インコのお腹が膨らんでいる。それは「卵詰まり」かも

メスのインコのお腹が膨らんで、元気がなかったら、それは卵詰まりかもしれません。卵詰まりは重症化することが多い、命に関わる怖い病気です。早期発見のポイントと対処法を覚えておきましょう。

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インコの卵詰まりとは

メスの成鳥の卵が卵管内に詰まってしまい、出てこなくなる病気を「卵詰まり」といいます。お腹からお尻にかけて膨らみが見られ、食欲不振や元気がない、うずくまってじっとしている、呼吸が荒い、いきむ、水分を多く取るなどの症状が現れます。総排出口(直腸、排尿口、生殖口を兼ねた器官)から出かかった卵が見えている場合もあります。すぐに治療しないと命を落とす場合もある怖い病気です。

卵巣で作られた卵黄が卵管に排卵された後、卵白や卵殻ができて産卵するまでの時間は約24時間です。排卵後の24時間以内に産卵しない状況が卵詰まりです。多少産卵が遅れるケースもありますが、インコの体内に卵があって、元気がない場合は、卵詰まりを疑います。卵が詰まると排泄も一切できない状態になり、インコも衰弱していきます。
カラダの小さなインコにとっては、産卵自体がカラダに負担のかかる大変な作業なので、その上卵が詰まってしまったら非常につらい思いをすることになります。1個目の卵が詰まったまま2個目の卵ができてしまい、腹膜炎を併発してしまう場合もあります。

インコのメスが産卵するのは成鳥のあかしで、自然なことです。メスの単独飼育であっても、発情するとふ化することのない無精卵を産卵します。そのため、メスのインコが卵詰まりを発症する可能性は高く、飼い主の早期発見と対処が重要になります。

インコの卵詰まりの原因

インコの卵詰まりに関しては、カルシウム不足が大きな原因とされています。
カルシウムは卵の殻を作る大切な栄養素です。インコは副食として必須のボレー粉などでカルシウムを補いますが、カルシウムを体内に吸収するためにはビタミンDが必要です。そのビタミンDは日光浴により体内で生成します。ボレー粉か日光浴か、どちらかが不足するとカルシウム不足となり、卵殻がうまく形成されずに、卵が軟化してしまいます。その結果卵がスムーズに排出されず、卵詰まりとなってしまいます。

また、セキセイインコの場合は1回の産卵で、1日おきに1つずつ、平均して計5個前後の卵を産みますが、卵を多く産みすぎる(産卵過多)場合があります。その産卵過多によりどんどん栄養が失われ、カルシウム不足になることもあります。

カルシウムは卵殻を形成するだけではなく、筋肉の収縮や神経伝達物質としての役割を担っています。カルシウム不足により筋肉と神経の働きが弱まると、子宮筋の収縮が不完全となって卵を押し出せない状態になり、卵詰まりを起こす場合があります。そのほか、親鳥の未成熟や高齢、運動不足、気温の低下による体調不良、運動不足なども原因となります。

インコの卵詰まりの治療法・予防法

卵詰まりの疑いがみられたら、すぐに動物病院に連れて行きます。「そのうち産むかもしれないから、しばらく様子を見よう」と放置するのはとても危険です。病院での処置も、体力がある初期のうちであれば救命率が上がります。早期に発見できれば手術をしなくても、徒手で強制的に卵を摘出したり、カルシウムを注射することで産卵できたりすることもあります。

動物病院にすぐに行けない場合は応急処置を施します。ケージ内を28~31℃に保温し、カルシウムとビタミン剤を投与します。ただし、インコが卵詰まりを起こしている場合には、様子見をする時間的余裕はありません。応急処置を施しても、24時間以内には獣医の診察が必要です。

卵詰まりを予防するには、日頃から栄養バランスのいい餌を与え、十分な日光浴をさせることが肝心です。ボレー粉やビタミン豊富な青菜類を副食として与え、日光浴でビタミンDの生成を促します。人間もカルシウムが不足すると骨や歯が弱くなったり、神経過敏になったりします。インコも同様で、とくにメスのカルシウム不足は卵詰まりに直結します。

繁殖させる予定がなければ、初めから卵を産ませないことも一つの方法です。インコは発情しなければ産卵しないため、発情する対象を取り除きます。オスと飼育している場合は隔離し、接触を極力減らします。メスの単独飼育の場合は、ケージ内に巣箱があれば撤去し、おもちゃも発情の対象になりやすいので撤去します。遊ぶ時に飼い主が背中を撫ですぎると興奮するため、撫でるのは控えめにします。また、日照時間が長くなると繁殖期と認識するため、8~12時間の日照時間に抑えます。食事は低脂肪、低カロリーのエサを与え、栄養過多を防ぎます。

インコはおもに春と秋に繁殖期を迎えます。この時期は大切なインコが卵詰まりになることがないように、飼育環境に十分気を配り、カラダの変化や行動を観察しましょう。

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