【獣医師監修】猫にシャンプーって必要? シャンプーの頻度とやり方
人間用のシャンプーを使っても大丈夫? シャンプータオルって何? 猫を洗うときはスリッカーブラシなどのブラシとドライヤーも用意しておきましょう。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
シャンプーが必要なのはどんなとき?
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一日の大半を寝て過ごす猫ですが、毛づくろいにもかなりの時間をかけるだけあって、毛並みはいつもきれいです。獲物に自分の存在を感づかれては困るので体臭もほとんどありません。特に完全室内飼いの猫は汚れることがないため、シャンプーをする必要はないと言ってもいいでしょう。
ただ、外を出歩く猫は、ほこりや泥で汚れることもあるので、嫌がらなければシャンプーをしてあげてもいいでしょう。それに毛づくろいが行き届かない長毛種や毛づくろいをあまり好まない猫も、それぞれ猫の手に負えないほど汚れたらシャンプーをしてあげてください。
猫を飼ったことのある人ならわかると思いますが、猫は身体が水に濡れることを極端に嫌います。猫はそもそも砂漠の生きものだったといわれており、昼夜の寒暖差が激しい砂漠では、夜に身体が濡れると体温が奪われ、命を落とす危険性もあるため、本能的に水に濡れることを避けるようになったという説もあります。
言ってみればシャンプーが必要なのは、猫自身ではなく、猫が汚れると生活に支障をきたす私たち人間の方なのです。ブラッシングだけでもある程度皮膚を清潔に保つことはできますので、シャンプーをするにしても通常は年に1回程度で十分でしょう。
シャンプーの方法と手順
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水が苦手な猫のシャンプーは、とにかく手早く終わらせるのがコツです。あらかじめ使うものをそろえ、全身をブラッシングして、抜け毛を取り除いておくといいでしょう。
シャンプーは人間用のものではなく、猫専用のものを用意してください。人と猫では皮膚のpHが異なるため、人間用のシャンプーは猫には不向きです。
どうしてもシャンプーが難しい場合は、拭き取るタイプのシャンプータオルを試してみるのもいいかもしれません。
必要なもの
・猫が入る大きさのたらい、またはペット用のバスタブ
・猫用シャンプー、リンス
・タオル(3~4枚) ※使わなくなったバスタオルや、細かいところをふくためのおしぼりなどがあるとよい
・ドライヤー
シャンプーの方法
①洗う
ぬるめのお湯をたらいやペット用のバスタブに張って、そこに身体ごと入れます。お湯の中に身体を入れることに抵抗を示すことも多いので、その場合は空のたらいやバスタブに猫を置き、静かにお湯を張っていくかシャワーを使用します。全身が濡れたらシャンプーをつけ、首から下へ泡立てながらやさしくこすっていきます。足の裏や指の付け根も忘れないこと。猫はしっぽをさわられるのが嫌いですが、肛門まわりも汚れているので、しっぽを手で上げて、ていねいに洗ってください。特に嫌がる顔は、シャンプー剤をつけずにお湯だけで流したり、濡らしたタオルで拭くだけでもいいでしょう。このとき、目や耳に入らないように注意しましょう。
②すすぐ
顔を洗う際は、頭頂部にシャワーヘッドをあて、そこから下へ流れるお湯で顔が濡れていくようにすると嫌がられにくいでしょう。首から下をシャワーでくまなく洗い流してください。すすぎ不足は皮膚炎の原因になるだけでなく、毛をなめる猫の口にシャンプーの成分が入ってしまいます。
③乾かす
大きめのタオルに包んで全身をふいたあと、おしぼりなど小さめのタオルで顔や指などをふいてください。ふき終わったらドライヤーをかけますが、猫はドライヤーの音と風が苦手です。
ドライヤーをかけるときは、あまり近づけるとヤケドをしてしまうので、熱さを確認しながらかけてください。ペット専用のドライヤーなら音も静かなうえ、立てた状態で使えるため、両手が自由になりとても便利です。
プロに任せる場合
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犬と比べ、猫のトリミングを行うところはそれほど多くありません。猫は犬と違って環境の変化に弱く、扱いが難しいのがその理由です。もちろん、探せば猫もやってくれる動物病院やトリミングサロンはちゃんとあります。猫が暴れるため、獣医師によって麻酔や鎮静剤を使う場合もあるので、事前に確認し、納得したうえで利用しましょう。
猫のシャンプーは、短毛種が4000~6000円、長毛種が5000~8500円といったあたりが相場のようです。この他、鎮静剤などを使用する場合は、その分の料金がかかります。シャンプーには、爪切り、耳掃除、肛門腺絞りなどが含まれていることもあるので、年に1度程度ならプロに任せて、丸ごときれいにしてもらうのもいいかもしれません。
飼い主が入浴しているときに、ドアの前で終わるのをじっと待つ猫もいるという話を聞いたことがあります。飼い主によると、お風呂に浸かっているご主人様の身を案じて待っているように感じられるそうで、猫にとって水は何よりも恐ろしい存在なのかもしれません。シャンプーは、ほどほどにするのがよさそうです。