【獣医師監修】猫のブラッシング、しないとどうなる? ブラッシングの頻度と方法
猫によってブラッシングの好き嫌いはあるようですが、毛をとかすときの強さや静電気を防ぐスプレーなど、ブラッシングの方法を紹介します。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
健康チェックにもなるブラッシング
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猫はきれい好きで頻繁に毛づくろいをしますが、毛づくろいにはリラックス効果もあるといわれています。また、体をいつも清潔に保つことで、狩りの際に獲物に匂いで気づかれにくくする効果もあるようです。
毛づくろいの際には抜けた毛をそのまま飲み込むことがあります。通常は毛玉として吐き出したり、便と一緒に排泄されたりしますが、長毛の猫や、換毛の時期では大量の毛を飲み込み、吐くことも便から排泄されることもできず、消化管内にとどまってしまうことがあります。内科治療で良化しなければ、開腹手術をして毛玉を取り出さなくてはいけなくなります。
一方、自由に屋外に出る猫は、他の猫や野良猫と接触する機会が多いため、ノミが潜んでいたり、ケンカをして身体のどこかに傷跡があったりする場合もあります。
また、猫は体調に変化をきたすと毛並みが悪くなります。普段から猫の身体の状態を知っていれば、異変にもいち早く気づき、病気の早期発見にもつながります。そういう意味でも、定期的なブラッシングは猫を飼ううえでの必須条件ともいえるでしょう。
飼い主にとっても、定期的なブラッシングは猫とのスキンシップにもなり、絆を深めるのに効果的です。頻度は短毛種なら毎日1回、長毛所なら朝晩の2回が理想ですが、健康チェックの意味合いもあるので、時間に余裕のあるときにしっかり行いましょう。
ブラッシングの方法
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始める時期
それほど抵抗せずにブラッシングをさせてくれる猫もいれば、ブラッシングを嫌がる猫もいます。ブラシが合わない、ブラッシングが下手など、理由はいろいろありますが、成猫になってから始めるより、仔猫のうちから慣らした方が、お互いストレスなくブラッシングができます。
ブラッシングに必要な道具
ブラッシングにはブラシが必要ですが、人間用のものは猫の皮膚を傷つけてしまうので安易に使わないようにしましょう。
そろえておきたいのが、豚の毛などでつくられた獣毛ブラシです。獣毛ブラシは、ナイロン製のものと比べ、静電気が起きにくいので猫も嫌がりません。
針金状の細かな目が特徴のスリッカーブラシは毛玉ができやすい長毛種にはもちろん、短毛種にも使用できます。また、フワフワとしたアンダーコートを取り除くのにも適しています。その他、ラバーブラシ、ピンブラシといったブラシもあります。
とくに冬のブラッシングは静電気が起きやすいため、加湿器を置いたりなどの対策が必要ですが、皮膚や毛の乾燥を保護するようなスプレータイプの保湿剤を試してみるのもいいかもしれません。基本的に猫は体に直接スプレーを吹き付けられるのを好みませんので、その場合はブラシ側に吹き付けて使用してみるのもいいでしょう。
ブラッシングの手順
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ブラッシングは猫の毛の流れに沿ってとかしていきます。ただし、最初に手で全身を撫で、からまった部分がないか確認してからブラシを使いましょう。いきなりブラッシングするとからまった部分がひっかかり、猫が嫌がってしまいます。
まず猫が嫌がらない頭の後ろや首にブラシをかけ、様子を見ます。逃げ出さないようであれば、背中、腰、しっぽと順番にとかしましょう。お腹はデリケートなため嫌がることが多いので、無理に行うのはやめておきましょう。ブラッシングを好み、自らお腹を向けるようであれば、あまり力をいれずにやさしくブラッシングしてあげましょう。
猫は背骨、腰骨、胸骨、足の付け根など、骨のある部分にブラシが当たるのを嫌がります。時間をかけすぎるのも、猫がブラッシングを嫌いになる原因になるので、1回のブラッシングは3分程度がベストと考えてください。
マメに掃除機をかけても、コロコロを転がしても、完全には取り切れない猫の毛。セーターを着て抱っこしようものなら、毛糸に猫の毛がまとわりついて大変です。洗濯をしても簡単には取れません。換毛期のブラッシングは、少しでも猫の抜け毛を減らし、猫の毛が家中に広がるのを防ぐ効果もあります。猫にとっても人間にとっても、ブラッシングは欠かせない作業なのです。