【獣医師監修】犬が命令もしていないのに伏せをする意味とは?
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【獣医師監修】犬が命令もしていないのに伏せをする意味とは?

とくに指示をしていないのに、犬が「伏せ」をしたという経験はありませんか? 犬の自主的な「伏せ」にはどのような意味があるのでしょうか。今回は、犬の「伏せ」について解説していきます。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬が勝手に「伏せ」をする理由は?

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犬が自主的に「伏せ」をする理由には、以下のようなものがあります。

カーミングシグナル

犬は自ら「伏せ」をすることで、自分自身の気持ちと相手の気持ちを落ち着かせようとします。これをカーミングシグナルと呼び、犬同士が争いそうになった時に「私はあなたと喧嘩をするつもりはありません」という意思を伝えるために「伏せ」をします。

カーミングシグナルとしては、「伏せ」以外にもあくびをしたり、目を逸らしたりする行動がみられます。

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喜びを落ち着かせる

欲しいものが目の前にある時、犬はしっぽを振って飛びかかろうとします。また、飼い主と追いかけっこをして遊んでいる時にも、興奮したウキウキしている気持ちを落ち着かせようと、自ら「伏せ」をする時があります。これは、犬なりに平常心を保とうとしている証拠です。

この「伏せ」は、食事の前や大好きな人間が近くにやって来た時によくみられる行動です。中には、「伏せ」だけでなく、わざと直視しないことで気持ちを落ち着けようとする犬もいるほどです。

この習性を利用して、犬の興奮を抑えたい時に「伏せ」をさせ、気持ちを落ち着かせるという方法があります。

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飼い主への服従を示す

犬を飼うと、まずしつけとして教えるのが「お手」「おかわり」「おすわり」「伏せ」です。しつけをすることで、飼い主との主従関係をはっきりさせるという意味があります。

とくに、この「伏せ」は犬が飼い主に対して服従を誓っていることを意味します。「伏せ」をすると、お腹を下につけて相手を見上げる体勢になります。これは犬にとって非常に無防備な体勢なので、安心できる場所で、絶対的に服従した相手にしか自主的に行いません。

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「つまらない」という意思表示

犬が「伏せ」をしている時は、飼い主に対して「つまらない」という意思表示している場合があります。「伏せ」をして、退屈そうにしている時は、その可能性が高いでしょう。

たとえば、犬がしたいことができない時に、この「伏せ」をすることが多いようです。楽しくおもちゃで遊んでいた時に急に取り上げられたり、飼い主が帰って来たので喜んで会いに行ったのに留守番中のいたずらを叱られてしまったり…犬の思ったような結果が得られなかった時に、このような態度をとります。

飼い主からすると、「伏せ」をしている犬は反省をしているようにみえるかもしれませんが、実際は「つまらないな」と思っていることが多いようです。

犬にしつけで「伏せ」をさせる意味

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飼い主はなぜ「伏せ」のしつけをしなければいけないのでしょうか。上述の通り、「伏せ」には飼い主に対する服従の意味があります。もし、飼い主と犬の上下関係において犬が上になると、犬はわがまま放題に自分勝手な行動をとってしまいます。

たとえば何でも噛んでしまったり、誰に対しても吠えてしまったり…。これを放置しておくと、飼い主に噛みついたり、ほかの人や犬を傷つけたりしてしまうことも。そんなことになってしまえば、せっかくの楽しいドッグライフも台無しです。

「伏せ」のしつけをすれば、犬が飼い主との上下関係を理解し、飼い主の言うことを聞くようになります。日々のコミュニケーションで犬との信頼関係が深まれば、自主的に「伏せ」をして、飼い主の指示がなくとも服従を示してくれるようになるでしょう。

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