【獣医師監修】こんな時は病気のサイン? 猫の鼻の状態とサインについて
鼻水、鼻血、鼻づまり…。猫も病気になると鼻に様々な症状が現れます。ただの鼻炎と決めつけるのは危険! 怖い病気のサインかもしれません。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
温度もわかる猫の鼻
猫の鼻は感度抜群。人間と比べ、1~10万倍もの嗅覚を持っています。猫は、顔やしっぽ、肉球から出る自分のニオイをこすりつけるマーキング行動や、おしっこをかけるスプレー行動によりなわばりを確保します。なわばりのニオイをかぎ分けるためにも、猫にとって嗅覚は重要な感覚なのです。また、猫の鼻には発情期にメスが出すフェロモンを感知する器官が備わっており、パートナーを得るためにも欠かせません。そして、じつは温度を測るのも鼻の役目です。わずか0.5度の違いを感じ取り、食べ物の熱い冷たいを判断するのも「舌」ではなく「鼻」。猫は鼻ひとつで様々な情報をキャッチしているのです。
鼻の症状は体調を知らせるサイン
猫の鼻はしっとりと濡れているのが当たり前。「乾く」「鼻水を垂らす」「鼻血が出る」などの症状が現れたら病気を疑いましょう。すぐに治まれば問題ありませんが、長引くようであれば、正確な診断と治療が必要です。症状の違いによる病気をまとめたので、参考にしてください。
鼻が乾く
発熱や脱水症状に見舞われた時、鼻腺がつまっている時などに鼻が乾燥します。鼻の分泌液は鼻腺と涙腺の両方の働きによって作られるため、鼻腺がつまると涙腺がカバーしようと活性化し、目が過剰に涙で潤む症状もみられます。また、老猫になると普段から鼻が乾燥していることがあります。この場合は、病気ではなく加齢によるものです。
鼻水が出る
■アレルギー
透明でサラサラした鼻水が一週間ほど出続けた場合、アレルギーの可能性があります。人間と同じで、原因物質を取り除くことで症状を抑えることができます。
■猫風邪
猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、クラミジア感染症を総称して猫風邪と呼びます。鼻水・鼻づまりのほか、くしゃみ、咳、発熱がおもな症状で、いずれもワクチンを接種すれば、予防や症状を抑制することができます。
■肺炎
鼻水・鼻づまり、くしゃみ、咳が出て、微熱が長期間続いている時は、肺炎にかかっているかもしれません。肺の機能が低下しているため、呼吸が浅くなるのが特徴です。重症化すると高熱が出ることもあるので、そうなる前に気づいてあげましょう。
■結膜炎
ヘルペスウイルスにより結膜炎を発症した時は、目やになどの症状に加え、咳や鼻水などが出ることがあります。
鼻血が出る
■副鼻腔炎
鼻の奥にある副鼻腔に炎症が起こり、激しいくしゃみの次に膿や血が混じった鼻水が出るようになります。放っておくと蓄膿症を発症することもあります。
■クリプトコッカス症
黄色い鼻水、血が混ざった鼻水が出て、いびきをかいたり、鼻の周辺にしこり(肉芽腫)ができたりした場合は、クリプトコッカスという真菌(カビ)に感染しているおそれがあります。悪化すると、皮膚炎を起こして膿が出たり、慢性化して中枢神経まで広がると、痙攣を起こしたりすることもあります。
■鼻腔内腫瘍
鼻の中にできる腫瘍はそのほとんどが悪性です。くしゃみ、鼻汁に加え鼻血が出るなどの症状がみられ、進行すると顔が変形します。老猫になるほど、発症するリスクが高まります。
■猫白血病ウイルス感染症
猫同士のケンカや多頭飼いでの感染、母子感染などにより発症するウイルス感染症です。猫白血病ウイルスは、血液を作る骨髄内で異常発生し、悪影響を与えるため、軽い衝撃でも内出血が起きたり、血が止まりにくくなったり、鼻血が出たりします。
■血小板減少症
血小板が減少し、血が止まりにくくなり、出血しやすくなる病気です。進行すると、口の中や目、鼻から出血するほか、血便や血尿が出ることもあります。
食べ物を認識するのも鼻の役目です。そのため、鼻がきかなくなると、猫は食事をとらなくなります。体力が落ちると免疫力が低下し、思わぬ病気を併発してしまうかもしれません。鼻水やくしゃみなどの症状が出たら、「いつもと比べて元気はあるか」「食欲はあるか」「尿や便に血は混ざっていないか」など、こまめに様子をチェックして、悪化しているようであれば、病院へ連れて行きましょう。
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