【PWJ熊本地震現地レポートVol.2】飼い主たちが語る「やっておけばよかったこと」

2016年4月に発生した熊本地震。4ヶ月以上経った今でも、現地には生々しい災害の爪痕が残っています。今回は、現地で支援活動を行っていたNGO団体ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の協力を得て、被災した飼い主さんたちが語る「やっておけばよかったこと」をお送りします。

  • サムネイル: PECO編集部
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被災したからこそわかる"やっておくべきこと"とは

東北大震災と同じように、多くの被害を出した熊本地震。ペットを飼う人の多くも被災し、避難生活を余儀なくされた人も多くいました。今回はそんなペットや飼い主さんたちの生活を支援した、NGO団体ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)に寄せられた、飼い主さんの声をご紹介します。

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やっておけばよかったこと、事前に用意しておくと助かるもの、など被災した飼い主さんだからこそわかる、「本当に必要なもの」。自然災害大国とも呼ばれる日本では、いつどこで災害が起きるかわかりません。必要な備えをしておくことで、愛するペットの命を救うことにも繋げたいですね。

防災バッグに入れておくべきもの

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■お水
■食器
■おもちゃ
■薬
■お薬手帳
■避難用のケージ

防災バッグには水やフードといった基本的なものはもちろん、食器やおもちゃといった小物も必要だという声が聞かれました。PWJが開設したペット専用の避難所では、支援物資が届くまでフードが不足することもあり、届いたとしてもペットの好みの問題で食べないということもあったそうです。

そのため、支援物資が到着するまで生活できるように、ペットが普段食べているフードと水を1週間分程度用意しておくと安心です。おもちゃはストレスを軽減するのに役立ちます。

支援物資で手に入れることが難しい“薬”

そして、多くの飼い主さんが大切だと感じたものは「薬」だったそうです。特にワンちゃんに使う、ノミやダニ、フィラリアを予防するための薬は両方に作用する薬ができましたが、ワンちゃんによっては副作用が起こることもあるそうです。

そのため、個別の薬が必要となりますが、支援物資で手に入れるのは難しいそうです。その子特有の薬は獣医さんに直接診てもらってもらうしかありません。できればいつも診てもらっている獣医さんに診てもらうためにも、行きつけの獣医さんの緊急連絡先のメモ、診察券をもっておくと便利という話が聞かれました。

避難所には獣医さんによる支援団体が巡回してくることもあるようです。常に行きつけの獣医さんにかかれるとも限らないので、お薬手帳などを持っておいて、初めて診てもらう獣医さんでも今までどんな治療を受けたかわかるようにしておくと、治療がスムーズになります。

できれば防災バッグにいつも飲んでいる薬をストックしておくと安心です。かかりつけの獣医さんに薬を余分に出してもらうことができるか、相談してみましょう。

事前にやっておけばよかったこと

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地震などの災害時は、飼い主さんが気を付けていてもペットが脱走してしまうことがあります。そんなとき、再会をするために重要になるのが、迷子札やマイクロチップです。熊本地震に被災した飼い主さんは、これらの迷子防止措置をしておけばよかったと思った人が多かったようです。

災害時は、ペットがパニックになっていつもと違う行動を起こすことも多く、それが脱走に繋がることも多くあります。首輪などに迷子札を付けたり、去勢手術の際にマイクロチップなどを付けるなどして、あらかじめ対策をしておきたいですね。

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また、避難所ではケージが不足することも多く見られたため、簡易なケージやキャリーバッグなどを用意しておくことも必要と言われています。特に猫ちゃんや小型犬の場合はケージが必要となる場合が多いので、防災バッグと一緒に用意しておきましょう。

PWJの避難所には大型犬を連れた方はあまり避難してこなかったそうです。理由としては、大型犬はケージに入ることができないため、飼い主さんが自主的に車中避難をしていたためと考えられています。大型犬はペット可での避難所でも受け入れが難しい場合もあるので、大型犬の飼い主さんは避難先をどうするか、考えておく必要があります。

ペット防災の問題点

熊本地震で被災した飼い主さんたちも、普段から防災の意識を持ち、備えをしていた人も多くいました。しかし、そんな人たちですら、PWJなどの支援団体を知らず、どんな支援をしているか知らない人が多かったそうです。そのため、情報が十分に伝わらず、避難所の存在を知らなかったという人もいました。

防災というと、身の回りのものをそろえたり、近所の避難所の場所のみを確認しがちですが、PWJのような支援団体が、災害時にどのような支援を行っているか、知っておくことも大切という意見がありました。

“飼い主さんどうしの繋がり”の大切さ

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そのような情報を飼い主さんと共有できる場面もありました。被災した飼い主さんの話では、毎日の散歩で顔見知りになった近所さんと協力して、PWJの避難所を教えあったりすることもあったそうです。持っている情報に差があっても、飼い主さん同士の心掛け次第で、全員に情報が行き渡ることも可能です。

自分だけが情報を得て行動するのではなく、同じペットの飼い主同士協力することが大切ですね。そのためにも、普段から近所の人とコミュニケーションを取り、いざというとき情報共有をできるようにしておきましょう。

意外と多かった。ワクチン未摂取のペットたち

災害時に意外と多く見られたのが、ワクチンを接種していないペットたちでした。フィラリアや3種混合ワクチン、5種混合ワクチンなどはワンちゃんや猫ちゃんの健康を維持するために必要なものです。しかし、あまり外に出さない、行こうと思っていて先延ばしになっているなど、様々な理由で接種していないことが多かったようです。

避難所には多くのペットが集まります。施設の衛生管理も万全といえない中では、伝染病が流行する可能性があるため、ワンちゃんも猫ちゃんも、ワクチンを接種しておかないと病気になる可能性が高まります。同じように、ノミやダニの対策も必要だということが分かったそうです。

現在PWJではワクチンを接種していないペットに対するサポートを行っていますが、すぐに全てのペットに行き届くとは限りません。病気の心配をしないためにも、ワクチン接種を欠かさないように定期的に病院へ行きましょう。

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取材先・制作協力

取材先

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

熊本地震の発生直後、災害救助犬とレスキューチームを現地に派遣、行方不明者の捜索活動を行う。被災者支援においても、これまで見過ごされがちだったペット同行避難世帯を対象としたテント村、ユニットハウス村などを継続的に運営している。

制作協力

+ソナエ・プロジェクト

日常生活に「備え」という意識をプラスしようというコンセプトから生まれたプロジェクト。生活者目線で防災・減災に取り組んでいる。

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