スフィンクスってどんな猫? 歴史や体の特徴について
産毛のみで毛のない姿が特徴的なスフィンクス。小さな顔に大きな耳、映画「ET」のモデルになったともいわれています。他の猫にはない独特な容姿を持っています。
- 更新日:
1.概要
まず、その見た目が圧倒的に個性的で、目を引くスフィンクス。一般的に猫は、全身を毛に覆われていますが、スフィンクスには、被毛、ヒゲがないのが特徴です。(正確にはごく短い産毛が生えています。)これは劣勢遺伝子の影響による突然変異でしたが、交配を重ね現在の安定した猫種となりました。その性格は見た目とは裏腹に陽気で人懐こく、遊び好き。家庭で飼育する際には他の猫とは違った点に注意が必要です。
2.歴史
メキシコの古い遺跡から無毛の猫をかたどった彫刻が見つかっており、突然変異による無毛の猫は大昔から世界各地で生まれてきたようです。スフィンクスの元になっている無毛の猫は1966年に生まれた「プルーン」という名の猫でしたが、この猫の血統は途絶えています。現在のスフィンクスは1978年に、カナダのトロントで拾われた無毛の子猫と、その長毛の母猫の血統によるものです。
その母猫は何頭かの無毛の猫を出産し、そのうちの2匹がヨーロッパへ輸出され、デボンレックスという品種と交配を行いました。その結果生まれた、無毛の猫が現在のスフィンクスです。(このことから、無毛を作る劣性遺伝子は、デボンレックスの遺伝子に対しては優勢であると分かります。)
3.身体的特徴
■体重:3kg~6kg
■体系:セミフォーリンタイプ
■毛色:ポインテッド、セピア、ミンクを含む、全ての毛色とパターンが公認
スフィンクスの一番の特徴は、なんといっても被毛が生えてないことですが、実際によくみると細かい産毛が生えていて、桃の表面に似た印象です。触るとスエードのような、なめらかな肌触りをしています。また耳など、ボディの先端には細かい毛が残っています。空洞になった毛包には、皮脂腺があり汗をかくためお手入れが必要です。体温は他の猫種よりおおよそ4度ほど高い特徴があります。また他の猫種では被毛にでる「毛色」がスフィンクスの場合は皮膚に現れます。
体格はデボンレックスの影響が色濃く、しっかり筋肉のついたセミフォーリンタイプ。尾は先が細くなっていて鞭の様です。頭部は丸みを帯びていて、大きな耳と、やや吊り上がった目が印象的。体のしわも特徴の一つで、多いほど良いとされています。
4.性格・気質
陽気で遊び好き、好奇心旺盛
スフィンクスは、その眉間のしわのせいでしょうか、一見、神経質で物静かに思われますが、実はそんな印象とは異なり「陽気で、遊び好き」。明るい性格で、いたずら好きなお茶目な一面もあります。運動量も多いので沢山遊んであげるといいでしょう。
愛情深く、人見知りもしない
飼い主さんへの愛情はもちろん、人見知りをしないので、子どもがいる家庭や、来客が多い家庭、多頭飼いなどの場合にも向いています。ただ、多頭飼いの場合は、毛がないため猫同士の喧嘩による外傷に注意が必要です。
賢く、初心者にも飼いやすい
利口でしつけがしやすく、スフィンクス特有の飼育上の注意点や、お手入れ方法を理解しておけば、初心者にも飼いやすい猫種です。鳴き声も小さいため、マンションなどの住宅環境にも向いています。
5.入手方法と値段、価格について
値段、価格
■20万~40万前後
スフィンクスは一般的な人気の猫よりもやや入手しづらい傾向にあるようです。希少なカラーの場合は100万円前後の値段がつく場合もありますが、見た目だけなく性格面や健康面には配慮したブリーディングを行っている、信頼できるブリーダーさんからの購入をお勧めします。
入手方法
ペットショップではあまり見かけないスフィンクスはブリーダーさんから購入するケースが多くなると思います。また、珍しいですが里子に出されていることもあります。是非里親という選択肢もご検討ください。
6.しつけ
運動
スフィンクスは運動量の多い方の猫種で、飼い主さんに遊んでもらいたい人懐こい性格です。時間がある時に積極的に遊んであげることはもちろん、一人でいる時にもストレスが溜まらないよう、いつでも運動が出来る環境を整えておいてあげる必要があります。
キャットタワー等を用意し、飛び上がったり飛び降りたりの上下運動ができるようにしてあげるといいでしょう。また、被毛のクッションのない猫種ですので、触れるもの材質や、肌を傷付けそうな植物などには、他の猫以上に注意し、生活環境を整えてあげる必要があります。
トイレ
猫のトイレのしつけは、犬と比べても簡単で、トイレに適した環境を整えてあげれば、自然とトイレを覚えてくれます。猫は元々、砂漠地帯で生活していたため、乾燥した砂の上で排泄することを好みます。
そのため、猫砂(トイレ)を用意し、部屋の隅の人通りの少ない、落ち着く場所に設置してあげることで、自然とそこをトイレとして使用するようになります。また、予め排泄物をそこに置いて、臭いを付けておくのも有用です。
爪とぎ
爪を研ぐということは、猫にとってトイレと同じくらい重要な生理現象であり、止めることは出来ません。飼い主さんは猫の好きなタイプの爪とぎ器を用意し『ここを使って爪を研いでね』と教える必要があります。猫の爪の近くには臭腺があるので、新しい爪とぎ器を購入した際には、その爪とぎ器で爪を研ぐような様子で前足をこすりつけ、予め臭いを付けておくのもいいでしょう。
噛み癖
猫の噛み癖は、飼い主さんの手を遊び道具だと思ってしまう所から始まります。猫同士のじゃれ合いであれば、噛みついたら噛み返され、強く噛んではいけないと学びますが、飼い主さんの手は噛み返すことは出来ません。
猫と遊ぶ際にはおもちゃを使い、手にじゃれつかせないことを徹底しましょう。また、スフィンクスは利口な猫種です、間違ったことをしたときには「イケナイ! 」と言葉で叱りましょう。体罰などは行わず、その場で叱る子とが基本です。
7.お手入れ
ブラッシング
短毛でも長毛でもないスフィンクスに通常のブラッシングは必要ありません。代わりに脂性の皮膚のこまめな手入れが必要です。
シャンプー
毛が生えていないため、皮脂で皮膚が汚れやすいスフィンクスは、蒸しタオルなどでこまめに肌を拭いてあげる、またはシャンプーをしてあげることが必要です。特にしわになって、奥まっている部分に汚れが溜まりやすいので重点的にケアしましょう。体を洗う際や、乾かす際にも同様にしわになっている部分に気を付けます。
爪切り
猫は、爪とぎを行いますが、爪とぎによって爪が丸くなるわけではないので、爪切りが必要です。特にスフィンクスの場合は、爪で体を傷つけやすいため、自分自身や、同居している猫の爪が伸びて尖っていないか1、2週間に一度位のペースでこまめに確認してあげましょう。
耳掃除
耳掃除は1ヶ月に1、2回程度見える範囲の汚れを拭きとってあげましょう。猫は、自分で頭を振って耳の中の汚れを外に出す為、耳の中の汚れは自然に任せて表面に出でてきた汚れをイヤークリーナーなどを染み込ませた綿棒やガーゼ等で拭きとります。
歯磨き
子猫の頃から歯磨きを習慣にしておくとスムーズに行えます。歯の状態は定期的にチェックして月に2、3回行うのが良いでしょう。猫用歯ブラシや、ガーゼなどで歯の生え際を中心に磨きます。歯石が付着したら動物病院で除去してもらいましょう。
8.かかりやすい病気、寿命
平均寿命
猫は品種ごとの寿命の差はあまりありません。猫の平均寿命は15歳ほどで、それとほぼ同じであると言えます。また、一番長寿な記録を持つスフィンクス、Grandpa Rex Allen君は、34年2ヶ月生き、2005年雑種のCreme Puffちゃん(38歳と3日)に記録を塗り替えられるまで、世界1位を記録、現在も世界で2位の記録を保持しています。
皮膚病
スフィンクスは被毛がないため、あらゆる皮膚病をおこしやすい猫種です。こまめに体を拭いたり、洗い体の清潔を保ってあげましょう。そうすることで病気を防ぐことに繋がります。また皮膚がん等を引き起こす原因となる紫外線には特に注意が必要です。
おわりに
スフィンクスは頭がよく、初心者の方にもオススメの猫です。個性的な容姿が癖になりますよね、飼い主さんと猫が素敵なペットライフを送れますように。