【獣医師監修】犬の遠吠え! 遠吠えの理由とその対策について
犬が突然遠くを見つめて遠吠えをする…そんな場面に出くわしたことはないでしょうか?犬の遠吠えというと「仲間を呼んでいる」というのが一般的な解釈ですが、そこには様々な理由があります。ではその行動には、どのような意味があるのでしょうか?
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
犬が遠吠えをする理由
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遠吠えは犬に限ったものではありませんが、その代表格といえばやはりオオカミでしょう。オオカミの遠吠えには、大きく分けて「ほかのオオカミに自分の縄張りを示し、侵入させないようにする」「群れからはぐれた仲間を見つけるため(仲間に声が届くようにするため)」「仲間とのコミュニケーションツール」という3つの理由があるようです。
それでは、ここからは犬がなぜ遠吠えをするのかを考えていきましょう。オオカミが遠吠えする理由が、犬にも引き継がれているようですよ。
犬同士のコミュニケーション
「仲間を呼んでいる」に一番近いものですが、ほかの犬の遠吠えが聞こえると、その犬にコミュニケーションを取ろうとして遠吠えをするというもの。自分の居場所はここだ、何かが起こっていることを知らせるために、遠くに聞こえるような声を出すと考えられています。
何も音がしないのに、窓の遠くを見て遠吠えをする犬もいます。これは、人間の耳には聞こえないレベルのほかの犬の遠吠えをキャッチし、コミュニケーションを取ろうとしていると考えられます。少し時間が経って遠吠えを止めた時は、この可能性が高いです。
サイレンやテレビの音に反応する場合もありますが、この理由も同様です。米国動物愛護協会によると、注意を引く意味に加えて、飼い主や仲間と引き離される不安感から遠吠えをするということです。
不安の表れ
群れで生活している意識が強い犬は、急に一人の時間が長くなると、孤独感から不安になり群れの仲間(飼い主)を見つけようと遠吠えをすることがあるようです。また、遠吠えをすること自体が、ストレス発散になるとの解釈もあるようです。
気を引くため
人の注意を引くために遠吠えのような鳴き声を出すこともあるようです。また、遠吠えをした際に「どうしたの?」と飼い主さんに構ってもらった経験があると、それを学習して遠吠えをすることもあります。
犬の遠吠えをやめさせるには
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このような理由からもわかる通り、遠吠えは犬の気持ちと直結しているので、やめさせることはなかなか難しい作業です。ですから、いきなりピタッとやめさせるというのではなく、少しずつ回数を減らしていくという長期的な計画で軽減させていくのがよいでしょう。
まずは、犬が遠吠えをした時に、最近のふれあいの様子を振り返ってみましょう。「最近、一緒に遊んでいるかな」「コミュニケーションを取っているかな」など。もし、コミュニケーション不足が思い当たるならば、犬は寂しい気持ちになっているかもしれません。そのような時は、やさしくなでながら会話をするようにしましょう。
逆にしっかりコミュニケーションを取っている時の遠吠えは、何かの音に反応しているか嬉しさから来るものです。
また、遠吠え時に過剰に構ってしまうと、遠吠えをするといいことが起こると学習してしまう恐れがあります。遠吠えをしている時はあまり気にする素振りをみせないようにしましょう。