるものは、「シュウ酸カルシウム結石」です。

シュウ酸カルシウム結石は、猫の尿中にシュウ酸が増えることが一番の原因となりますが、それ以外にカルシウムの摂取不足も要因となります。カルシウムは腸でシュウ酸と結合し、そのまま便として排泄されるため、シュウ酸が腸→血液→尿へと移行せずに済みます。しかし、カルシウムの摂取が不足すると、腸でシュウ酸と結合できないため、尿中のシュウ酸濃度が上昇してしまうのです。

猫が尿路結石になると、トイレの回数が増える、一度の排尿の量が少なくなる、尿中やペニスに結晶が見つかる、排尿時に痛みで鳴き声を上げる、血尿が出るなどの症状が現れるほか、重症化すると、尿毒症や、膀胱炎を発症することがあります。

また、結石が尿道に詰まることで閉塞を起こし、長時間尿が出ない状態が続くと、急性腎不全を発症するおそれがあります。急性腎不全を起こすと命に関わるので、このような症状がみられた場合はすぐに動物病院に連れて行きましょう。

尿路結石の治療としては、カテーテルを挿入して結石を除去するほか、尿毒症や急性腎不全を起こしている場合は、その治療を行います。尿路結石を繰り返し起こし、そのたびに尿道閉塞を起こすオスの場合は、陰茎を切除し、メスのような尿道を形成する手術を行うこともあります。また、結石ができる原因となる食事の改善を試みます。

ほうれん草に含まれるシュウ酸は、水に溶けやすいという性質を持っています。そのため、人間が食べる時と同様に、茎や葉を茹でてアク抜きをすることで、シュウ酸を減少させることができます。これにより、尿路結石のリスクは軽減することができますが、猫にほうれん草を与えない方がよい理由は、「シュウ酸」だけではありません。

猫は肉食動物

猫はもともと肉食動物なので、野菜などの植物をそのまま消化吸収するのは苦手です。そのため、野生下では野菜などの植物を食べている小動物を捕食し、胃腸を含むその内臓を食べることで、野菜や植物の栄養素を摂取していました。

ペットとして人間と暮らすようになった現在の猫は、猫にとって必要な栄養素を考慮して作られたキャットフードを食べることで、カラダの健康を保ちます。

つまり、栄養が豊富だからといって、猫にほうれん草などの野菜を与えることは逆効果になりかねません。完全肉食の猫と雑食の人間とでは、必要な食べ物が異なることをしっかりと理解し、不必要な食べ物を与えるのは控えましょう。

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猫は体内でビタミンCを作ることができる

ほうれん草には、豊富な栄養がふんだんに含まれています。とくにビタミンCは、カラダの細胞と細胞を結ぶコラーゲンを作るのに必要な栄養素で、皮膚や粘膜の健康維持に役立つほか、カラダの免疫力を高める効果もあります。しかし、猫は体内でビタミンCを作ることができるので、食事から積極的に摂取する必要はありません。

人間にとっては有益でも、猫に与えると危険な食べ物は少なくありません。大切な愛猫が長く健康に暮らせるよう、その食性や体質についての知識を深め、普段の食事管理に活かしていきましょう。

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